「氷菓」などで知られる米澤穂信さんの小説が原作のテレビアニメ「小市民シリーズ」がテレビ朝日の深夜アニメ枠「NUMAnimation（ヌマニメーション）」ほかで7月6日から毎週土曜深夜1時半に放送される。かつて“知恵働き”と称する推理活動で苦い経験をした小鳩常悟朗は、同じ志を立てた同級生の小佐内ゆきと、互いに助け合う互恵関係をひそかに結び、小市民として平穏な日々を送るつもりでいたが、なぜか不可解な事件や災難が次々と舞い込んでくる……というストーリー。梅田修一朗さんが小鳩常悟朗、羊宮妃那さんが小佐内ゆきをそれぞれ演じる。梅田さんと羊宮さんに同作の収録の裏側を聞いた。

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　◇演じるというよりも“しゃべっているだけ”

　－－作品の印象は？

　梅田さん　凶悪な事件に立ち向かうわけでなく、日常で起こる謎や事件をしっかり推理していくところが、本当に読みやすいんです。テンポ感もよくて、小鳩君の軽妙な語りが面白くて、小佐内さんをはじめとしたキャラクターたちも個性的で、何でこれを読んでこなかったんだろう？と思うくらい、あっという間に読み終えてしまいました。

　羊宮さん　日常生活が進んでいく中で、ちょっとした謎が生まれ、そこで小鳩君が考えていくので、小鳩君と一緒になって謎解きができます。私は小中学生の頃、日常生活の中に潜む非日常が自分に起こるかもしれないと想像することが好きでした。大人だけでなく、幅広い年齢層の方が楽しめる作品だと思います。

　梅田さん　誰が読んでも面白いミステリーですよね。僕が学生時代に読んでいたら、小鳩君のまねを脳内でしていたと思います。

　羊宮さん　そうですよね！

　梅田さん　日常を舞台にしているところが面白いです。

　－－アニメを見ると、2人の演技がナチュラルで本当にそこにいるようにも感じました。演じる際に意識したことは？

　梅田さん　スタジオオーディションの段階から「より自然に」「張りすぎず」というディレクションをいただいていましたし、その中でより小鳩君らしさを出していこうとしました。アニメになることで音声がついていくと、小佐内さんと小鳩君の会話の温度感、表現が大事になってきます。羊宮さんがおっしゃってくれたのですが「相互作用」があって、羊宮さん演じられる小佐内さんに小鳩君の自然なところ、お調子者なところ、知的なところをより引っ張り出してもらっています。そこでナチュラルな会話、二人がしっかりいる温度感を表現できていたらうれしいですね。今回はプレスコに近くて、画（え）はあるのですが、口パクに合わせるのではなく、僕たちの会話のテンポ感をアニメに合わせていただいています。それによって、2人の空気感がよりナチュラルになっていると思います。

　羊宮さん　私も小鳩君ありきです。2人の関係性が面白くて。小鳩君もゆきちゃんもナチュラルですが、違うところを挙げるとしたら、小鳩君は推理する時に、言葉を立てることがあります。ゆきちゃんはそこまで言葉を立てず、「さらっと読んでください」というディレクションをいただいていました。演じているというよりも、しゃべっているだけ、本当にそこにいるみたいにすることが、今まで演じてきた役の中でも一番強かったと思います。

　梅田さん　小鳩君として隣で演じさせていただき、せりふに入る時の自然な息遣いまで感じていて、小鳩君としてそれを受けていました。

　◇「ぼくが思うに」に込めた思い

　ー－羊宮さんはキャスト発表の際に「小佐内さんは原作を読めば読むほど、どう演じようかなと悩んでしまう」とコメントされていました。演じる中で悩みはなくなった？

　羊宮さん　ゆきちゃんは、どこかつかめきれない、本心が見えづらいところがあって、小説では小鳩君の目線で描かれているので、小鳩君の目に映っているゆきちゃんはそうなんです。だからこそ、何をくみ取り、どう表現していくか……とずっと悩んでいました。ただ、私が断定的にしてしまうと、私視点のゆきちゃんにしかならないので、あくまでつかみきらずに、自分のありのままのゆきちゃんでいようとしました。そうすることで、ナチュラルでいることができるのかな？という一つの答えにたどり着きました。

　－－小鳩は「ぼくが思うに」という決めぜりふも印象的です。

　梅田さん　決めぜりふではあるのですが、小鳩君にとっては、言い慣れている言葉ではあるので、あえて立てるわけではなくなりました。推理をして、結論づけた時に必ず出る自分の中のルーティンみたいなものなので、小佐内さんたちとの会話の中で出る「僕が思うに」は、自然な言葉として出ていると思います。

　羊宮さん　SNSで考察する時や感想を書く時に「#僕が思うに」を付けてほしいですね！

　インタビュー（2）に続く。