森田成一×杉山紀彰:「BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-」インタビュー(1) 20年たっても変わらない「BLEACH」らしいチームワーク

「BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-」に出演する森田成一さん(左)と杉山紀彰さん
1 / 3
「BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-」に出演する森田成一さん(左)と杉山紀彰さん

 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された久保帯人の人気マンガ「BLEACH(ブリーチ)」が原作のテレビアニメ「BLEACH 千年血戦篇」の第3クール「BLEACH 千年血戦篇-相剋譚-」が、10月5日からテレビ東京系ほかで放送される。分割4クールの「千年血戦篇」は、いよいよ後半戦に突入する。また、「BLEACH」は今年、テレビアニメの放送開始から20周年を迎える。約20年にわたって主人公・黒崎一護を演じる森田成一さん、石田雨竜役の杉山紀彰さんに、収録の様子について聞いた。

あなたにオススメ

 ◇雨竜の裏切りをどう演じた?

 --全4クールということもあり、折り返し、後半戦に突入します。

 森田さん 折り返しですが、気持ち的には折り返していないんです。第1クールの前半は一護が派手に戦っていたけれど、それ以降はそんなに戦っていない。僕の“BLEACH史”の中で特に戦わない期間が長く、分かっていたことなのですが、ここまでか……とも感じています。一方で、ほかのキャラクターの魅力的なシーンがたくさんあって、久保先生の監修の下、原作を補完するシーンが増えていて、より厚みができていますし、原作では描かれていなかったところがしっかり分かるようになり、より肉厚になっています。

 --「千年血戦篇」は約10年ぶりのアニメの再始動ということも話題になりました。

 森田さん 第1クールは、久しぶりの「BLEACH」ということもあって、非常に気合が入り、興奮しながら演じていました。その後、一護の修業が始まってからは、実は原作には描かれていないシーンが多く、僕も一話一話を手探りで演じていて、面白い冒険になりました。先生にも質問するのですが「森田さんがやっているのが正解ですから」と言われるんです。信頼が厚すぎるな……と思ったり(笑い)。その信頼に甘えることなく、アニメがすさまじい挑戦をしているので、僕も挑戦できたことがよかったです。

 杉山さん 先生が原作を補完する形で、原作では意図的に省いたところが、アニメでは新しいシーンとして補完されています。一護たちメインキャラクターたちだけではなく、各キャラクターが丁寧に描かれています。魅力的なキャラクターたちが掘り下げられているのは、作品のファンとしてもうれしかったです。登場頻度が高くなかったキャラクターにもう一度光が当たっているのもすてきなポイントです。

 --第2クールは石田雨竜が裏切った形となったことも話題になりました。杉山さんはどのように演じようとした?

 杉山さん 僕は前後の関係、雨竜の思いが分かっていますが、原作を読んでいない方は何で?となるかもしれません。初めて原作を読んだ際の読後感が、アニメを見た時にも感じるような演出になっていて、悩んでいたり、葛藤したりするようなニュアンスをお芝居に入れていましたが、テストの段階で「気持ちがうっすら透けて見えてしまうので、なぜそうなったのか全く分からないようなニュアンスで」というディレクションをいただきました。

 ◇久しぶりの食事会に感動

 --第3クールの収録の様子は?

 森田さん 僕は杉山君とほとんど一緒に収録していないんです。雨竜と一護が絡むシーンが少ないですし、会ったのは2回くらいだった?

 杉山さん そうですね。分散収録でしたしね。

 森田さん 会った時に、一緒にご飯に行ったんです。昔、「BLEACH」の収録の後、ご飯に行くことが多かったので、久しぶりにそれができて、感動しました。由貴ちゃん(井上織姫役の松岡由貴さん)と久しぶりに3人でご飯に行けてうれしかったし、懐かしかったです。現場では織姫、夜一さん、チャド、岩鷲が一緒になることがあって、夜一さん役のゆきのさつきさんと由貴ちゃんが僕にちょっかいを出すんです。昔からやられていたのですが、それが復活して。台本を置いて、トイレに行って、帰ってきたら、イタズラ書きされていて、懐かしい……となって(笑い)。格好いいせりふの下に、ハートマークが書いてあったりして、困っちゃいますよね(笑い)。

 杉山さん 僕はそんなことされたことないですね(笑い)。

 森田さん そうですよね。リハーサルVTRを返す箱があるのに、僕に渡すんです。そしたら、みんな僕に渡すようになって……座長というか雑用ですよ! 昔からそういう現場だったので、そこが「BLEACH」らしいのかな? 昔からワイワイやっている現場だったので、チームワークもいいし、僕はうれしいですね。みんなすごい役者ばかりなので、その人たちがチームを組むことによる相乗効果も生まれるし、現場の温かさ、雰囲気がトップクラスなのが「BLEACH」らしさだと思います。「千年血戦篇」は、「BLEACH」を見て育った新しく若いキャストも入ってきます。みんなド緊張して、石仏みたいになっているんです。ただ、僕らのやり取りを見て、ほぐれているようにも感じていて、「楽しかったです!」と言って帰る姿を見ると、うれしくなります。

 ◇20年たっても変わらない

 --テレビアニメがスタートした2004年から約20年がたちました。役者としてのお互いの印象は約20年前と変わった?

 森田さん 変わっていないですね。

 杉山さん 僕も変わっていないです。番組のスタート当時から森田さんは原作をとても大切にされていて、原作でこのシーンはこういう表情をしているから、アニメの動きではどうなるか?などの確認を細かくされていて、原作への愛情やリスペクトを感じ、いつもすごいな……と思っていました。座長として作品をよくしたいという思いがものすごく強く、それが周りにも伝わってくる。ありがたいです。作品に対する愛情、熱量がある座長で、作品を引っ張ってくれます。それは今でも変わりません。

 森田さん 杉山君は同級生で、同じ年数を生きているのに、人間ここまで違うんだ……と感じています。僕はちゃらんぽらんなので(笑い)。杉山君は徹頭徹尾真面目でそれが全く変わらない。本当にすごいです。久しぶりに「BLEACH」で会って、変わらない姿を見せてくれることに安心感がありました。雨竜だけではなくて、それぞれのキャラクターを演じる皆さんが、そのまま続けていることもありがたいです。主人公は、一番目立つけど、ある意味では賑やかしなんです。ほかのキャラクターが、しっかりとした土台や壁を作ってくれて、それがないと瓦解してしまう。みんなが変わらないことが、20年続いている一つの理由だと思っています。元々、「BLEACH」は久保先生の類いまれなる頭脳の中から生まれてきていますし、スタッフ、キャストがみんなでしっかり作ってくれるから、僕自身が賑やかしとして遊べるんです。僕が「こう思ったのでやりたい!」と言って、やらせてもらえる。やり方は無数にありますが、僕は僕の一護をやりたい。杉山君が真面目に理路整然と整頓してくれるのは、ありがたいし、頼りになります。

 インタビュー(2)に続く


写真を見る全 3 枚

アニメ 最新記事