ドラゴンボールDAIMA
第6話 イナヅマ
11月18日(月)放送分
長編商業アニメの映画祭「第2回新潟国際アニメーション映画祭」が3月15~20日に新潟市内で開催される。長編アニメのコンペティション部門を設けたアジア最大級の祭典を目指し、新潟から世界にアニメという文化を発信していくのが狙いで、昨年3月に第1回が開催された。キャッチコピーは「新潟は、アニメーションのあらゆる境界を破壊する」。「境界」「破壊」とは何か? 第1回に続き、プログラム・ディレクターを務めるアニメーション・ジャーナリストの数土直志さんに、映画祭への思いを聞いた。
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アニメは「商業」と「アート」、「国内」と「海外」などに分断されているとも言われているが、分断をつなぎ、文化と産業をつなごうとしていくことが目的の一つでもある。
第1回は、押井守監督が審査委員長を務めたことも話題になり、大友克洋監督、りんたろう監督、片渕須直監督、渡辺信一郎監督、磯光雄監督、永野護監督らも登場するなど大いに盛り上がった。成功があった一方で、課題も出てきた。
「普段はなかなか見られないものが見られる映画祭にもなりましたが、海外の作品、日本の作品、さまざまなジャンルの作品が同時にあるという最初に目指した試みはやはり難しいところがありました。世界にはいろいろなアニメがあり、そこには断絶もあります。アニメの多様性を示すことができましたが、結果としてやっぱり溝があり、融合するのは難しいと改めて感じました。断絶がありますが、映画祭で多様性を見せていく試みは続けていきたい。地道な努力が必要で、それこそが映画祭の役割だと感じています。人気のある作品ばかりを並べて、人を集めるのは、ある意味で容易なのですが、アニメを文化として育てていく役割があります。素晴らしい作品も見てもらわないと分からない。見てもらうまでのハードルがまだ高いと感じています」
第1回ということで、広く認知されていたわけではない。それでも続けていくことが大切だ。
「想像以上に話題にはなりましたが、映画祭の認知度はまだまだです。もっと知ってもらう必要があると感じています。現地にもっと密着する必要もあったはずです。新潟でやる必然性は悩んだところではあるのですが、プログラムを作る立場としてまだつかみきれておらず、何が求められていることをもっと考えていかないといけません。映画祭が真に評価されるのは、10年目からだと思っています。まだ2年目ですし、世界の映画祭を見ると10年なんてひよっこですから。毎回、クオリティーを維持することにも意義があります。毎回、積み上げていかなければいけません」
昨年のレトロスペクティブ部門では大友監督を特集した。第2回は、故・高畑勲監督の特集上映が実施され、長編デビュー作「太陽の王子 ホルスの大冒険」や、「火垂るの墓」「かぐや姫の物語」、「赤毛のアン グリーンゲーブルズへの道」などの劇場公開作品のほか、「世界名作劇場」の「母をたずねて三千里」、東映動画時代に演出を手掛けた「狼少年ケン」などのテレビアニメも上映される。
「実は第1回の大友さんと共に高畑さんの特集は早い段階から考えてきたことです。エッジが効いた作品で知られる大友さん、家族で見られる作品の高畑さんは、日本のアニメとは何か?を考えた時、それぞれがこれを体現する人です。同時に高畑さんは一人で日本アニメの多様性を体現しているところもあります。手描きのセルアニメ『ホルス』から始まり、『となりの山田くん』のようにデジタルと手描きが融合するかたちに行き着いた。時代と共に変わっていること、変わらないところがありますが、物語の論理的な組み立て、緻密な構成は、一貫しています」
人気アニメ「ガンダム」シリーズの劇場版「機動戦士ガンダム 逆襲のシャア」が上映され、富野由悠季監督、メカニックデザイナーの出渕裕さんがトークショーに登場することも話題になっている。富野監督は東京国際映画祭で特集が組まれたことがあるものの「ほかの映画祭だと難しいところもあると思います」という。
「富野さんの代表作は、やっぱり『ガンダム』です。ロボットアニメは映画祭があまり扱わないジャンルなんです。シリーズものですし、前提知識がないと見られないと思われていて、映画祭では評価が難しい。一方で商業アニメの中心にあると思われている『ガンダム』ですが、実はとても作家性にあふれている。富野さんは既に評価されていますが、作家としてもっと評価されるべきです。どうしてもお呼びしたかった。富野さんがアニメ業界に入って今年で60年という一つの区切りでもあるので、お祝いする場所を設けたいっていう気持ちもありました。
湯浅政明監督の短編特集「湯浅政明とアニメーションの動き 短編特集」が上映される。
「湯浅さんは世界中の映画祭で人気でして、これまでも特集もありました。ただ、短編の特集はなかなかありません。短編には、湯浅さんの表現の面白さ、作家性があふれています。『なんちゃってバンパイヤン』はパイロット版なので、これまであまり上映されていませんし、『アドベンチャー・タイム』の『フードチェーン』はほとんど上映されていないはずです」
「時代劇」をテーマとしたオールナイト部門で、會川昇さんと、虚淵玄(うろぶち・げん)さんのトークショーが開催されるなど日本のアニメファンに向けたプログラムも用意されている。
「エンターテインメントとアカデミックのバランスをうまくとらないといけません。日本のアニメは圧倒的にエンターテインメントが強いですし、映画祭ということで、アカデミックに寄りすぎてもいけない。新千歳、広島、東京アニメアワードフェスティバルもある中で、多すぎると言われ方もされますが、決してそうではありません。日本はアニメが盛況なのに、むしろそれしかないの?とも感じています。それぞれの映画祭の特色を見せることで、アニメの文化がより豊かになるはずです。世の中にはいろいろなアニメがあります。それを知っていただけるとうれしいですね」
「新潟国際アニメーション映画祭」では、アニメの多様性を示すことで「あらゆる境界を破壊」していこうとしている。第2回のさらなる発展が期待される。
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