ヤマトよ永遠に REBEL3199:第五章は総力戦 “ラスト1分”の衝撃 福井晴敏、ヤマトナオミチインタビュー

アニメ「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第五章「白熱の銀河大戦」の一場面(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会
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アニメ「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第五章「白熱の銀河大戦」の一場面(c)西崎義展/宇宙戦艦ヤマト3199製作委員会

 人気アニメ「宇宙戦艦ヤマト」のリメークシリーズの最新作「ヤマトよ永遠に REBEL3199」の第五章「白熱の銀河大戦」が2月20日から上映される。「ヤマト3199」は全七章で、「ヤマトよ永遠に」「宇宙戦艦ヤマトIII」を原作に、新解釈を加えて再構成した。第五章は、ヤマトとガルマン・ガミラスの連合艦隊が、中間補給基地ディガブラスに立ち向かう総力戦が見どころの一つになる。メインビジュアルに「ラスト1分、すべてが覆る。」というキャッチコピーが添えられたことも話題になっている。福井晴敏総監督、ヤマトナオミチ監督に第五章について聞いた。

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 ◇総力戦は想像以上に華やか

 --第五章は総力戦が見どころの一つになっています。

 福井さん 大変になることは覚悟していました。ただ、今回のリメークシリーズのチームは、我々の求めているものを理解してくれていて、「これくらいできますよ」「こうしてみたらどうですか」という提案をしてくれるんです。当初の想定以上に華やかになりました。

 ヤマトさん 想定以上のものでした。物理的に考えても、ほかの章に比べてCGのカット数がダントツに多いですし、艦の数も多い。スタッフの皆さんのおかげで成立しました。

 福井さん CGスタッフもそうですが、撮影の処理も大きいですね。ビームの色味や、位相フィールドを展開するシーンも実は撮影処理でやっていたりするんです。「もっとやってください」と言っているうちに、彼らも「求められているのはこれか」と察してくれて。

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 --最初から第五章が戦闘シーンの見せ場の一つになることを想定していた?

 福井さん 原作でも一つの見せ場になっています。ただ、原作は二重銀河からデザリアム星が出てくるシーンの印象が強すぎて、あの後のことをあまり覚えていないんですよね(笑)。その前後でヤマトが何をしていたか記憶が薄い。なので、戦闘シーンに意識を向かせるというのは、始める前から考えていたことでした。「新たなる旅立ち」とつながっているところとして、ゴルバの存在がありますが、あんなに苦労して倒したゴルバが、いとも簡単に次々倒されるのはどうかな?と思ったので、今回はゴルバと中間補給基地を組み合わせたんです。

 ヤマトさん ゴルバを左右に従えている形にしました。

 福井さん ゴルバの大きさから逆算して、中間補給基地は幅が70キロは必要だろうということになりました。 

 ヤマトさん 基本は背景美術素材です。デザイナーの明貴美加さんが、さまざまな角度からどう見えるかを把握しているので、指示してくれました。

 ◇合体!分身!変形!

 --アルフォンも魅力的なキャラクターです。第五章では古代と対峙します。

 福井さん 原作では、雪に執着している人以上の情報が少なかった。情報部という設定はあったので、そこを生かそうとしました。デザリアムは地球でえげつない情報工作をしていますが、忸怩(じくじ)たる思いがある人物として描きました。彼は、「愛」を純粋に希求する男になります。古代を殺してしまえば、障害が消えるわけですが、「愛」とは「自分を犠牲にしてでも相手を幸せにすること」だと気づき始めている。雪にとっては古代が生きていた方が幸せなんだろうと考えられるようになってきた。古代と戦う時だけは策略から解放される。「ヤマト」は葛藤する物語でもあるので、彼が主人公的な役割を担っている面はあります。

 --第四章以降、ラムにもスポットが当たっています。

 福井さん ラムは人気ですしね。我々の世代にとってラジェンドラ号のプラモデルが出ていたのが印象的でした。ラジェンドラ号も特別仕様にしてしっかり見せようと企画段階から決めていました。ボラー(連邦)も原作ではほとんど描かれていませんでしたが、彼を通してしっかり見せられるんじゃないかと。

 --竹谷隆之さんが手掛けたウラリアの魔女も登場します。

 福井さん 私からお願いしました。シナリオの岡秀樹さんが、会ったことがあるというので、紹介してもらいました。竹谷さんはやっぱりすごい。デザインから「臭いがしそう」なんですよね。デザリアムを一皮むいた気持ち悪さが表現されています。

 ヤマトさん 動かしづらいですけどね(笑)。背景美術で表現しています。

 --第五章の制作で特に難しかったことは?

 ヤマトさん 物量もそうですが、表現の幅ですね。アクションが続くだけでは飽きられてしまいます。合体、分身、変形もあります。理屈としてどう見せるかを考え、精いっぱい組み立てました。

 ◇石を投げたら自分の頭に当たる

 --「ヤマト3199」は、さまざまな情報に翻弄され、何が真実なのかが分からなくなる……という人類が直面している問題が描かれているようにも見えます。

 福井さん 「この作品は石を投げたら自分の頭に当たる」と言っている人がいて、届けたい内容がしっかり伝わっていると感じています。SNS社会では同調圧力やカルト化が何度でも起きる。フィクションだからこそ、少し離れた距離で描くことができる。今のアニメやドラマは、人を不快にさせない、反論が出ない、見終わった後に客同士がケンカにならないつくりのものが多いですが、そこから離れようとしています。アニメは本来、実写では切り込めないところに踏み込んでいける媒体だったはず。やりすぎだろうというくらい重ねて描いています。コロナ禍の前、SNS時代の前だったら「人間はこんなに馬鹿じゃない」と言われていたかもしれない。今は「石を投げたら自分の頭に当たる」ようになってしまった。

 --SNSは便利ではありますが……。

 福井さん SNSの時代になって、むしろ昔の井戸端会議の時代に戻ってしまったところもあります。どの井戸端会議に参加するかを選べて、そこでの話が世界の真理だと思い込むグループが乱立している。みんな不安なんですよ。だから「真実だ」と言い切る人に付いていってしまう。そっちの方が楽だから。「どう生きるべきか」「社会はどうなのか」とは多くの人にとってあまり考えたくないことなのかもしれない。決めてくれたらそれに従うという人が多くて、日本も米国もこんな状態になっている。

 --今はネットで調べるけど、ネットの情報が間違っていたりすることもあります。

 福井さん ものすごく不確かな時代に生きているんだということを今の若い人にも気付いてほしいですね。

 --「ラスト1分、すべてが覆る。」というキャッチコピーが添えられたことも話題になっています。

 福井さん 最初からあった構想です。これができるなら「3199」がやれると考えていました。現時点では、これ以上は言えないのですが。

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