あんぱん:第114回の注目度推移 最高値は午前8時14分の74.1% 蘭子が出会った「とんでもない人物」に視線クギヅケ

連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK
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連続テレビ小説「あんぱん」のロゴ (C)NHK

 今田美桜さん主演のNHK連続テレビ小説(朝ドラ)「あんぱん」(総合、月~土曜午前8時ほか)の第114回(9月4日放送)で、視聴者を最も引き付けた場面はどこだったのか? テレビの前の視聴者が画面にクギヅケになっていた程度を示す「注目度」(REVISIO社調べ、関東地区、速報値)の1分ごとの推移を調べたところ、最も注目度が高まったのは午前8時14分の74.1%だった。次回第115回に結果を持ち越す演出が、視聴者をクギヅケにしたと思われる。

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 「あんぱん」は、「アンパンマン」を生み出したマンガ家で絵本作家のやなせさん(1919年~2013年)と、暢さん(1918年~1993年)夫婦がモデル。何者でもなかった2人があらゆる荒波を乗り越え、“逆転しない正義”を体現した「アンパンマン」にたどりつくまでを描く、生きる喜びが全身から湧いてくるような「愛と勇気の物語」だ。

 ◇最高値は午前8時14分の74.1% 「ああっ!」と驚く蘭子の前にいたのは誰?

 第114回は、いろいろ話題の多い回だった。嵩(北村匠海さん)がマンガ家生命をかけて描いた作品「ボオ氏」がマンガの懸賞で大賞を受賞。数日後、八木(妻夫木聡さん)の会社で受賞祝いが開かれ、柳井家には天才マンガ家、手嶌治虫(眞栄田郷敦さん)が突然訪れる。ラストでは翌日の第115回に続くシーンもあった。

 テレビ画面の前にいる人のうち、画面を実際に注視している人の割合を示す「注目度」は、開始からラストまで、70%台にたびたび乗るグラフを描いた。番組中、多くの視聴者の視線をつかむことに成功した回だったといえそうだ。

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 最初の山は、午前8時1分の72.9%。自分の作品「ボオ氏」がマンガの懸賞で大賞を受賞したことを確認し、腰を抜かしたかのように嵩がソファーに座り込んだ場面以降だ。のぶ(今田さん)や羽多子(江口のりこさん)に祝福され、ほっとした表情の嵩。視聴者も一緒に幸せな気分になれるシーンだ。「大賞でよかったねえ」。羽多子(江口のりこさん)が力いっぱい、嵩の肩をたたいてしまい、嵩が痛がるなど、楽しい場面もあった。

 続くオープニングでいったん注目度は59.9%まで低下したが、再び浮上。次の山は71.3%を記録した午前8時4分だ。八木(妻夫木聡さん)の会社で開かれた嵩の受賞祝いに蘭子(河合優実さん)が少し遅れて駆けつけてくる。嵩にお祝いの言葉を述べる蘭子に向ける、八木の視線に視聴者もドキドキしてしまう。当然2人のそんな様子に、母親の羽多子が気付かないわけがない。「あの人やろ?」「お母ちゃん、分かった」。羽多子とのぶのやりとりがちょうど午前8時4分台から5分台にまたがるあたり。視聴者も「やっぱり気付くよね」と得心したに違いない場面だ。

 3番目の山は、午前8時7分(70.8%)と8分(70.1%)。のぶが自宅の茶室で登美子(松嶋菜々子さん)に茶道を習っていると、突然玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると、そこにはサングラス姿の手嶌が立っていたという場面だ。嵩は出かけていたため、とりあえず茶室に案内したのぶ。手嶌は、のぶがたてたお茶を飲む。この辺までが7~8分台。今まで、嵩やのぶと同じシーンで直接からむことがなかった手嶌がいよいよ!というシーン。視聴者の期待感が注目度からも伝わってくるような気がする。

 お茶をのんだ手嶌は、座ったまま寝てしまう。「のぶ、一服盛ったやがないろうね」。羽多子の絶妙なタイミングの一言には少しクスリとさせられた。のぶと羽多子、登美子の3人はそのまま茶室でゆっくり寝かせることにする。午前8時9分台はそんな意外な展開が続くが、注目度はわずかに下がって68.0%。帰宅した嵩が初めて手嶌と対面し、言葉を交わし始めた午前8時10分台は70%台にわずかに届かない69.8%まで再び上昇した。

 手嶌から映画のキャラクターデザインを依頼された嵩。「まさか、こんなことが僕の人生に起こるなんて」と喜ぶが、視聴者にとっても2人の人生がようやく重なり合った夢の場面だったのかもしれない。

 最後に大きな山を作ったのは、第114回の最高値74.1%を記録した午前8時14分。八木の事務所で、蘭子と八木が仕事の打ち合わせをする場面だ。会話を聞いていると、どうやら蘭子は、八木の仕事の依頼も「できるだけやるつもり」らしい。視聴者的には、そこもポイントだが、最大のひっかかりは別のポイントだったに違いない。

 会社に戻った粕谷(田中俊介さん)が八木に「下にパンの業者の車がきてるぞ」と伝える。「パンの業者」という言葉で、視聴者はピンと来たはずだ。その直後、八木の会社を出た蘭子はビルの廊下で「ああっ!」と驚く。視聴者は「やはり来たか!」と思った途端、「蘭子はとんでもない人物に出会いました」というナレーションが流れ、第114回は終わる。翌日の第115回冒頭で登場するのは誰なのか? その期待感が最後に高い注目度となったと思われる。

 ちなみに、9月1日放送の第111回冒頭で、“ヤムおんちゃん”こと風来坊のパン職人、屋村草吉(阿部サダヲさん)が7週ぶりに「あんぱん」に再登場している。どうやら、工場でパン作りに関わっている様子だった。ひょっとすると、このための“フリ”だったのだろうか。登場すると、毎回注目度が跳ね上がることが多い“ヤムおんちゃん”。その姿を見せなくても、におわせるだけで注目度を押し上げた第114回だった。

 活用したデータは、関東の2000世帯、関西の600世帯で番組やCMの視聴状況を調査しているREVISIO社が公表している独自指標の「注目度」。人体認識センサーを搭載した専用機器でテレビ画面に視線を向けているかを常に計測し、テレビの前にいる人のうち、番組を注視していた人の割合を算出している。(文・佐々本浩材/MANTAN)

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