「週刊少年マガジン」（講談社）で連載中のマンガが原作のテレビアニメ「シャングリラ・フロンティア」。原作は小説投稿サイト「小説家になろう」で人気のライトノベルのコミカライズで、クソゲーを愛好するゲーマーの陽務楽郎が、プレーヤー数3000万人を誇る神ゲー「シャングリラ・フロンティア」に挑戦する姿が描かれる。テレビアニメは、サンラクたちと強敵の墓守のウェザエモンとの激闘が描かれ、迫力の映像、声優陣の熱演が話題になった。ファンから“外道三人衆”と呼ばれ、親しまれる3人の人気キャラクターを演じるサンラク／陽務楽郎役の内田雄馬さん、アーサー・ペンシルゴン／天音永遠役の日笠陽子さん、オイカッツォ／魚臣慧役の小市眞琴さんに、お互いの「ここがスゴい！」という魅力を語り合ってもらった。

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　◇内田雄馬の細かなニュアンスを感じ取る力　サンラクのような頭の良さ

　－－ウェザエモン戦では、サンラク、ペンシルゴン、オイカッツォの共闘が話題になりました。激戦を終え、お互いに声優として「ここがスゴい！」と感じたところを教えてください。

　内田さん　ほかの役者さんのことを語るなんて恐縮してしまいますね……。それに僕と小市さんは同世代で、日笠さんは先輩ですから。なので、日笠さんのことはものすごくプラスにお話しできたらと……。

　日笠さん　この場でマイナスに言うことないだろ！　そんな選択肢ないだろ！（笑い）。

　小市さん　急にダメ出しが始まったりして（笑い）。

　日笠さん　それはちょっと聞きたいけどね。

　小市さん　怖いですよ（笑い）。

　日笠さん　アフレコをご一緒すると、同じ現場にいる役者さんのことをすごく好きになっちゃうから、プラスの印象しか出てこないですけどね。では、内田雄馬さんへのメッセージを！

　小市さん　メッセージですか（笑い）。やっぱりすごく頼もしいです。お芝居をしていても、引っ張っていってくださるなと感じております。

　内田さん　いやぁ、褒められると気持ちがいいですね。

　小市さん　私はすごく人見知りなので、気軽にお話をしてくださるのはありがたいなと思っています。もちろん、それは日笠さんに対しても思っていることです。

　日笠さん　雄馬くんは、すごく本（台本）を読む力がある方です。

　内田さん　そんな、普通に褒められると恥ずかしいですね（笑い）。

　日笠さん　サンラクは脳内のモノローグ、思考回路にしても、頭がいいじゃないですか。あれがそっくりそのまま雄馬くんの地頭の良さみたいなものにつながっているなと思います。雄馬くんが音響監督の藤田（亜紀子）さんと話している内容や、もんでいる内容を聞いていると、私もすごく勉強なるなと思うことがあります。言語化がすごく上手だなと思います。

　小市さん　確かにそうですよね。誰よりも多く長ぜりふをしゃべっている中で、細かなニュアンスを感じ取るのがすごくお上手で、すてきだなって。私も勉強させていただいています。

　日笠さん　収録では、雄馬くんが一番藤田さんにむちゃぶりされるからね。「面白くして」とか。

　内田さん　そうですね（笑い）。でも、それも藤田さんとの長年の関係性があってのことなので。

　日笠さん　藤田さんの愛情だよね。

　内田さん　藤田さんからそういうオーダーがあると、「あ、もうちょっとなんだな」と感じるんです。「面白くして」は突拍子もないことをしてということではなく、恐らく今出しているものより「もう一段階ギアを上げてほしい」といったことなんだろうなというのが分かる。僕はデビューしてすぐの頃から藤田さんにはお世話になっているので、お付き合いが長いんです。僕が何もできなかった頃も知っているから。

　日笠さん　そうなんだね。あと、雄馬くんの魅力としては、笑い方が独特なので現場が明るくなる！

　内田さん　それ、褒めてます？（笑い）。

　◇小市眞琴の爆発力＆ピュアなハート

　－－内田さん、日笠さんから見た小市さんの魅力は？

　内田さん　いや、もうこの人は……

　日笠さん　この人、すっごいんです！

　内田さん　マジですごい。僕は同世代の中では、小市さんが最も爆発力ある方だと思っています。“キック力”と言えばいいんでしょうか。飛び出した時の飛び出し方と勢いがすごいです。ほかにはいないなと思います。

　小市さん　うれしいです……！

　内田さん　オイカッツォのような爆発力のある役柄だったとしても、そこまで踏み出せる人って、なかなかいないです。小市さんは細かいところを表現する力も持ってらっしゃると思うのですが、一番の魅力はその爆発力。恐らく、どんな役を演じても、それこそもっと落ち着いた役だったとしても、必要な時にパンッ！といけるんだろうなと。どんな役を演じられていても、見てみたくなる役者さんだなと思います。

