MAJOR:続編誕生の裏に怪物・大谷

満田拓也さんのマンガ「MAJOR 2nd」のイラスト=小学館提供
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満田拓也さんのマンガ「MAJOR 2nd」のイラスト=小学館提供

 2010年まで16年間にわたり連載され、コミックス累計5300万部を発行した人気野球マンガの続編「MAJOR 2nd(メジャーセカンド)」が先月スタートした。前作は、日本人メジャーリーガーの誕生や、野球の国別対抗戦などを描き、現実を先取りしたマンガとして知られるが、今回の続編は、ある現役選手の存在に触発されて誕生したという。誕生の舞台裏を追った。

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 前作「MAJOR」は、1994~2010年に週刊少年サンデー(小学館)に連載され、コミックスは全78巻に達するロングセラーマンガ。試合中の死球が原因で野球選手の父を失った少年・吾郎が、右肩を壊すケガをしながらも、左投げの剛腕投手に成長。高校卒業後は米国に渡り、父の死を招いたメジャーリーガーや、その息子の若手スターとライバルとして激突。そして吾郎は左肩も壊してしまうが、日本のプロ野球界に戻り、打者として復活するシーンが描かれ、テレビアニメもNHKで04~10年に放送され、人気を博した。

 16年に及ぶ連載を終えた当時について作者の満田拓也さんは「物語の続きを描きたい気持ちがありました。吾郎の打者編(の続き)や、息子の物語などをです。でも当時は長丁場の連載が終わったばかりだったので、すぐにという気持ちはありませんでした」と振り返る。その満田さんを再び野球マンガに駆り立てたのは、投手と打者の「二刀流」で注目される北海道日本ハムファイターズの大谷翔平選手の存在だったという。

 実は二刀流のアイデアは前作でもあったという。右肩をケガした投手が左腕で復活したり、激しい競争を勝ち抜いた野球の名門高校をさっさと転校し、弱小野球部で勝ち上がることを決断するなど、突き抜けたストーリーやアイデアをマンガにしてきた満田さんにとっても、二刀流は「現実味がない」として見送ったアイデアだった。「(投手と打者の)二刀流に挑戦している大谷選手のような、マンガの先を行く現実の“怪物”を見て、触発された」。常に現実を先取りしてきた満田さんにとっても、大谷選手の出現は驚きだった。

 そして先月11日から連載を始めた続編「MAJOR 2nd」。前作の主人公・吾郎は42歳となったが、プロ野球選手として現役で活躍している。だが息子の大吾は、父が少年時代から持っていた野球センスはなく、現実に打ちのめされていた……というストーリーで、いきなり高い壁が立ちはだかっている。

 タイトルの「2nd」には2世という意味が込められているという。前作との違いについて、満田さんは「一番違うのは、主人公の能力値が低いところでしょうか。子供のころから天才だった吾郎とは違い、凡人の大吾が、どのように成長し、どんな野球選手になるのか見ていてもらえればと思います」といい、偉大な父を持つがゆえの2世の苦悩や挫折、成長が描かれる。そして、気になる吾郎の登場について満田さんは「おそらく生涯現役でしょう(笑い)。そのうち『2nd』にも登場しますが、時期はまだ決めてません。楽しみにしていてください」と話している。

 現実の球界を先取りしてきた満田さんが怪物・大谷選手に刺激されて描く凡人野球少年が今後、どのような成長や活躍をみせるのか楽しみだ。

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