1巻が発売されたコミックスの中から、編集部と書店員のお薦めマンガを紹介する「はじめの1巻」。今回は、「コミックフラッパー」(メディアファクトリー)で連載中で、働かない父の代わりに小さな文房具屋さんを切り盛りする少女の日々を描いた、あさのゆきこさんの「夕焼けロケットペンシル」です。
ウナギノボリ
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ネットゲームにのめり込み、働かないニートの父に変わって店を切り盛りする小学6年生サトミ。クラスメートの男の子、売れないマンガ家、元気な女子大生ら、少しだけいるなじみのお客さん、いなくなった母の帰る場所を守るため、けなげに頑張り続ける……というほのぼのストーリーだ。
この作品は文房具屋を舞台に、小学6年生の少女サトミがお店を守りながら出て行ってしまったお母さんや、気になるマンガ家のお兄さんを待ち続ける……というお話。ダメな父親に代わりお店を開けるサトミの日々は、問屋の人にお店ごっこと揶揄(やゆ)されたり、思うように商品が売れなかったりとつらいことも多いです。それでも前を見続けるサトミには多くの支えてくれる人々が現れます。その日々は、時にせつなく、時に暖かな光に包まれているかのよう。
各話に登場する文房具は実在のもの、もしくはそれをモデルにしたものばかりです。目新しい文房具につい手が伸びてしまう方にも楽しんでいただけると思います。
著者のあさのゆきこ先生は本作が連載デビュー作。先生のおばあさまが文房具屋さんを営んでいらしたことから、この作品が生まれました。「高杉さん家のおべんとう」の柳原望先生が寄せてくださったコメント「がんばり屋の女の子はみんな切なさを隠しているのです」が、やはりこの作品の姿を正しく表してくださっていると思います。
小さな胸に秘めた恋心も、大人の事情で帰って来れない母も。望めば望んだだけかなってほしい。きっとそう思えるはず。未読の方、ぜひご一読を!
サトミのかわいらしさやコミカルなドタバタ劇もあったはずなんですが、気付けばあまりの世知辛さにいたたまれない気分になってしまいました。小売業に従事している者にとって、あの寂れたお店の様子は、読んでいて実にこたえるんですよ。笑いごとにならない苦労に立ち向かうサトミの健気さや必死さも、心から応援したくなると同時に痛々しさすら覚えるほど。でもこれだけ小さな女の子が頑張ってるんだから、ハッピーエンドを拝むまでは読むのをやめるわけにはいかないですよ!
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