BS放送「Dlife」で放送中の米ドラマ「NCIS:LA~極秘潜入捜査班」の日本語吹き替え版で主人公のG・カレン(クリス・オドネルさん)の声優を務める森川智之さん。森川さんは「金田一少年の事件簿」「戦国BASARA」など数々のアニメで知られている人気声優で、ユアン・マクレガーさんやトム・クルーズさんらの吹き替えの声優としても活躍している。30年近くにおよぶキャリアの中で、転機となったのは吹き替えの仕事だったといい、「余白を作る芝居を意識するようになった」と明かす。森川さんに「NCIS:LA」や吹き替えについて聞いた。
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「NCIS:LA」は、米ロサンゼルスを舞台に潜入捜査のプロ、G・カレン(オドネルさん)と元海軍特殊部隊のサム・ハンナ(LL・クール・Jさん)の潜入犯罪捜査を繰り広げる姿を描いたドラマ。ハンナの吹き替えを大川透さんが担当している。
一見クールなカレンと熱いハンナは対照的にも見えるが、森川さんは「カレンは元の演技が陽気でリズミカルだったりします」と話す。相方のハンナを演じる大川さんとの掛け合いも見どころになっており、アフレコの様子を「大川さんとはどういうふうにしようなどと話し合いはしていません。でも、最初から何年も前からやっているようにできたんですよね」と明かす。
森川さんは、映画「バットマン & ロビン Mr.フリーズの逆襲」などでもオドネルさんの吹き替えを担当。オドネルさんとは以前から“縁”があったといい「20年くらい前に『三銃士』でもクリス・オドネルの吹き替えをしたことがあるんです。吹き替えの技術を勉強中に出会った」と話し、オドネルさんの演技について「黙っている時の芝居が印象的」と語る。
森川さんが吹き替えの際に意識していることは、「楽しいから楽しそうにするようなテンプレート的な芝居ではなく、余白を作る芝居を意識しています。見ている人の想像をかき立てるような芝居をやりたい」と話す。“余白”を意識するきっかけになったのが、スタンリー・キューブリック監督の遺作「アイズ ワイド シャット」でトム・クルーズさんが演じたビルの吹き替えだったという。
森川さんは「2001、2年ごろに『アイズ ワイ シャット』の吹き替えをした際、1年近くオーディションを行い、収録も1週間近くかけました。キューブリック監督の右腕のレオン・ヴィタリさんが吹き替えの監修のために来日して、収録の前に面接をした。メッキがはがれる……と焦りましたね。アフレコでは、ベッドシーンではベッドを持ち込んで、寝そべりながら収録するなど普段とは全然違った。役作りについて考えるきっかけになった」と語る。
「アイズ ワイド シャット」の吹き替えを経験したことで「心の中で動くものを具現化する作業をしなければいけないと考えるようになった。(役者の)見た目だけけで判断するだけでなく、役者が感じていたことを考えながら役作りをしないといけない」と転機になったようだ。
意識に変化があってから「オーディションによく受かるようになりました(笑い)。経験がすごく生かされている。難しい作品や大変な役をやるのが好きになりました」と話す森川さん。今後の活躍にも期待だ。
「NCIS: LA~極秘潜入捜査班~」はDlifeで二カ国語版が毎週水曜午後9時、字幕版が毎週火曜深夜1時に放送。
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