種崎敦美:プーカはずっと大事な存在 「わんだふるぷりきゅあ!」で感じた“プリキュアらしさ”

「わんだふるぷりきゅあ!」の一場面(c)ABC-A・東映アニメーション
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「わんだふるぷりきゅあ!」の一場面(c)ABC-A・東映アニメーション

 人気アニメ「プリキュア」シリーズの第21弾「わんだふるぷりきゅあ!」で、キュアフレンディ/犬飼いろはを演じる種崎敦美さん。種崎さんは「SPY×FAMILY」のアーニャ・フォージャー役、「葬送のフリーレン」のフリーレン役などでも知られる人気声優で、昨年公開された劇場版アニメ「映画プリキュアオールスターズF」(田中裕太監督)で、プリキュアのキュアプーカを演じたことも話題になった。テレビシリーズでもプリキュアを演じることになった種崎さんに「わんだふるぷりきゅあ!」への思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇プリキュアショーを見たい!

 「わんだふるぷりきゅあ!」のモチーフは「動物」で、テーマは「動物も人も、みんな友達になれる!」、キーワードは「みんな なかよし!わんだふる~!」。動物と人が仲良く暮らす街・アニマルタウンを舞台に、犬と飼い主、猫と飼い主など動物と人の間に紡がれる深い絆、種族を超えた交流を描く。長縄まりあさんがキュアワンダフル/犬飼こむぎを演じ、キュアニャミー役の松田颯水さん、キュアリリアン役の上田麗奈さんが出演することも発表されている。ABCテレビ・テレビ朝日系で毎週日曜午前8時半に放送中。

 劇場版のオリジナルキャラクターのプリキュアを演じた声優が、テレビシリーズでもプリキュアを演じるのは初めてだ。

 「テレビシリーズのオーディションを受けてもいいんだ?と最初はそこにびっくりして、決まってさらにビックリしました。ビックリ続きでしたけど、本当に可愛くてすてきな、すでに大切で大好きな存在になっているプーカという役をまずは全うせねば!と思っていました。映画の公開が終わったら、プーカもそれで終わりではなくて、収録が終わっても映画の公開が終わってもずっと自分の中で大事な存在なので、テレビシリーズの収録が始まるまでいろいろ……実感があまりなくて……。でも収録が始まればもちろん全力で演じます。演じながら少しずつ実感がともなっていく中、音や色がついた第1話の試写を見たとき、そこからいろはの声が聞こえてきた時に、ああ、みんなでこれから長い時間をかけて「プリキュア」を作っていくんだな……としっかりと実感ができて、うれしさが一気に込み上げて大号泣してしまいました」

 「映画プリキュアオールスターズF」の出演をきっかけに「プリキュア」のイメージが変わった。

 「私はセーラームーン世代でして、子供の頃プリキュアを通ってこなかったので、プーカとして作品に参加するまでは、キラキラ、可愛い、女の子の憧れという印象でした。でも映画で見たプリキュアは、可愛いのはもちろんなのですが、最高に格好よくて、めちゃくちゃ熱かったんです。印象がガラッと変わりました。可愛さやキラキラはもちろんのこと、それを上回る圧倒的な格好よさに、好きな気持ちだけでなくなりたいと憧れる気持ちがよく分かりました」

 自身も子供の頃、セーラームーンに憧れ「なりたい!」という気持ちがあった。

 「子供たちが夢中になる気持ちがすごくよく分かったんです。プリキュアショーをまだ目の前で見たことがないので、プリキュアに夢中になっている子供たちを、目の前で、早く見てみたいですね。それを見たら、さらにいろいろな思いが生まれてくる気がします。プリキュアが始まって20年。これまでいろいろなプリキュアが登場してきましたが、子供たちはキャラクターがシリーズごとに変わっていくのをどういうふうに見ているのだろう?とふと考えたことがあって。でも、どれだけ新しいプリキュアになっても変わらない信念があるから、そこに子供たちが夢中になれる共通した何かがあるから、20年以上『プリキュア』は在り続けているのかなと今は思っています。それと、私は子供の頃、キャラクターショーを見たことがなくて。その意味でショー自体にも強い憧れあるので、今こそその思いを解き放ちたいです」

 ◇長縄まりあが本当に素晴らしい!

