解説:「九条の大罪」 過激さと見やすさが両立できたワケ

「九条の大罪」で主演を務める柳楽優弥さん
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「九条の大罪」で主演を務める柳楽優弥さん

 俳優の柳楽優弥さんの主演作で、4月2日からNetflixで配信中の「九条の大罪」が人気を博している。これまでもエッジの効いた作品でヒットを飛ばしてきたNetflixだが、一見すると同系統に見える本作は、実際に視聴すると従来の作品とは異なる“手触り”が感じられる。

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 人気マンガ「闇金ウシジマくん」で知られる真鍋昌平さんの同名マンガが原作。半グレやヤクザ、前科持ちといった厄介な依頼人の案件ばかりを引き受け、道徳を切り離して解決する弁護士・九条間人の姿を描く。柳楽さんが厄介でグレーな案件ばかりを引き受ける弁護士・九条間人を演じ、人気グループ「SixTONES」の松村北斗さんが、九条の法律事務所で突然“イソ弁(居候弁護士)”として働くことになった東大卒の若く優秀なエリート弁護士・烏丸真司を演じている。

 配信直後から話題を呼び、4月8日に発表された国内のNetflix週間TOP10(シリーズ)で初週から1位を獲得。さらにNetflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)部門でも7位を獲得するなど国際的にも幅広い支持を得ている。

 Netflixの作品ならではの特徴として、「地面師たち」「全裸監督」をはじめ、地上波では難しい過激な描写がしばしば挙げられる。そして本作もアウトローの世界を描く以上、そうした描写は随所にみられる。

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 しかし、実際視聴してみると、インパクトの強さから想起される後味の悪さはあまり感じなかった。筆者自身、「地面師たち」は途中で断念したが、本作は最後まで楽しむことができた。「九条の大罪」の原作マンガも、酒気帯びのひき逃げ犯が九条の“活躍”によって微罪で済む第1話がSNSで話題を呼んでいたため、興味はありつつも手に取るのをためらっていたが、今回のドラマ版が“入門編”となり、原作にも触れることができた。

 後味の悪さが抑えられている理由として、実力派をそろえたキャスト陣の名演とともに指摘されているのが、原作からの改変だ。一例を挙げると、池田エライザさん演じる、犯罪被害者・加害者の支援を行う薬師前仁美を原作より早く登場させたことで、被害者側へのフォローも強調されている。さらに、薬師前と松村さん演じる烏丸とのコミカルな食事シーンが随所に挿入され、ともすれば陰惨にもなりかねない物語の“清涼剤”になっており、作品全体のバランスにも貢献している。

 そして、こうした違いの背景には、TBSが制作している点も大きいだろう。「カルテット」「ラストマン-全盲の捜査官-」などの土井裕泰さんらが監督を務め、「コウノドリ」「逃げるは恥だが役に立つ」などの那須田淳さんがプロデューサーを担当するなど、メジャー級のスタッフ陣が名を連ねる。センシティブな内容を見やすく丁寧に仕上げることができたのは、長きにわたって数々の名作を送り出してきたTBSのノウハウの賜物といえる。

 地上波では扱いづらいテーマを、地上波で培われたノウハウの蓄積とバランス感覚によって見事に映像化できるのは、配信とテレビ局の協業ならではの強みだ。一方で、ペットに関するあるエピソードについては、物語上の必要性は理解しつつも、何らかの注意喚起があってもよいと感じた。また、いわゆる“クリフハンガー”と呼ばれる、続きが気になる強烈な“引き”の演出は、良くも悪くも配信作品らしい特徴だろう。

 TBSがNetflixとタッグを組むのは「未来日記」「離婚しようよ」に続き3作目となるが、本作で一つの成功モデルを示したといえるだろう。シーズン2を待ちつつ、今後の新たな取り組みにも期待したい。(MANTAN/立山夏行)

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