解説:「ヤマトよ永遠に REBEL3199」 抵抗の物語 社会を映す鏡か?

「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第三章「群青のアステロイド」のティザービジュアル(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員
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「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第三章「群青のアステロイド」のティザービジュアル(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」。全7章で、第一章「黒の侵略」が昨年7月、第二章「赤日の出撃」が同11月に上映され、第三章「群青のアステロイド」が今年4月11日に上映される。「3199」は、1980年に公開された劇場版アニメ第3作「ヤマトよ永遠に」を原作に、新解釈を加えて再構成した。第二章まで見ると、原作とは異なる展開になっていることが分かるが、まだまだ謎も多い。「3199」では“抵抗の物語”になるというが……。

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 ◇デザリアムは善意の使者なのか?

 リメークシリーズは、西暦2199年を舞台とした「2199」から始まり「2202」「2205」が発表されてきた。「3199」は、3199年ではなく、「2205」の2年後の西暦2207年から物語が始まる。ガミラス本星とイスカンダル星が消滅した事件から2年が経過し、突如、太陽系に謎の巨大物体・グランドリバースが出現する。

 第一章では、グランドリバースが、地球の新首都に降下する。2年前にヤマトが遭遇した敵・デザリアムが地球に侵攻するが、第二章では新都での戦闘が終結する。デザリアムの聖総統スカルダートは「われわれはあなたです」と1000年におよぶ歴史を語る。デザリアムは、破滅に向かう地球の未来を変えるために“イスカンダルの欠片”を探していたことが明らかになる。

 タイトルの「3199」は、どうやら1000年後を意味しているようだが、謎は残る。デザリアムは敵ではなく、不幸な歴史を変えるために現れた善意の使者のように振る舞っている。もっともらしいことを言っているが、その真偽は明らかではない。さまざまな情報に翻弄され、何が真実なのかが分からなくなる。人類が直面している問題が描かれているようにも見える。

 ◇さらなる驚きが!

 「3199」は、社会を映す鏡のような作品だ。総監督を務める福井晴敏さんは、インタビューで「震災、コロナ、いつ戦争に巻き込まれるか分からない緊張、AIが出てきて、人間性をどうやって担保していくのか?と日本人がここ数年で直面したことがあって、それがダイレクトに反映されています」「同調圧力の怖さも経験しました。戦時中にあれだけ嫌な思いをして、気を付けていかなければいけなかったはずなのに、ここ数年で人間の本質は変わっていないことが如実に表れた。言ってしまえば、こんなに支配しやすかったのか?と」と語ったことがあった。

 福井さんは「さらに、それ以上の驚きがその後に待っています。一度、皆さんが体験しているびっくり箱は、もうびっくり箱にならないので、最初から開けてお見せします。そこからとんでもないことになり、びっくり箱はそこも開くのか!?となるかもしれません」とも話しており、どうやらまだまだ驚きの展開が待っているようだ。

 第三章では旧ヤマト艦隊クルーを中心とするパルチザンが、デザリアムの正体を世間に訴えるべく、大規模な反抗作戦を計画するといい、どのように“抵抗”していくのかも気になるところだ。今後の展開が注目される。

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