細川栞:「報道ステーション」異色経歴の気象予報士 365日頭の中は気象のことでいっぱい 

「報道ステーション」で気象情報コーナーを担当している細川栞さん(C)テレビ朝日
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「報道ステーション」で気象情報コーナーを担当している細川栞さん(C)テレビ朝日

 昨年7月から、テレビ朝日の看板番組「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)で気象情報コーナーを担当している細川栞さん。システムエンジニアから、気象予報士に転職したという異色の経歴の持ち主だ。テレビの世界に足を踏み入れて9カ月、細川さんに人生の転機を振り返ってもらった。

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 ◇気象予報士試験のため猛勉強も「癒やしに感じるぐらい面白かった」

 細川さんは成蹊大理工学部卒業後、大手電機メーカーに就職。システム開発や、データ収集、品質管理などの業務のかたわら、気象予報士・キャスターを目指した。

 「大学では物質生命理工学科という学科だったのですが、けっこう環境系の勉強もしていたので、もともと環境や自然に興味がありました。これも学生時代なのですが、テレビ局のイベントスタッフのアルバイトをしていた際、気象キャスターの方が中継をしているのを見て興味を持ったのが、この仕事を意識したきっかけでした。システムエンジニアとして働く中でこの先の人生を考えた時に、どっぷりとハマれる仕事をやりたいと考えて、気象予報士試験合格を目指しました」

 だが、気象予報士試験は合格率約5%ほどの狭き門。「平日は通勤の合間も活用して3時間くらい、休日も食事中と寝る時以外はずっと勉強していました」と、試験勉強に励んだ。

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 「どんなに仕事が忙しくても、気象予報士の勉強をする時間が癒やしに感じるぐらい面白かったんです。周りからは『働きながら資格取得は大変だね』とも言われましたが、一度も大変と思ったことがなかったんですよね(笑)。これをお仕事にできたら幸せだろうなっていうのも勉強のモチベーションでした」

 ただ家族には秘密にしていたそうで「なれなかったら恥ずかしいと、変なプライドで……ずっと秘密で勉強していました」と笑う。そんな猛勉強もあって、試験には3回目の挑戦で合格。そして昨年、気象情報会社ウェザーニューズに入社した。

 異業種からの転職だが、システムエンジニアの経験が生きていることもあるという。

 「難しい専門用語が多いのが共通点だと思うのですが、お客さまに説明する際に、分かりやすく伝えるというところは、ちょっと似ているかなと思います。気象予報士の仕事には気象情報の分析や集計もあるので、そういうデータ分析も、昔の仕事が役立っているのかなと思います」

 ◇大越健介キャスターの言葉が励みに

 ウェザーニューズ入社後、昨年7月1日から「報道ステーション」の気象情報コーナー担当に抜てきされた。少し前までは、テレビの世界とは無縁だった人生。気象キャスターは目標ではあったが、いきなり出役になったことに緊張した。忘れられない、初めての出演回。当日は活発な梅雨前線の影響で警報級の大雨が発生し、番組中には急きょ4回も出演し、視聴者に警戒を呼びかけた。

 「シビアな気象状況ではあったので、なんとしても最後までやり切ろうという思いだったのですが、『すごく緊張しているのが伝わった』という感想をもらって。反省して、結構しばらく引きずってしまっていたんです」

 そんな時、番組メインキャスターの大越健介さんの言葉に励まされた。

 「大越さんが『あれはあれで良かったんだ。緊張感は持ったままで大丈夫』と言葉を掛けてくださいました。これからも、あまりテレビ慣れしすぎずにいてほしいという意味だったと思います。それからは、災害なども伝える仕事ではあるので、緊張感はある程度持った上で出た方がいいと番組に臨んでいます」

 夜の番組のため、平日は深夜2時に就寝し、午前9時に起床する日々。起きたらすぐに朝の情報番組で、ほかの気象キャスターの姿をチェックし、分かりやすく、聞きやすい伝え方を学んでいる。

 「命にも関わる情報もお伝えするので、天気予報を聞き流している方にも、惹(ひ)きつけられるような言い方とか声のトーンを探っています」

 天職だったと言えるほど、気象に携わる仕事に熱中している。休日の日曜も「世界の天気というか、地球全体の気象状況を見ていて。偏西風の流れなどをチェックし、一週間の見通しを立てています」と明かす。

 土曜だけは気分を切り替えて趣味のガーデニングをするというが「たとえばチューリップって冬の寒さ次第で開花の時期が全然違うんです。植物は天気にすごく敏感というか正直なので……結局気象のことを考えていますね(笑)」と、365日気象のことを考えている。

 今後どのような気象予報士を目指すのか。「気象情報に関心を持ってもらえるよう、分かりやすく伝えられるように。そして、気象の面白い部分も伝えていけるような予報士になりたいです」と、真剣なまなざしで意気込んだ。

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