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永久のユウグレ:音楽 得田真裕インタビュー 未来的な世界観と温もりある郷愁を両立

アニメ「永久のユウグレ」の一場面(c)Project FT/永久のユウグレ製作委員会・MBS

 「true tears」「SHIROBAKO」などのアニメ制作会社「P.A.WORKS」によるオリジナルテレビアニメ「永久のユウグレ」が、MBS・TBS系の深夜アニメ枠「スーパーアニメイズムTURBO」で放送されている。AIの技術が発展した未来の世界を舞台とした本格ラブストーリー。最愛の恋人・王真樹トワサと愛を誓い合った主人公・姫神アキラが長年にわたるコールドスリープから目覚め、戦争によって荒廃した街を目にする。アキラの前にトワサと酷似したアンドロイド・ユウグレが現れ、世界のどこかで生きているはずのトワサと再会できると信じて、共に旅をすることになる。音楽の得田真裕さんに制作の裏側を聞いた。

 ◇大きく包み込むような楽曲を目指す

 --作品の印象は?

 「永久のユウグレ」は、最初は“アンドロイドと人間の関わり”を描くヒューマンドラマだと思っていました。ですが、実際に向き合ってみるとそれだけではなく、「愛とは、価値観って何か」を浮き彫りにしていくような深みを感じました。今の時代にはさまざまな形の愛がありますが、この作品はそれを映す鏡のような存在だと思います。そのため、見る方にとって“愛”について改めて考えるきっかけになる作品になるのではないでしょうか。

 --監督からのオーダーは?

 監督からは「世界中の民族が混ざり合った世界を、ピアノで感情の細やかさを、弦楽器で感情の高まりを表現してほしい」とお話をいただきました。さらに「過去と未来をつなぐ楽器」としてハンマーダルシマーを取り入れてはどうか、という提案もありました。時代や文化の幅が広い世界観をどう描くか悩んでいたので、このアイデアには大きく助けられましたし、同時にとても美しい楽器の選択だと感銘を受けました。

 --作品の“核”をどう考え、どう表現しましたか?

 この作品の“核”は「人と人が繋がろうとする気持ち」だと考えました。そこで、普遍的で温かい響きを重ね、さまざまな価値観を否定も肯定もせず、大きく包み込むような楽曲を目指しました。

 --舞台は未来ではありますが、荒廃した世界はどこか懐かしさも感じます。音楽でも懐かしさを感じました。

 未来を描きながらも、根底にあるテーマは「愛」や「人間」です。そのため、サウンドの芯があまりにも未来的になりすぎないように意識しました。ハンマーダルシマーやクラシックの楽器など、伝統的な音色を織り交ぜることで見る人が親しみやすく、難解になりすぎないよう心がけました。その結果が、どこか懐かしさにつながっているのかもしれません。

 ◇アニメと実写 音楽制作の違い

 --挑戦になったことは?

 未来的な世界観と温もりある郷愁を両立させることが最大の挑戦でした。電子音だけでは冷たくなりすぎ、アコースティックだけでは古風になりすぎる。そのバランスを探る作業は難しくも刺激的で、民族音楽的だけど電子音も入るなど新しい音作りの挑戦になったと思います。

 --アニメと実写で音楽制作に違いは?

 まさに今、一番難しいと感じている部分です。音楽の付け方や流れる長さ、編成の規模や展開の仕方など、実写とは違う要素が多くあります。アニメは映像表現が抽象的な分、音楽がキャラクターの感情や世界観を強く補う必要があります。また音の重ね、抜き具合などもいろいろ塩梅が慣れてないことが多く、津田監督や音響監督の吉田光平さんにいろいろ教えを請いたいところでもあります。

 --最後にメッセージをお願いします。

 監督もおっしゃっていたのですが、この作品は“価値観の変容”に揺さぶりをかけてくるアニメです。物語の展開も、きっと皆さんの予想を良い意味で裏切り、期待に応えてくれると思います。私としては、ぜひ第1話(※0話を挟むので表記が難しいですが)のラストシーンを、音楽と共に楽しみにしていただきたいです。そしてぜひ最終話までご覧いただけたらうれしいです。

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