黒沢ともよ×戸松遥:「響け!ユーフォニアム3」でヒリヒリ! 混乱する久美子 真由は異物?

「響け!ユーフォニアム3」の一場面(c)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024
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「響け!ユーフォニアム3」の一場面(c)武田綾乃・宝島社/『響け!』製作委員会2024

 武田綾乃さんの小説が原作のテレビアニメ「響け!ユーフォニアム」の最終章となる第3期「響け!ユーフォニアム3」が、NHK・Eテレで4月7日から毎週日曜午後5時に放送される。第3期では、主人公・黄前久美子が北宇治高校吹奏楽部の部長となり、高校生活最後の熱い青春が描かれる。謎多き転校生・黒江真由が新たに登場し、何やら新たな波乱が巻き起こりそうだ。久美子役の黒沢ともよさん、真由役の戸松遥さんに、第3期に掛ける思いを聞いた。

ウナギノボリ

 ◇久美子のアイデンティティー総崩れ

 --テレビアニメシリーズの新作として2016年放送の第2期から約8年ぶりになります。

 黒沢さん 第3期の制作が発表されたのは、4年前で、そこまでは走り切らなきゃいけないと過ごしてきたので、ここまでたどり着けて、本当によかったです!

 --戸松さんは第3期で出演が決まり、率直な感想は?

 戸松さん 同じ事務所の(寿)美奈子や(雨宮)天ちゃんから現場のことを聞いて、楽しそう!という印象がありました。今回、真由として関われることになり、うれしかったです。オーディションの時、大事なシーンのせりふが抜粋されていて、それを見るだけで、これはヘビーな役だ!と感じました。

 黒沢さん これまでもお世話になっていたのですが、ここ1、2年で共演が増えていて、すごくうれしいです。はる様なんだ!と心強かったです。はる様は幅がありますし、どのはる様なんだろう?と思っていたのですが……。

 戸松さん ただの転校生ではないという立場なので、役者として試されている!とも感じました。大事なポジションですし、どう作っていこうかな?と悩んでいました。本当にありがたいことに、私だけ事前にシナリオを全部読ませていただき、第1話の収録に臨みました。監督さんや音響監督さんから事前に「真由は異物なので」という話もありました。この子が入ってくることで、これまでの北宇治高校吹奏楽部のバランスが変わってきます。本人としては、この吹奏楽部を変えよう、と思って入ってくるわけではないけど、バランスが変わることが大事なんですよね。最終回から逆算するわけではないですけど、演じながらどう変化していくのかを楽しみにしつつ、臨ませていただきました。

 黒沢さん 久美子に関しては、実は真由以外にも大変なことが起きて、いろいろなストレスがかかってきます。久美子としては「異物」と感じていないけど、作品としてはキャラクターのバランスがすごく変わるので、今までになかった会話、連携などがあって、それが面白かったです。

 -ー新1年生も入ってきます。

 黒沢さん 久美子は、アイデンティティー総崩れみたいになって、らしくないこともやらないといけません。相当テンパっているし、アフレコしながら私もテンパっています。

 戸松さん 毎回、ハードだよね。

 黒沢さん 現場が和やかだから救われているところがありつつ、常に混乱しています。久美子もそうでしょうし、重なるところがあります。

 戸松さん 私は転校生ですしね(笑い)。第3期となると、出来上がった空気感があるのかな?と思いつつ、私自身は転校生のようにドキドキすることはなくて、最初から勝手に現場の空気感になじんでいるつもりでした。作品と現場の空気がリンクしていたら、私も孤高の存在である方がいいのかな?と思っていたけど、全然そんなことはなくて(笑い)。皆さんの切り替えもすごいんです。笑って話していたと思っていたら、本番になるとキリッとする。本当に楽しい現場です。

 黒沢さん 学園ものですし、常に半数が新キャラなんです。新しい人を迎えることに慣れているところもあるかもしれません。

 戸松さん ともよの心配りがすごいんです。よく後輩の子たちにも「元気?」と話しかけていますしね。現場が初めての新人の子がいたら、教えてあげたり、座長がこうだから現場の雰囲気も良いんだなと感じることもありました。

 黒沢さん 石原(立也)監督や小川(太一)副監督、音響監督の鶴岡(陽太)さんら顧問の方々もすごいんですよ。

 ◇戸松遥の背中が大きく見えた

 --役者としてのお互いの印象は?

 黒沢さん 恥ずかしい!

 戸松さん ともよはすごいよね。初めて出会う人種! 10代の時からいい意味で貫禄があったし、視点もすごいんです。それが表現にもつながっていて、見たことない表現を見せてくれます。すごい!につきます。器用だし、もちろん努力もしているんだろうけど、何でもできちゃうから。ずっとそう思っています。尊敬しているよ。

 黒沢さん 恐縮です。最初、はる様とは共演しないまま、お姉ちゃんとして遊んでもらってきました。今回、共演させていただき、声優としての確立されたお芝居のすごさを感じていました。テストの時から音の完成度がすごくて、第一線でずっと戦ってきた先輩は格好いいな!となって。ご一緒させていただき、甘えちゃった部分がたくさんありました。背中が大きく見えました。

 戸松さん ともよには子役の頃から積み重ねてきた経験もありますし、掛け合いでお芝居をすると、出てくるものが毎回違うんです。それがすごく楽しいんですよ。掛け合いから生まれるものが新鮮で、一緒にお芝居していて、楽しいですね。

 --テレビアニメ第1期のスタートから約9年がたちました。黒沢さんにとって「響け!ユーフォニアム」とはどんな存在になっている?

 黒沢さん 正月? 1年に一回じゃないけど回ってきて、実家みたいに大切な場所ですね。試されている気もしますし、もはや試されてもいない気もする。今までこんなことがありました……とお芝居を通じてお手紙を交換するみたいにもなっています。身の引き締まる思いもありつつ、安心感もある大切な場所ですね、なくなったらどうなるんだろう?とも思います。

 --最後に、放送に向けてメッセージをお願いします。

 戸松さん ヒリヒリします(笑い)。真由は、吹奏楽部員にとって、いろいろなことを考えるきっかけになる人物なのかもしれません。高校3年生という学年についても考えさせられます。高校の部活というコミュニティーの中で、本人たちなりに一生懸命で、高校生の時にしかできないことがあって、羨ましくもあります。もう子供ではないし、自分たちで考えて動かなきゃいけない年齢だけど、未熟で、まだ社会を知っているわけではなくて。絶妙な年齢の子たちのお話から感じるものがあり、大人として見ると、懐かしかったりもします。ぜひ見守りつつ、ヒリヒリしてください(笑い)。

 黒沢さん ヒリヒリしますよね(笑い)。久美子は部長になり、自分の感覚で今まで判断していたことが、感覚じゃなくて頭で判断しなきゃいけなかったり、しなくてもいいのにそうするべきだと思ってしまったり、久美子にとっての初めてがたくさん描かれる。「黄前さんらしいね」で始まった「響け!ユーフォニアム」ですが「黄前さんらしくない」ことも続き、そんな黄前さんがどうなっていくのか? そこを楽しんでいただければと思います。会社にお勤めの方が、黄前さんを見ていると、我がことのように感じるかもしれません。彼女の成長と共に、自分の物語とも感じて、楽しんでいただけるとうれしいです。


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