あんぱん:第102回の注目度推移 「扉の向こうに蘭子あり」 午前8時14分にピークの76.2%

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第102回(8月19日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」の1分ごとの推移を調べたところ、第102回で最も注目度(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)が高かったのは、「壁に耳あり障子に目あり」のことわざ通りの展開となった午前8時14分の76.2%だった。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせたかしさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時14分の76.2% 恋バナで盛り上がるのぶと嵩の前に張本人登場!

 第102回は、新会社「九州コットンセンター」を設立した八木(妻夫木聡さん)の過去を交えつつ、蘭子(河合優実さん)と八木の関係を軸に描かれた。テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」のグラフはこの日、三つの山が次第に大きくなっていく形で終盤にピークを迎えた。

 最初の山は、オープニング後まもなくの午前8時2分の69.0%。仕事をクビになったのぶ(今田さん)が、登美子(松嶋菜々子さん)からそんなにしょげなくていいと励まされる場面だ。2分ちょうどは登美子のお茶の弟子たちが茶室に入ってくるあたりで、のぶは「作詞家の柳井嵩さんのお嫁さんですか?」と声をかけられる。「嵩(北村匠海さん)の父親が文学に傾倒しておりまして、その血を受け継いだようです」とうれしそうに説明する登美子が印象に残る場面だ。

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 2回目の山は、ダメ出しされていたビーチサンダルの宣伝文を蘭子が八木に提出し、ようやくOKが出た午前8時6分の73.0%。戦時中は小倉連隊の宣撫(せんぶ)班班長だった粕谷(田中俊介さん)が原稿を見て、「一つだけいいですか?」「ここは強調して『絶対』と入れたらどうだろう」と提案するあたりが6分ちょうどだ。この意見に、蘭子は「私、『絶対』という言葉は使いたくないです」と拒否。「その言葉、ダメなんです」と語る蘭子の表情を見て、八木は「このままで行こう」と決める。「絶対」という言葉が、視聴者の心にも針のように引っ掛かって残る場面だ。

 「絶対」を使いたくない理由が明らかになるのは約6分後。福岡に残していた妻と子を空襲で失っていたことを八木が蘭子に語った場面だ。

 「出征する時に、妻と子には、絶対に生きて帰ると約束した。やっとの思いで復員してきたら、2人は福岡の空襲で死んでた。何のために戦地で生き延びたのか……分からなかったよ」

 自身の過去を淡々と語る八木の話にも「絶対に」という言葉が登場する。この言葉、そして八木の過去に共鳴したのだろうか。蘭子は「私にも、絶対に生きて帰ると言ってくれた人が、いました」と切り出す。八木が「その人は?」と尋ねると、蘭子は首を横に振り、「だから、私、絶対っていう言葉使えないんです」と明かす。

 この蘭子が抱えていた思いを打ち明ける場面が午前8時12分台の前半。ここが3回目のピークと言いたいところだが、2回目の山の後の午前8時7~12分は66~68%台とほぼ横ばいで、注目度はあまり上りも下がりもしていない。

 この日のピーク、3回目の山は午前8時14分。先ほどの蘭子の打ち明け話の後、急上昇し、76.2%を記録した。

 実はこの場面、自宅で絵を描く嵩にのぶが「蘭子、恋をしちゅうがやないろうか」と話しかける場面。「えっ、誰に?」と驚く嵩に、のぶが「誰って」と、八木に贈るため嵩が描いている絵に視線を落とす。「えっ、八木さん」「それはないんじゃないかな」と嵩が興奮気味に反論していると、玄関をノックする音が聞こえ、扉がやや乱暴に開けられると、そこには、蘭子が立っていた。そして淡々と「ご心配なく。私は一生、恋愛らあはせんので」と宣言する。

 ややベタな展開だが、やはり視聴者は盛り上がったのだろう。注目度の76.2%は他の回と比べても、比較的高い数字だ。蘭子は動転する2人に「お客さん」とつぶやき、健太郎(高橋文哉さん)が代わって玄関に入ったところで第102回は幕となった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。

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