ちいかわ
第299話 拾魔(9)
12月5日(金)放送分
インタビュー(1)の続き。 「週刊少年ジャンプ」(集英社)で連載された堀越耕平さんのマンガが原作のテレビアニメ「僕のヒーローアカデミア」の最終章となる第8期“FINAL SEASON”(読売テレビ・日本テレビ系、土曜午後5時半)が10月4日にスタートした。約9年にわたり放送されてきたヒーロー、敵<ヴィラン>の物語がクライマックスを迎える。2016年に放送を開始したテレビアニメ第1期から、主人公・緑谷出久(デク)と全てを崩壊せんとする敵<ヴィラン>死柄木弔をそれぞれ演じてきた山下大輝さん、内山昂輝さんに「ヒロアカ」への思いを聞いた。
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山下さん デクを演じているからだと思いますが、より周りのことを見るようになったなと思います。最初の頃のデクは100%で、傷だらけになって、ボロボロになって、本当に猪突猛進で、怖いくらいに危ないことをする自己犠牲の塊でした。それが薄くなりつつも、今も最優先であるのは変わらないのですが、だんだんと一人で戦うことより、みんなと戦うことの大切さや、そのほうがより強くなれるということを知った。僕自身も、第6期の黒デクのアフレコの時はめちゃくちゃつらくてしんどかったんですけど、それを経て、第7期やFINAL SEASONは、めちゃくちゃ気持ちがラクなんです。
山下さん FINAL SEASONともなると、黒デクの時みたいにすごいプレッシャーとか、いろいろな暗い思いとか、「一人で頑張らなきゃ」みたいな思いが出てくるかなと思っていたら全然なくて、すごくラクな気持ちで今収録できていて。そういうところもキャラクターからもらえている気持ちだなと改めて思います。いつもデクが僕に新しい気持ちを教えてくれている。10年くらいやってきてデクからもらった大切な“気持ちたち”だなと思います。
山下さん 覚えています。すごく心細かったから三宅さん(オールマイト役の三宅健太さん)の隣に座ったら音響監督の三間雅文さんに「座るな!」と言われて。
内山さん えっ、なんで?
山下さん キャラクターはそんなに距離が近くない、と。そこから三間さんの演出が始まっていたんです。デクにとってオールマイトは遠い存在なんだから手が届く場所に行っちゃダメだ、気軽に話しかけちゃダメ!と。「怖い……!」と思いました。そこからいろいろ挑戦して、「こうかな」「ああかな」とがむしゃらにやってきて、毎回毎回が本当にチャレンジだったなと思い返すと、挑んできてよかったなと思います。
内山さん キャラクターがどんどん変化していったので、その時々の状態に対応していこうとした結果、今があると思っています。テレビアニメが始まった当初の自分だったら今の感じを出すのは難しかったでしょうし。それは技術的なものもあるだろうし、自分の声も変わっていったので、そこも活用して表現していったという感じがします。
内山さん いろいろな死柄木の姿を声で表現するということの連続でした。具体的に何を得られたのか、言葉で表現するのは難しいのですが、適応力は身についたかなとは感じます。1クール、2クールの作品ではなかなかないチャレンジだったと思いますし、長いスパンになっていくからこそ、自分も変化していくし、「ヒロアカ」ならではだったのかなと思います。
山下さん 「ヒロアカ」でうっちーとがっつり話すことが増えて、いろいろな世間話もできるようになったので、やっぱり長いこと続くと自然と絆も生まれてくるんだな、うれしいなと思います。
内山さん そうだね。いろいろな山場の回をアフレコしてきて、いろいろな物語を作ってきたというのが大きいですかね。
内山さん たくさんのキャラクターがいて、それぞれに“個性”があって、それをどう戦いに生かしていくのかと見守る面白さもあると思いますし、それぞれのキャラクターの成長、ドラマもある。そのドラマも学園の中にとどまるものもあれば、学園外の家族に絡んでくる部分もあって、読めば読むほど、世界が広がっていく感じがします。
内山さん どんどんキャラクターが増え、世界観が大きくなっていき、“個性”も複雑化していく。広がっていき、複雑になって、見応えも増えていくところが魅力かなと思います。
山下さん それぞれのキャラクターに分かりやすく“個性”があって、特殊能力として描かれているんですけど、現実の世界でもすてきな個性が一人一人にあって、それを改めて見据えることができるというか。今は、そこら中にいろいろな良いものが転がっていて、それが欲しくなっちゃう世の中で、自分の良いところを見失いがちだと思っていて。「ヒロアカ」は、「あなたにはあなたのすごくすてきな部分があるんだよ」と改めて感じることができる、自己肯定ができるような作品だと思います。また、背筋が伸びる作品だなとも思います。自分の言動の一つ一つが、誰かにとってすごく大きな言葉になることもあるから、相手のことを思って自分の言動を改めて考えなくちゃいけないと。教科書のような作品だと思います。
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