ドラゴンボールDAIMA
第11話 デンセツ
12月23日(月)放送分
枢やなさんのマンガが原作のアニメ「黒執事」の新シリーズ「黒執事 -寄宿学校編-」が4月13日からTOKYO MXほかで放送される。2014年7~9月に放送された「黒執事 Book of Circus」以来、約10年ぶりのテレビアニメ新シリーズで、セバスチャン・ミカエリス役の小野大輔さん、シエル・ファントムハイヴ役の坂本真綾さんが続投する。テレビアニメ第1期がスタートした2008年から約16年にわたってシエルを演じている坂本さんに「黒執事」への想(おも)い、新シリーズについて聞いた。
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「黒執事」は2006年9月から「月刊『Gファンタジー』」(スクウェア・エニックス)で連載中のマンガ。英国の名門貴族のファントムハイヴ家を舞台に、13歳のわがままな主人に仕える完全無欠の執事セバスチャンの活躍を描いている。全世界のシリーズ累計部数は3500万部以上。2008年10月~2009年3月にテレビアニメ第1期が放送された。「黒執事II」が2010年7~9月、「黒執事 Book of Circus」が2014年7~9月に放送され、劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」も2017年1月に公開された。
テレビアニメの新シリーズは約10年ぶりで、「豪華客船編」にあたる劇場版「黒執事 Book of the Atlantic」の公開からは約7年がたった。まさにファン待望の新シリーズとなった。
「『豪華客船編』から何年もたっていましたし、テレビシリーズという形でまたできることになるとは、想像していませんでした。原作は続いていますし、人気作なので、もしかしたらまた劇場版などがあったらいいな……と思い描いていたんですけど。待ち望んでいる方も多いと思いますし、テレビシリーズというのもうれしかったです」
「黒執事」は、長く愛されている作品だ。
「最初のテレビシリーズから15年くらいたっていますが、体感的にはそんなに年月を感じないんですよね。ただ、同業の声優の方、現場でお会いするアニメ関係の方に、『中高生の時、見ていて大好きで、影響を受けました』『好きなキャラクターはシエルです』と言っていただけることが最近多くて、年月がたったんだな……という実感と共に『黒執事』が皆さんに記憶に残る作品になって、アニメに携わる仕事がしたいという思いにつながる原体験になっていることがすごくうれしいです」
新シリーズ「寄宿学校編」は、シエルの元に女王から、英国屈指の名門寄宿学校・ウェストン校に通う親族・デリックほか複数人の生徒が音信不通になっているという手紙が届き、セバスチャンとシエルは、事件を調査するためにウェストン校に潜入することになる。
「『寄宿学校編』は、ここだけ読んでも面白く、『黒執事』の世界観をよく知らない人も入りやすいエピソードです。一つの謎を追い掛ける中で、小さな謎が少しずつ解決されていき、サスペンスとしての爽快感もあります。シエルはこれまでと違って、普通の同年代の男の子たちのような雰囲気を装っているシーンが多く、いつもの『黒執事』と一味違うけど、最後まで見ると、やっぱり『黒執事』らしいちょっとダークな要素もあって、やっぱりあの『黒執事』だ!と引き戻されるような感覚がありました。コミカルな部分、ダークな部分の落差があり、見ている人が、引き込まれるお話ですよね」
アニメでシエルを演じるのは久しぶりではあるが「意外にスムーズな印象でした」と語る。
「最初のテレビシリーズの時、結構苦戦した記憶がありまして、当時は男の子をそんなにたくさん演じたことがなかったので、不慣れな中で声のトーンをかなり低くして、低い音域だけでお芝居するのが自分にとって難しく、シエルの役をうまくできているのか?と毎回反省しながらアフレコをしていました。今でもシエルを演じるとなると、当時の緊張感がよみがえるところもあります。年月がたって少年役をたくさん演じさせていただけるようになりましたし、ほかの作品で得たものをフィードバックできるようなキャリアを積んできたこともあるのかもしれませんが、今回、第1話で小野さんと掛け合いをした瞬間に、これこれ!これが『黒執事』だな! セバスチャンとシエルだな!としっくりきて、安心しました。みんなで一緒に作ってきた作品に再会し、違和感なく始められたと思います」
「寄宿学校編」でシエルは生徒を装い学校に潜入するため、同年代の少年たちと交流する。コミカルなシーンもあり、これまでにないシエルの表情を見ることができる。
「これまで悪魔や死神など濃いキャラクターが多い中で、『シエルはあまり影響されず、クールであることをキープしてほしい』と言われてきました。今回もベーシックなところは変わらないのですが、シエルは学校に溶け込み、爽やかで普通の少年を演じているので、意外と感情の幅を見せてくれます。学友と笑い合ったり、熱血にスポーツをしたり、普段のシエルとは違う行動や表情がいっぱいあります。へりくだった接し方をして、先輩を立てたりもしますしね。同室のマクミランは本当にいい子で、シエルも多分その本質を見抜いているのか、あまり警戒心を見せずに、素で接しているようにも感じもしました。誰かと会話する途中に心の声も入ってきたりするので、カットごとにいろいろなシエルが現れます」
坂本さんは、さまざまな表情を見せるシエルを演じることについて「楽しかった」と振り返る。
「いろいろなシエルを演じられたのは、自由度が高く、楽しかったです。一方で、セバスチャンと二人きりになった時は、これまでのシエルになります。行ったり来たりして、二面性を演じるのが難しくもあり、楽しかったですね。以前の私には、難しくてできなかったかもしれません。継続してきた今だから、楽しんでできるようになったんです。今の私が原作、脚本を読んで、新しい気持ちで、今の私のシエルにしたいと思って演じています」
シエルはこれまでにない表情を見せるようだが、セバスチャンも変化するのだろうか?
