女優の臼田あさ美さんが主演を務める映画「桜並木の満開の下に」が、13日から全国で公開された。臼田さんは不幸に見舞われて最愛の夫を亡くすが、その原因となった男性に次第にひかれてしまうという女性・栞を演じた。臼田さんに、演技の苦労や撮影現場の様子などを聞いた。(毎日新聞デジタル)
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映画は、東日本大震災後の茨城県日立市を舞台に、プレス工場で働く最愛の夫(高橋洋さん)を事故で亡くした同じ工場で働く栞(臼田さん)と、事故を引き起こした同僚の男(三浦貴大さん)が、悲しみと葛藤を乗り越え、やがて引かれ合う姿を描いたヒューマン作。作品は震災後の日立市で撮影し、海岸沿いに流れ着いたがれきなどが登場するが、臼田さんは被災地とあまり感じなかったという。「私たちがお会いした方々は『もっと大変なところがあるから』とほかの被災地を思いやっている感じでした。現地の人は食事を作ってくださったり、工場の方のお子さんは走り回っていたし、映画の中より明るく活気のある場所でした」と振り返った。
主演に対するプレッシャーはなかったという臼田さんだが「難しい役だというのは台本を読んだときにもちろん感じていたので、『映画に出られる、やったー!』という気持ちではなくて、『覚悟してやらなきゃ』と思いました」と話す。自身と役柄の共通点を聞くと、臼田さんは「全部違います。役が自分に似ていると思っちゃいけない。あくまでも違う人を演じると思わなきゃ」といい、「同じくらいの年で同じ経験をしている役なら、どこか自分と重なるかもしれないし、感情は自分の中から引き出さないといけない。だけど、自分に似ているかというところからアプローチはしないです」と演技のこだわりを語った。
役作りでは「何年も工場で働いている役ですから、工場の機械を怖がらずに動かせるようになること。土地の雰囲気は、撮影の前に(現地に)行ってイメージしました」と明かした。劇中では、主人公がランニングをする様子が描かれているが、「集中していたからか、全然平気でした。(撮影は)朝4時半だった」といい、「演技の方が精神的に過酷だったので、ランニングがあんまり大変に感じなかったのかもしれないです」と笑った。内面の演技については「愛する人を失った悲しみとか憎しみとかは、想像することしかできない」とした上で、「限られている時間ですが、たくさん考えました。でも、目の前で起こる共演者の方の演技を見て、撮影中に生まれる思いが一番大事だと思います」と力を込める。
三浦さんとは2回目の共演だというが、「三浦さんのイメージは、私の中で出来上がっていて、好青年ですごくまじめな人という印象は、今回も変わらなかった」というが、初めに臼田さんに憎まれる役柄の三浦さんは「監督からあまり私に近づくなという指示が出ていたみたいです。知ってたからこそ遠慮なくいえることもあったけれど、(近づかなかったから)いい距離感で演技できたと思います」と話した。
事故で亡くなる最愛の夫を演じる高橋さんについては「すごく気遣いができる人、そういう部分が、役にとっても合っていた」と語った。自身の結婚は「まだ全然」と笑うが、「ちゃんと思いやりがあって、この人とだったら子育て楽しいだろうなとか、ケンカしたり嫌なことがあったりしても、なんとなく一緒にいるな、という人がいいですね」と理想像を語っていた。
<プロフィル>
うすだ・あさみ 1984年10月17日生まれ、千葉県出身のA型。モデル、女優として活躍し、10年には映画「ランブリングハート」で初主演を果たした。13日公開の映画「桜並木の満開の下に」で主演を務めている。趣味はギター、ライブ観賞、特技はけん玉。
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