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トライガン:世界中で愛され続ける名作 創作秘話 作者がのたうち回った“血の跡” 内藤泰弘インタビュー

アニメ「TRIGUN STARGAZE」の一場面(c)2026 内藤泰弘・少年画報社/「TRIGUN STARGAZE」製作委員会

 内藤泰弘さんのマンガ「トライガン」の新作アニメ「TRIGUN STAMPEDE(トライガン スタンピード)」の最終章「TRIGUN STARGAZE(トライガン スターゲイズ)」が、テレビ東京系で1月10日午後11時から放送される。原作は、1995~2007年に連載されたガンアクションマンガで、世界中で愛され続けている名作だ。2025年12月に幕張メッセ(千葉県千葉市美浜区)で開催されたイベント「東京コミコン2025」に登壇した原作者の内藤さんを直撃。名作の創作秘話、新作アニメへの思いを聞いた。

 ◇西部劇+SF アメコミの影響も

 「トライガン」は、砂漠の星を舞台に、不殺を誓ったガンマンのヴァッシュ・ザ・スタンピードが理想を貫くために戦い、葛藤する姿を描く。1998年にもテレビアニメが放送され、2010年に劇場版アニメ「劇場版トライガン Badlands Rumble」が公開された。「TRIGUN STAMPEDE」は、2023年1~3月に放送され、約3年ぶりとなる新作「TRIGUN STARGAZE」が1月から放送されることになった。

 「血界戦線」などでも知られる内藤さんにとって、「トライガン」はオリジナル作品としては商業誌初連載となった。

 「『連載の前に読み切りマンガをとりあえず一本描いてみましょう』と出版社から依頼いただいて。さて何をやろうかと考えてたところにちょうどいいタイミングでアメコミのサイモン・ビズレーという方が描かれた、化け物とひげもじゃのガンマンが撃ちまくるマンガを読んで、西部劇いいな……周りを見渡してもあまりやっていないな……さらにSFと混ぜたら多分俺一人だな……と思いまして。ガンマンだけど荒事が嫌いで、すぐに土下座しちゃうキャラクターとか面白いなと思ったことが最初でした。まずそこから描き始めて今に至ります」

 内藤さんは元々、アメコミが好きで、その影響も大きかったという。

 「20代前半くらいから好きで読んでいました。今みたいにアメコミ原作の映画が全盛じゃない頃です。ジム・リーという作家さんが新鮮で格好いい絵をたくさん描かれていて、その人のマンガを眺めていました。その前に、大友克洋先生経由でバンド・デシネの巨匠メビウス氏の影響を受けていたので、海外のマンガには元々なじみがありましたね。アメコミの影響も去ることながら、80年代のアメリカ映画はすごかったので、あちらからの影響はそこがマックスです。東京コミコンでも『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のイベントをやっていますが、僕はあれくらい面白いものを作りたいし、もしあのレベルのものを描けたらきっと満足して筆を折るでしょう」

 子供の頃、初めて描いたマンガは「ピーナッツ」の人気キャラクター・スヌーピーだった。

 「最初期のマンガですね。幼稚園くらいだったと思います。その後、『天才バカボン』にいくんですけども。スヌーピーを見よう見まねで描いていました。デザインがすごく好きなんです。純粋にキャラのアイコンとして最初に僕に刺さったのがスヌーピーだと思います。 大人になって見てもシュルツの線は最高ですね。今でも尊敬しております。ただ、子供の頃、あの線の味わいは理解していなかったです」

 ◇アニメ版にもらった刺激

 「トライガン」の主人公、ヴァッシュ・ザ・スタンピードのビジュアルは今見ても新鮮だ。真紅のコートに逆立てた金髪という派手ないでたちは、インパクトが大きい。

 「僕は無自覚にそれまで見てきたものを垂れ流していることが多いので、彼もその中から生まれたものだと思います。ただ過去に指摘されて気付いたのですが、当時、『スポーン』のフィギュアが流行していて、その影響があるなと思いました。ヴァッシュが初めて登場するシーンで、コートがはためく感じは露骨に意識していますね」

 重厚なストーリーも魅力だ。再びテレビアニメが制作されることになったのは、今も色あせないストーリーがあったからだ。

 「血の跡ですね。描きながらのたうち回ってベタベタに地面に描かれた血の跡のようだと今眺めて思います。描いている年月分、ずっと五里霧中でストーリーを考えていました。最初にアニメにしていただいた時、監督、シナリオライターの黒田(洋介)さん、プロデューサーの方と話していて、僕から『このマンガってどうやって終わるんですかね?』と聞きましたからね(笑)。それくらい何もかも分かっていなかった。シリーズ構成を作ってもらった時に、こういうやり方があるんだ……と感心したくらいですから。最初のアニメにたくさん刺激をもらったので、それに負けないマンガにしなければいけない。後半はそんな気持ちで一人戦ったような感じですね」

