稲垣早希:“エヴァ芸人”改名の理由は? 元相方との再会きっかけに

改名の理由を明かす桜 稲垣早希さん
1 / 1
改名の理由を明かす桜 稲垣早希さん

 アニメ「エヴァンゲリオン」のヒロイン、アスカの物まねで知られ、深夜バラエティー番組「ロケみつ」(毎日放送、毎週木曜午後11時50分放送)でブレークし「吉本べっぴんランキング」2位にも選ばれた“エヴァ芸人”の「桜 稲垣早希」さん。7月には芸名を「桜・稲垣早希」から「桜 稲垣早希」に改名したことでも話題を集めた稲垣さんに、改名の理由や過酷な撮影の裏側を聞いた。

ウナギノボリ

 稲垣さんは07年2月に、相方の増田倫子さんとお笑いコンビ「桜」を結成。07年の「M−1グランプリ」で3回戦に進出するなど活躍していたが、09年末に増田さんがコンビを卒業し、稲垣さんはピン芸人「桜・稲垣早希」として、活動していくことになった。

 稲垣さんが「ロケみつ」で挑戦している「ブログ旅」では、ブログに寄せられたコメント数を1件1円で換算。さいころを振った結果によって交通費や宿泊代が支給され、通過ポイントを通りながら、アスカのコスプレのまま目的地を目指す。さいころの出目に応じて、資金の全額没収、コメント数の1割、10倍など支給額が変わるルールだ。稲垣さんは、これまで「関西縦断ブログ旅」「四国一周ブログ旅」を制覇。旅を重ねるごとにルールは過酷さを増しており、現在は、「連続して1を出したらスタート地点に戻る」というルールが追加され、兵庫県から鹿児島県を目指す「西日本横断ブログ旅」に挑戦している。

 稲垣さんは「マネジャーから話をもらい、ネタのイベントに出してもらうのかなと思って、番組のスタッフさんに会ったら『ちょっとだけ過酷なロケに出てもらうけど、逃げないでいてくれたら』と言われたんです。若手ですし『頑張ります。よろしくお願いします』と答えたんです」と企画立ち上げ当時の様子を語る。和歌山県の潮岬での最初のロケでは日傘を持参したがあえなく没収。「台本も一切ないし、『好きなように動いてください』と言われて、これはちょっとまずいものに首を突っ込んだなと思いましたね」と振り返る。

 そんな稲垣さんが苦手なのは、ヒッチハイクや一夜の宿のために地元の人へ声をかける時だという。無理なお願いに相手が困っている様子がつらいと話す。今でこそコメント数が1万件を超えることもしばしばだが、ロケの当初は放送前ということもあり、コメント数は0件。泣く泣くブログの宣伝用のチラシを手作りし、通行人に手渡した。「コスプレをしているからか不審がられることもあって、チラシを受け取ってもらえないこともありました。今度から街頭で配られるティッシュは絶対受け取ろうと思いましたね」と話す。

 そんな過酷なロケの連続だったが、稲垣さんは「先輩や他の芸人さんとコミュニケーションを取るのも苦手で、インタビューとかも相方(増田さん)にほとんど答えてもらっていたぐらいすごく人見知りだったんですけど、この仕事をしてから周囲から明るくなったねと言われるんです」と笑顔を見せる。「今年からピン(芸人)になりましたが、この仕事でお金をやりくりしたり、一人で目的地に行かなきゃいけない経験をしたおかげで、自立して頑張ろうと思うようになりました」と語る。

 「・」を半角スペースに替えただけという“改名”を行い話題を集めたが、「ピンになったのでいつかは改名しようと思っていたのですが、ある日、元相方(増田さん)と会ってしゃべった時に、第二の人生を楽しんではったので、何となく『あー替えよう』と思いました」と語る。「R-1ぐらんぷり」のエントリー名である「桜 早希」なども候補に挙がっていたというが、周囲の反応が悪くやめたという。半角スペースについては「頭に花をつけて、華のある芸人になりたいという感じなのですが、『桜』が元コンビ名なので、付かず離れずみたいな感じです。『桜』は芸人になると決めた時の名前なので取りたくなかったんです」と話すが、周囲の反応は「どこが変わってん! 大げさに言いやがって!」と散々だったという。

 “エヴァ芸人”として人気の稲垣さんだが、プライベートでも「ほとんどアニメしか見ません」というほどの大のアニメ好き。休日は録画したアニメを見るか、動画投稿サイト「ニコニコ動画」を見ているといい、「テレビかパソコンの前にいますね」とにっこり。人気アニメ「けいおん!」に影響され、キャラクターと同じギターを買って、オープニング曲も弾けるようになるほど練習したという。マンガは、無実の罪で刑務所に送られた少年の血みどろの活躍を描く「デッドマン・ワンダーランド」(角川書店)、奇病が広がる社会で生き抜く主人公を描いた「アイアムアヒーロー」(小学館)など「基本グロいのが好き」というが、最近では「女子力アップのために」と椎名軽穂さんの少女マンガ「君に届け」(集英社)にも熱中している。

 ブレーク後も拠点を関西に置く稲垣さん。「吉本べっぴんランキング」で2位になるなど知名度は全国区になっているが、東京進出について聞いてみると、「『ブログ旅』と行ったり来たりの生活ですし、先のことは考えられないですね。(東京などに)呼んでもらってお仕事するのもうれしいですし、関西にもいい番組はいっぱいあります。楽しくお仕事をさせてもらえれば、どこでもいいなと思うんですよ」と話す。一方、「R-1ぐらんぷり」の準決勝で敗退した時には、くやし涙を流すなど負けず嫌いの一面も持ち合わせている。

 「ブログ旅」でも道に迷っている姿がおなじみとなっているが、今後は、もっと要領よくいきたいという稲垣さん。今年からピン芸人となり、現在は「R-1ぐらんぷり」を目指してネタを作っている。「今まで相方(増田さん)に支えられていた部分もありましたから、まずはきちんと立派に舞台に立てるようになれれば。エヴァ以外のネタもやっていきたい」と意気込みを語る。改名で心機一転した稲垣さんの今後に注目だ。(毎日新聞デジタル)

芸能 最新記事