全領域異常解決室
第7話 すべてお話します 物語はここから始まった
11月20日(水)放送分
人気作家・綾辻行人さんのデビュー作にして、「館」シリーズの1作目を実写化した「十角館の殺人」で、主人公・江南孝明(かわみなみ・たかあき)を演じた奥智哉さん。特撮ドラマ「仮面ライダーリバイス」(テレビ朝日系、2021~22年)出演後も、NHKの「ドラマ10『大奥』」(2023年)、TBS系日曜劇場「ラストマン-全盲の捜査官-」(同)などの話題作に起用されてきた、成長著しい19歳の若手俳優だ。今回、ドラマ初主演を果たした奥さんに、撮影の日々を振り返ってもらった。
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「十角館の殺人」は、綾辻さんの1987年の「十角館の殺人」から「奇面館の殺人」まで9編の長編推理小説で構成される「館」シリーズの1作目。天才建築家・中村青司が建てた「十角館」を合宿で訪れたミステリ研究会の男女を襲う惨劇と、死んだはずの中村青司から届いた1通の手紙の謎を追う元ミス研の江南孝明と島田潔の物語が描かれている。
実写版では、監督を、ハリウッド仕込みの映像演出で緊張感のある作風を得意とする内片輝(うちかた・あきら)さんが務め、脚本を、八津弘幸さん、早野円さん、藤井香織さんが手掛けた。
メインの仕掛けは「映像化不可能」とされ、実写化発表は大きな話題となった。
奥さんも原作について「全ての映画やドラマ、マンガ、アニメの中でも、こんなに衝撃を受けた作品はないっていうくらい自分にも響いた」と話すが、そんな作品でドラマ初主演を果たすことに対して当然プレッシャーはあった。
「役者としても人としてもまだまだ未熟な部分が多いので、自分としても『早いんじゃないか』と思ったりもしました。ただ、お話をいただいたからには、自分を信じてくれている方々の期待には『絶対に応えたい』と思っていたので、精いっぱいやらせていただきました」
主人公の江南孝明(通称・コナン)は元ミステリ研究会メンバーで、演じる奥さんいわく「とにかく好奇心が強く、知的欲求に素直すぎる、一直線に進んでいく真っすぐな子」だ。
「自分も根は子供っぽくて、素直さは似ている部分でもあったので、そこは表現しやすかったのですが、自分が思っている以上に明るいキャラクターだったので、そこは監督にアドバイスをもらって、表現の幅を大きくするということを心がけていました。会話の中でのリアクション、相手に対してグイグイといく、知りたい欲求を抑えられない様子やその状況を楽しんで口角が上がってしまう感じも意識しました」
そんな江南のキャラクター作りの一環として、奥さんはとある“ミステリー小説の大家”をまねたポーズも披露。
「江南が人差し指と中指を顎のラインに置いて推理をしているシーンがあるのですが、それはアガサ・クリスティの肖像から着想を得ました。あとは考えごとをしているときに、左手で唇を触るくせも、自分で取り入れさせていただきました」
内片監督からは、主演でありながら「もっと気楽に楽しんで現場にのぞんでほしい」とアドバイスをもらったといい、芝居がマンネリ化しないよう、ことあるごとに「フレッシュに!」という言葉が飛び交っていたと証言する奥さん。またその中で、「つかんだもの」があったと明かす。
「今までは感覚的に分かっていたつもりであった部分で、それはお芝居の基本というか、相手のお芝居を受けて、それに対してどう反射的に返すのか、というのをこの作品に入るまで、言語化して教わったことがなかったような気がしていて。でも今回は監督に、細かくかみ砕いて教わり、それを自分に落とし込むことができたというか。今まであいまいだったものが、腑(ふ)に落ちたというか。会話のテンポ感がすごく大事なシーンもあったりしたので、そういうところで“つかめた”気がして、俳優として一歩進めたのかなと個人的に思っています」
奥さんは「十角館の殺人」でドラマ主演を経験した今だからこそ、俳優として「いつまでもチャレンジャーでありたい」と話す。
「いつまでも挑戦する側でいたいというか。性格的に食わず嫌いな節があるので、今後もいろいろなことに挑戦していきたいというのと、同時になまけてはいられないなって思いもあって。それは自分に対して甘いところがあると自覚しているからで、いつまでたっても気を抜かずに、努力し続ける俳優でありたいなと思っています」
ドラマには、江南孝明と行動を共にし、「死者からの手紙」の謎を追う島田潔役の青木崇高さんをはじめ、濱田マリさん、池田鉄洋さん、前川泰之さん、河井青葉さん、草刈民代さん、角田晃広さん、仲村トオルさんが出演。またミステリ研究会のメンバーのキャストとして望月歩さん、長濱ねるさん、今井悠貴さん、鈴木康介さん、小林大斗さん、米倉れいあさん、瑠己也さん、菊池和澄さんも登場する。3月22日からHuluで全5話が一挙配信中。