 緻密に描き込まれたキャラクターや背景、躍動感のあるアクションなど絵の魅力も大きい。内藤さんが残した“血の跡”は多くの人を魅了した。

 「毎回、死線をさまよいながら描いていました。大変だったことは……全部です! ギリギリまで描いていたので、編集の方々、印刷所の方々にも本当にご迷惑をおかけしました。アメリカのコミコンに行く日の朝に入稿して、そのまま国際線に乗ったこともありました。記憶が所々飛ぶんですけど、機内食はちゃんと食べた覚えがあります(笑)」

 見開きページの大胆な構図も迫力がある。

 「仕事をしながら段々見開きドン!とやるのが自分には向いてるかもと思い始めまして。気持ちいいのもあってある時から明確に芸風にしていこうと思いました。アメコミの影響もあると思います。とにかく座持ちするので、この単ページ読みのご時世でも多用しております。“めくり”というテクニックなのですが、前のページまで“ためる”んですね。そうやって見開きの前に、呼吸を作っていって、開いた時にドン!と見せるのが楽しいです」

 ◇「トライガン」は僕を導いてくれた

 世界中で愛され続けている「トライガン」は、内藤さんにとって特別な作品になっている。

 「本当にこの作品を描いてよかったです。僕自身を助けてくれすぎた作品です。海外に行くと、オタクじゃない人でも知ってくれていて驚きます。いい時期に、アメリカのカートゥーン ネットワークで放送され、そこから広がって、随分遠くまで僕を導いてくれた。 ありがたい作品です」

 主人公・ヴァッシュは「人間を殺さない」という信念、それを貫くことの困難さに悩む。普遍的なテーマがあるからこそ、国境を越えて、世界中で愛され続けているのかもしれない。

 「最初から伝えたかったというより、描きながら自問自答し続けた感じです。ヴァッシュの理想主義をどこまでぶったたけるのか? そのうえで果たして前向きな答えが出せるのか?という実験みたいでした。そうやって頭がおかしくなるぐらい考えた果てに、ナイヴズを相手にヴァッシュが振り絞った『暴力は受けた者にしかその本質は語れない』『相手をよく知らないまま引き金を引く傲慢さを許さない』という言葉が出てきた。かなり真ん中の言葉が出たんだと今思いますね。大体において、よく知らないまま、相手を攻撃しますよね。 いろんな悪意がある中で、きれいごとを言ってられないけど、“知らない”というのは本当に危ういことだと思います。“正義”は、みんなが持っていますし、僕はその言葉は使わないようにしているけど、やっぱり痛いのは嫌だし、やめたい。『血界戦線』でもそうですが、殺さない、死なない、生き延びて、明日を考えようというのが自分の芯なのかもしれないです」

 「TRIGUN STAMPEDE」「TRIGUN STARGAZE」は、名作をアレンジしつつ、令和の時代にアニメとして復活した。

 「『STAMPEDE』の企画を最初にいただいた時から、明確にリブート作品にしたいということでした。新しい才能と力で、『トライガン』の飛距離をどこまで伸ばせるかというプロジェクトなのだろうと僕は理解していました。基本的には、こうしてください、こうじゃないと『トライガン』じゃありません、みたいなことは一切言っていないです。全ては、描いたマンガ作品の中に置いてきました。僕は、出てきたものに対して、最高じゃないですか!という仕事です。でもそれは全く無理やりな訳ではなく、スタッフの方々の解像度の高さに、ここまで汲んでくれるのか!と毎回感じ入るばかりです」

 「TRIGUN STAMPEDE」は圧倒的な映像美、3DCGならではのダイナミックなアクションで「トライガン」の“飛距離”を伸ばした。

 「ものすごかったですね。血まみれで作ってましたね。最終話などは特に突き抜けて圧巻でした。監督、『トライガン』を大事にしてくれてありがとう。よくぞここまで向き合ってくれた!戦ってくれた!と思いました。オキシタケヒコさんの全てを構築し直す山盛りの裏設定、、田島光二さんのハリウッド仕込みの膨大なコンセプトアート、そしてオレンジさんの狂気の仕事ぶり、ぜいたく極まりない。一線級の仕事のすごさを存分に見せつけられました。改めて感謝しております。続きのSTARGAZEも全力で支え、受け止め、喜んでいきたいと思います……!!」

 新作アニメは最終章となるが、「トライガン」の伝説はまだまだ続く。「TRIGUN STARGAZE」も“一線級”の仕事で見る者を驚かせるはずだ。(阿仁間満/MANTANWEB)

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