東日本大震災で壊滅的な打撃を受けたアニメ「かんなぎ」の“聖地”宮城県七ケ浜町で、毎月のように訪れていたアニメ「かんなぎ」のファンや痛車のメンバーが駆け付け、地道な支援で町に寄り添っている。
ウナギノボリ
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七ケ浜町は、地元の鼻節神社が、08年に放送されたアニメ「かんなぎ」の神社のモデルになったことが知られると、ファンがこぞって“聖地巡礼”に押しかけた。キャラクターのイラストを書いた「痛絵馬」が奉納され、地元のテレビ局などに取り上げられるなど話題となった。また、町の多目的センター「七ケ浜国際村」は、太平洋をバックにした雄大な景観が人気となり、コスプレファンが毎週のように通い、イベントを開く「東北のコスプレスポット」となり、わざわざ関東からも足を運ぶ人がいた。さらに痛車の展示イベントも開かれ、アニメを使った町おこしに取り組んでいた。
ところが、3月11日の大震災で、震度5強の揺れに10メートルを超える津波が町を襲った。同町災害対策本部によると、15日現在で死者60人、行方不明12人、沿岸地域は壊滅的な被害を受け、家屋の浸水や港湾施設の被害はいまなお調査中で、900人以上が避難生活を送っている。鼻節神社は高台にあったため、直接的な被害は免れたが、灯籠(とうろう)が倒壊し、掃除にまで手が回っていないという。
アニメ「かんなぎ」のファンで、痛車交流会「痛セブン」の代表として活動しており、国際村のイベントに参加したり、神社の清掃にも参加するなど、1年半以上にわたり月2回以上町を訪れていた仙台市宮城野区の会社員、東海林泰士さん(41)は、震災時には東京へ出張中だったが、乗り捨てのレンタカーを確保し、3月13日に現地入りした。国際村のスタッフは無事だったが、町は壊滅的な被害を受け、いつもはコスプレでにぎわう国際村は、被災者の避難所へと変わっていた。東海林さんは想像以上の状況に心を痛め、支援することを決めた。
東海林さんは、被害状況を痛車仲間に伝え、有志を募り、自腹を切って物資を購入、週末ごとに七ケ浜へ足を運んだ。「水がない」と聞けば、軽トラックを借りて500リットルの水を運んだ。物資があっても避難所へ運ぶ足がなければ代わりに運んだ。必要な物資は週を追うごとに食べ物から衣服へと変わり、その都度自腹を切って購入した。東海林さん自身の持ち出した金額は30万円以上となり、それは痛車の仲間も同様だった。
1カ月がすぎた今、東海林さんは「がれきの撤去など、これからは人の力が必要になりそうです」といい、東海林さんはファンと痛車愛好者たちを募り、17日から神社の片づけを始めるという。東海林さんは「今後も海岸の清掃などをするつもりです。町の人から(町の人口約2万人のうち)『3000人は町を離れそうだ』という悲痛な声を聞きました。少しでも地域復興の手助けになればと思います」と話している。(毎日新聞デジタル)
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