「ビジネスパートナーとしてお互いの利害があってそばにいることが大前提なので、シエルからすると、決して心を許していい相手ではないとは思いますが、今回は寄宿学校というアウェーな場所に行き、二人だけが共有している秘密があり、お互いに意外と頼っているところもあるように見えます。ビジネスパートナーだけど、それ以上の部分もよく見えるんです。今までのシエルよりも、心を開いている印象が私にはありました。セバスチャンは、計算高い人ですが、冷たさと温かさが交互に見えて、一番たちが悪いタイプの男性かも(笑い)。悪魔であることは忘れちゃいけないですよね。シエルのことを特別に思ってくれているところも時々見えます。小野さんが『セバスチャンは豪華客船編で敗北を経験して何かが変化している』ともおっしゃっていて、確かにそうなんですよね。言葉ではうまく説明できないのですが、以前と違うセバスチャンも見られます。ガラッと変わったのではないのですが、何かにじみ出ているような変化なのかもしれません」
坂本さんとセバスチャンを演じる小野さんのコンビネーションも見どころだ。小野さんには全幅の信頼を寄せている。
「この作品は二人がメインキャストですが、小野さんが大黒柱だと思います。カリスマ性と天性の品のようなものがあり、一声発すると、『黒執事』の世界がパッと広がるようなところがあります。セバスチャン役は小野さんしかいないと改めて感じました。小野さんがセバスチャンをすごく大事に思っているのも伝わってきますし」
◇P4(ピーフォー)登場で“新しい風”
「寄宿学校編」では、新キャラクターの4つの寮の監督生(プリーフェクト)、P4が登場する。P4を演じるのは、エドガー・レドモンド役の渡部俊樹さん、ロレンス・ブルーアー役の榎木淳弥さん、ハーマン・グリーンヒル役の武内駿輔さん、グレゴリー・バイオレット役の橘 龍丸さんの4人だ。P4のキャストが発表された際、声優陣は「学生時代から触れてきた作品」「ドップリとハマった世代」などとコメントを寄せていた。
「新しい風が入ってきた!と感じました(笑い)。新鮮でしたし、刺激をいただきました。P4はそれぞれ個性豊かで、それぞれの演技を聞いたら、四者四様にはっきりと個性を表現されていて、原作を読んだだけでは、私はここまでイメージできていなかった……と新しい発想もありました。4人の対比がしっかりしているんですよね。例えば、渡部さんが演じるエドガー・レドモンドは、家柄とか気品という少し曖昧な個性を与えられていて、どうやるんだろう?と思っていたら、後に出てくる設定も加味して、気品を分かりやすくこってり描くことで、みんなとは違い、それでいてリーダー格であるところを見せています。役作りには、無限の可能性がありますが、そこをはっきりと描いた4人だと思っています」
長く続いている作品ではあるが「寄宿学校編」は、これまでのファンはもちろん「黒執事」を見てこなかった人も楽しめるシリーズになっている。
「見る人を選ばないエンターテイメント性の高いエピソードです。長く続いているシリーズは、途中から入りづらいと思う人もいるかもしれませんが、本当に入りやすくて、作品のことを知らなくても楽しめるはずです。家族で見られる作品になってきたとも感じています。今回出演されている新キャラクター演じる方々は、世代的にこれまで『黒執事』を見てきた方も多く、女性の人気が高い作品かと思いきや、男性も好きになってくれていたんですよね。新作をきっかけに、『黒執事』の世界に足を踏み入れていただければうれしいです」
「寄宿学校編」は「黒執事」の新たな魅力を堪能できるシリーズになっているようだ。坂本さんが“新しい気持ち”で臨んだシエルの演技にも注目したい。
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