　日笠さん　分かる！　見たくなるよね！

　小市さん　うれしい……。

　－－収録でも、小市さんの爆発力に驚かされることは多い？

　内田さん　驚きまくっています！

　日笠さん　雄馬くんは「爆発力」と表現したけど、私は積んでいるエンジンが違う、みたいな。

　内田さん　そうですね。すごいエンジンを持っていると思います。

　日笠さん　スタートダッシュもバン！と行くし、その上、ドライブテクニックもある、みたいな。いや、ドライブテクニックを身につけている最中だったとしたら、身につけないでほしいです。

　内田さん　（笑い）。シンプルなほうが特化していけたりしますしね。

　日笠さん　レースに例えるなら、爆走してほしい。コーナーぎりぎりを攻めてほしい。サーキット上に収まる存在であってほしくないから、峠を攻めてくれ！みたいな。

　内田さん　恐らく小市さんの魅力は、直線で誰よりも踏み込んで飛び出して行けるところなのではないかと、今の僕は感じています。

　小市さん　褒められていますか……？

　日笠さん　褒めてる！　でも、そういう演技って、ハートがピュアじゃないと絶対にできないんですよね。積んでいるエンジンがすごいだけじゃなくて、彼女の持っているハートのピュアさ。すごくいい心を持っている。

　内田さん　きちんと人の言葉を聞いているということだと思います。人の言葉を聞いているから、ディレクションを受けた時に、それに対して「応えよう」となる。

　日笠さん　そうだね。ちゃんと優しさも持っていて。ディレクションに対して、すごく真剣に、真面目に、前向きに取り組むと思わない？

　内田さん　その感じはすごくありますね。

　小市さん　うれしいです。お二人とも、すっごく尊敬している先輩なので、こんなに私のことで盛り上がってくれるのが、うれしすぎてやばいです。この1年は元気に生きていけます。

　日笠さん　1年は長いよ。まだ2月だから（笑い）。

　◇日笠陽子の絶大なる安心感

　－－それでは、最後に日笠さんの「ここがスゴい！」を教えてください。

　内田さん　普段の日笠さんは、天真らんまんな感じに見えるんです。とても明るくて、いろいろな枠を乗り越えていくような人に見える。でも、芝居は逆なんですよね。めちゃくちゃ“キレイ”なんです。

　日笠さん　そうなの！？

　内田さん　それは、人が何を求めているのかを捉える力がすごいからなんじゃないかなと思います。だから、日笠さんが同じ現場にいると、すごく安心する。これってすごいことで、求められていることを捉えられているから、演技で“外せる”んですよね。そこの嗅覚がすごいなと思います。ちゃんとキレイな道が見えた上で「外そう」という狂気（笑い）。

　日笠さん　狂気！？

　内田さん　それを意図的にやってらっしゃるのか、感覚なのか、僕には判断できないんですけど。レースで例えると、「ここは踏み込んでいくぞ！」となった時の日笠さんは、どこまでも飛ばせる人なんですよね。そのエネルギーは持っている人なんですけど、サーキットの最適な攻略方法もきちんと分かっている人。だから、「あ、日笠さんいてくれると安心だな」と思うんです。

　小市さん　（笑い）。そうですね。日笠さんには、すごく支えてもらっています。私は言語化がすごく苦手なので、感覚でしか言えないのですが、収録では、本当に自分の体を支えてくれているような感覚なんです。ウェザエモン戦で一緒に戦った時も、日笠さんが導いてくれて、「こっちに進めばいいんだよ」というようなことを、お芝居でやってくださるんです。だから、安心して、同じ方向にドン！と行ける。あと、収録で藤田さんが針の穴に糸を通すような細かなディレクションをされる時があるのですが、その調整の仕方がすごいです。めちゃめちゃピンポイントで当ててらっしゃるのがすごいな！と。

　日笠さん　当たらない時は当たらないけどね。

　内田さん　日笠さんは、本当にイメージ以上にめっちゃ丁寧だなと思います。

　日笠さん　ちょっと、営業妨害してる？（笑い）。

　内田さん　してないです！（笑い）。めっちゃすごいと思っています。日笠さんは周りに見せている顔以上に、むちゃくちゃ丁寧。それに、掛け合った時に相手の意図をすごく感じ取ってくれる人です。欲しい球をちゃんと投げてくれるんです。

　小市さん　カッツオを演じていて、「このせりふで爆発したい」というシーンがあったとしたら、日笠さんは爆発につながるステップを作ってくれるんです。それがあるから、爆発できるんです。

　日笠さん　へー！　そうなの？

　内田さん　そうですね。爆発するのも、やっぱり段階が必要だから。

　日笠さん　私、めっちゃいい人ですね（笑い）。

　内田さん　爆発できる人が1人いるだけでもダメで、ワン・ツー・スリーと段階を踏まなきゃいけない。日笠さんは「今は自分がツーだな」「スリーだな」と分かった上で、そのステップを渡してくれるというか。それは、優しさがないとできないことです。

　日笠さん　（照れながら）なんかちょっと……もうこの話、やめましょうか？（笑い）。

　内田さん　日笠さんは、優しいってことなんですよね。