この「無能の鷹 インタビュー」ページは「無能の鷹」のインタビュー記事を掲載しています。
テレビ朝日系「金曜ナイトドラマ」枠(金曜午後11時15分、一部地域除く)で放送中の「無能の鷹」で、オレンジヘアが印象的なエンジニア・鵙尾弓(もずお・ゆみ)役を演じている俳優の土居志央梨さん。NHK連続テレビ小説(朝ドラ)「虎に翼」で、“よねさん”こと男装の弁護士・山田よね役を演じたことも話題になった土居さんに、その反響や振り幅の大きい今作のオファーを受けた思い、俳優としての今後を聞いた。
◇豪快なイメチェンに自分でも驚き
ドラマは、女性コミック誌「Kiss」(講談社)で連載完結したばかりのはんざき朝未さんによる大人気コミックスを、菜々緒さん主演で実写化。超有能そうな見た目なのに、コピーもできず、パソコンも起動できない衝撃的に無能な新入社員の鷹野(菜々緒さん)のすがすがしい生き様を描く“超・脱力系お仕事コメディー”。「おっさんずラブ」シリーズ(2016~24年)や「星降る夜に」(2023年)などで知られる貴島彩理プロデューサーが手がける。
土居さん演じる鵙尾は、出世欲はなく“楽するための努力”が得意で、「ダル……」が口癖の風変わりなエンジニアという役どころ。土居さんは「鵙尾はよねとはまた全然違う、ある種のクールさがある人」と印象を口にする。
鵙尾を演じるにあたり、「虎に翼」での黒髪ショートから、オレンジヘアへと“イメチェン”。土居さんは、初めてウイッグをかぶった時を振り返り、「やっとなじんできた感じです。最初は正直、自分でも面白くて(笑)。よねの姿を見てきた方は『えっ!?』となるかもですけど、私もびっくりしました」と語る。
「今回の現場でこの姿からご覧になっているスタッフさんは、逆にウイッグを外して帰るときの私を見て『誰?』とびっくりされていました(笑)。ここまで明るい髪色は気持ちが上がるし、新しい自分という感じで面白い。かなり気に入っています」
今作では、NHK大河ドラマ「光る君へ」に出演した塩野瑛久さん、井浦新さんのほか、「虎に翼」に出演していた高橋克実さんとも同じ会社で働く社員役で共演している。
「虎に翼」を撮影していた頃、「光る君へ」の出演者の姿を見かけることも多かったようで、「塩野くんは『無能の鷹』が始まる前に廊下ですれ違って、『今度よろしくお願いします』とあいさつしたし、新さんも重そうな衣装を着て歩かれているのを何度も見ました。高橋さんとは『虎に翼』で共演シーンはなかったですが、ご縁あって共演できてうれしい。全員、役柄が違いすぎて面白いし不思議。この会社すごいですね(笑)」
◇芝居好きを突き詰めた先、「どんな俳優になるか自分でも楽しみ」
土居さんと言えば「虎に翼」のよね役が記憶に新しいが、「共感したと言ってくださる方が多くてびっくりしました」と反響の大きさを口にする。
「共感は得られないキャラクターだと思っていたけど、20代とか同い年くらいの女性も『よねの気持ちがわかる』と言ってくださる方が多くて、みんな(社会に)怒っているのだなって。社会だったり生きていく苦しさだったり、そういうところを共有できたというか。視聴者の皆さんを通して、私も一緒に頑張ろうという気持ちになれたし、勇気をもらいました」
鵙尾とよね、印象がまったく異なる役だが、役のイメージを固定したくないという思いもあって、今作のオファーを受けたのだろうか。
「そんなことはなくてタイミングです。どんな役でもどんな作品でもありがたいので、たまたまビジュアルから何からすべて違う役をいただけたのはありがたいです」
認知度がより高まった今、俳優としての展望を尋ねると、「一個一個に丁寧に向き合って、一つ一つに全身全霊、情熱を注げたら。楽しいという気持ちでずっとやってきたので、今後もそこは忘れたくない」と真摯(しんし)な表情で答えた。
「芝居が好きで、どんどん好きになっていくので、そこには正直にいたいし、それを忘れずにいけたら。その結果どういう俳優になるのか自分でも楽しみです」
今後演じてみたい役については「SF映画が好きなので、CGを多用した、グリーンバックばかりの映画に出てみたい」と明かし、「アクション満載の戦う役がいい。敵の刺客みたいな感じでもいいし、CG使った映画をやってみたい。人間じゃなくても宇宙人でもいいです」と目を輝かせる。
最後に、視聴者に向けて「鵙尾の過去のシーンが第3話(10月25日放送)にあるのですが、そこはいろんな意味で注目してほしいかなと思います。ビジュアル含めいろいろチャレンジ! という感じだったので、ぜひ楽しみにしていただければ」と呼びかけた。(取材・文・撮影:遠藤政樹)