人類滅亡後の世界を舞台に、ウイルスと戦う2人の少女が、記憶を失った1人の少女と出会う劇場版アニメ「ガラスの花と壊す世界」(石浜真史監督)が9日に公開される。2013年にアニメのアイデアを公募して話題になった「アニメ化大賞」の大賞作品「D.backup(ディー・ドット・バックアップ)」を原案にした異色作だ。
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「知識の箱」では、パソコンのハードディスクのように、地球上のさまざまな時代が記録されているが、データを侵食するウイルスに悩まされていた。デュアルとドロシーの2人の少女は、そのウイルスを駆除するアンチウイルスのプログラムという設定で、そこに突然現れたのが謎の少女・リモだった。デュアルとドロシーは最初、任務だけを忠実に実行しているだけだったが、リモと共同生活を続けるうちに、仲間意識が生まれて、次第に感情が豊かになっていく。ところが並行して、2015年を起点にした別の物語が始まる。16歳のピアニストの少女・スミレと、娘のダイアナへと話が展開していく。2060年には地球の環境破壊が進み、2100年にはダイアナが制作した環境管理プログラム「マザー」が開発され、人類の管理が始まる。
一見すると複雑で、理解するのが大変と思える作品設定だが、アニメを見ると、意外にもストーリーがすんなり入ってくる。文字からは想像しづらい「知識の箱」の世界も、アニメで見ると「百聞は一見にしかず」のことわざがしっくりくる感じで、仕組みが理解できるはず。さまざまな謎はあるものの、最も気になる謎はリモの正体になるからだ。そして二つの世界の接点が徐々に明らかになり、中盤以降は「2100年に人類は滅亡!?」の意味が判明する。
企画当初から、アニメ化に向いた作品を原案に選び、製作時から観客の感情を揺さぶることを狙っている通り、思わずホロリとするシーンも用意されている。「けいおん!」など多くのテレビアニメを手掛けたポニーキャニオンが「総力を結集した」と自負する通り、深夜のテレビアニメファンに向けて丁寧に作ったことが分かる意欲作だ。特に全編を通して変化する「知識の箱」のアニメ描写は一見の価値あり。9日から新宿バルト9(東京都新宿区)、シネマサンシャイン池袋(東京都豊島区)ほかで全国で公開。(河村成浩/毎日新聞デジタル)
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