 同シリーズは、第1弾「ふたりはプリキュア」が2004年2月にスタートし、20周年を迎えた。長く続く大人気シリーズということもあり、プレッシャーも大きかった。

 「どんな役でもうれしいよりも緊張、プレッシャー、責任が勝ちます。プレッシャーは常に感じ続けています。20年を背負って、21年目のスタート……とはあまり考えないようにしています。シリーズではありますけど、それぞれがオリジナルでもありますし、みんなで作っていくものなので」

 種崎さんが演じるキュアフレンディ/犬飼いろはは、友達が多く、動物にも好かれている。世話好きで面倒見がよく、素直な性格で、ウソが苦手。運動も得意だ。

 「私自身は、世の中どうしても仲良くなれない人はいるはず……と思ってしまうのですが、いろははそうじゃない。どこまでも純粋にみんなと仲良くなりたいと思っています。人も動物も関係なく、みんなと目線を合わせて、真っすぐに歩み寄っていく。なので私も『みんな元気!みんななかよし!それがワンダフル』の気持ちで、まずは考えるより動いていこうと思って演じています。アフレコ中は過去一、実際に体も動いてしまっているかもしれません(笑い)」

 長縄さんが、同シリーズでは初となる“犬のプリキュア”のキュアワンダフル/犬飼こむぎを演じていることも話題になっている。いろはは、こむぎの飼い主でもある。

「長縄さんの演じるこむぎが本当にすてきで、可愛いくて、こむぎの言うことをなんでも聞いてあげたくなっちゃいますし、こちらを信じていろんなお芝居を投げてきてくれるのもうれしくて、収録が毎回楽しみです。長縄さんがこむぎとして、大好き!の気持ちを全力で伝えてきてくれるから、私もいろはでいられます。こむぎは、しゃべれるようになって、学校に通うようになって、人と交流する中でこれからどんどん成長していくはずです。こむぎが愛しすぎて、自分はその成長をうれしく思うのか? 寂しく思うのか?など、今からすでに想像して、泣いています(笑い)」

 ◇“ガルガル”高橋伸也の言葉でプリキュア実感

 プリキュアは変身シーンが大きな見どころになっている。変身シーンを楽しみにしている子供も多い。いろはが初めて変身したのは第2話だった。初変身の収録ではさまざまな思いがあったという。

 「大切だからこそ変身シーンに関しては私はずっと緊張しそうです……。ガルガル役の高橋伸也さんは、私がデビューしたての頃からずっとずっとお世話になっていまして、伸也さんのおかけで声優業界をこれまで生きてこられたと言っても過言ではないくらいなのですが、いろはちゃんがフレンディに変身した第2話の収録終わりに『ついにあっちゃんもプリキュアですかぁ…』と言ってくださったんです。しっかり変身シーンを経て変身するのはプーカの時も経験していませんし、ずっとお世話になっている伸也さんにその言葉を言っていただけたことで、プリキュアになれたことをより実感しました。伸也さんは、デビューしたての頃から今まで、私のあらゆるお芝居を見てくださっているので、お芝居に関する良いも悪いも全部バレてしまうといいますか(笑い)。何をやっても伸也さんには伝わってしまうので緊張もあります。でもやっぱり同じ現場にいてくださるとすごく心強いですし、一緒に作品を作っていけることがうれしいです。いつか変身シーンも慣れてきました!と言える日がきたらいいなと思います」

 プリキュアを演じる中で“プリキュアらしさ”を感じることもある。

 「例えば、こむぎが犬の状態でグミを食べそうになった時、しっかり叱らないと、アニメを見ている子供たちがまねをしてしまうかもしれません。なのでそういうせりふに関しては、こむぎに言っているけど、どこかで子供たちに向けても言っているような気がします。なので普通より少し盛ってこむぎに注意をしているかもしれません。当たり前に、自然とそれを意識してやっているのはこれまでにないことだと思います。すごく意識しているわけではないのですが、ずっとどこかに子供たちへの意識があります。それもプリキュアという作品ならではなのかもしれません」

 最後に今後の意気込みを聞いた。

 「街中にプリキュアがあふれていて、スーパーでも家電量販店でも関連商品が並んでいます。それを見つけて、出演者同士で、あったよ!と報告し合う現場の空気がすごく温かくて、みんなが作品のことを大切にしているのが伝わってきて、大好きです。そんなみんなで長い時間をかけて、一緒に『わんだふるぷりきゅあ!』を作っていけることが本当にうれしいですし、楽しみです。小さい頃も、大人になった今も、自分の中にずっとセーラームーンがいるように、誰かの心の中にキュアワンダフルやキュアフレンディたちがいてくれる日がきたなら、そんな幸せなことはないです。そうなれるように、この先も大切に作っていきたいと思います」

 真っすぐなキュアフレンディ、いろはは、きっと多くの人を魅了するはず。今後のさらなる活躍に注目したい。

 ※種崎敦美さんの「崎」は「たつさき」

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