BUCK-TICK:新作タイトルは「胎児がへその緒で星とつながりスヤスヤ寝ているイメージ」

新作「夢見る宇宙」について語ったBUCK-TICKの櫻井敦司さん(左)と今井寿さん
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新作「夢見る宇宙」について語ったBUCK-TICKの櫻井敦司さん(左)と今井寿さん

 5人組ロックバンド「BUCK-TICK」が、約2年ぶりのオリジナルアルバム「夢見る宇宙」を19日にリリースした。今作は、不動のメンバーで迎えたデビュー25周年というアニバーサリーイヤーを飾る一枚。そんなアルバムの話を中心に、この25年間の活動のスタンスなどについて、ボーカルの櫻井敦司さんとギターの今井寿さんに聞いた。(水白京/毎日新聞デジタル)

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 ◇一人で聴くとじわっとくる新作

 −−新作「夢見る宇宙」はホーン(管楽器)の音やジャズのエッセンスを取り入れたりと、幅広い仕上がりになりましたね。

 今井さん:今回は、音については統一したテーマというのはなかったんで、いろんなタイプの曲が出て来ているとは思います。ただ、ライブでアッパーになれる感じっていうのは意識していて、ノリのいい曲、リズムとメロディーが際立つ感じにはしたいなと思っていたので、結果そういう感じにはなったかなと。

 −−歌詞についてはどうですか?

 櫻井さん:今回、まず言葉や物語みたいなものから広がっていくのはどうかっていう提案がディレクターからありまして、デモテープも音もない状態で言葉(歌詞)を作るっていうところから始まったんですけど、結果的には一曲一曲がしっかり自立した、濃い物語ができたな、という印象があります。

 −−歌詞のアイデアはどのようにして生まれるんですか。

 櫻井さん:例えばタイトル曲の「夢見る宇宙」は、昨年の10月ぐらいに(アルバム制作の)作業がスタートしたんですけど、当時は(東日本大震災後の)日本の状況に関する情報が目から耳から入ってきて。それで、いろんな人がいろんな“さよなら”を体験していく中で、その悲しみも超えて、宇宙で、胎児がへその緒で星とつながって、スヤスヤ寝ているという。なんでも想像することというのは、赤ちゃんが見る夢のように自由だ、というイメージなんです。

 −−櫻井さんの歌詞には“夜”というワードが多く登場する中で、「人魚−mermaid−」という楽曲では海辺の恋の情景が描かれていて、いい意味で異彩を放っていますね。

 櫻井さん:最初からかなり抜け感のある曲だったので、歌や言葉の部分でもカラッと抜け切ってしまえという思いでやりましたね。刹那(せつな)的な、享楽的な思いを表したかったので、「これ以上何がいるんだっていうぐらい太陽でいっぱい」というか。映画の「太陽がいっぱい」の主人公のせりふをいただいてます。

 今井さん:(作曲者であるギターの星野英彦さんから)仮タイトルを「サーフ」で持ってこられたら、こうするしかないだろう、そりゃこうなるよねっていう(笑い)。

 −−なるほど。ではアルバム収録曲の「夢見る宇宙」をアルバムタイトルにした理由は?

 今井さん:そろそろタイトルを決めなきゃっていうときになっても、ポンッと出てくる言葉が特になくて。そういうときって、けっこう収録曲の中にあると思っていて、それでパーッと見たときに、これ以外ないかなと。字面、語感、あとリズムみたいなものとか、生命感や広がりみたいなイメージとか。

 −−アルバムの仕上がりについてご自身ではどう感じますか。

 今井さん:満足してます。夜に聴いたらいいと思います。

 櫻井さん:音の質感というか、音のつやっぽさも含めて可愛いですね。それは、今まで感じたことがないのかなと。一人で聴くとじわっとくると思うので、こっそり聴いてください(笑い)。

 ◇25周年同じメンバーで飽きなかった

 −−それでは、今年デビュー25周年ということで、改めて皆さんが出会ったころのことをお聞きしたいのですが、櫻井さんと今井さんを含む4人のメンバーは高校が同じだったそうですね。どんな高校生だったんですか。例えば、やっていた部活とか。

 今井さん:ラグビー部に一応入ってるみたいな感じだったんですけど、活動はしてませんね。高校に入学して「家に帰っても別に何もやることないし」ぐらいのノリで見学に行ったら「アレッ!? なんでユニホーム用意されてるの?」みたいな。それでそのままやめられなくなったというか、やめたらぶっ飛ばされるみたいな校風の学校だったんです(笑い)。ラグビーなんてやる気のないヤツはやっちゃダメじゃないですか、あんな痛いもの(笑い)。でも「1年間だけやれ」って言われて、無理やり(部に)いさせられました。

 櫻井さん:僕は勉強だけで運動はやらなかったです。ただ、国語は好きでしたけど、勉強は全く好きではございませんでしたね(笑い)。

 −−デビューから25年、ずっと同じメンバーでやってこられた要因はなんだと思いますか。

 今井さん:飽きないでできてるっていうのもあるし、あとは信頼みたいなものですかね。「(ほかのメンバーから)こういうものが出てくるんだろうな」っていうのがバンドの中でなんとなく分かってるというか。

 櫻井さん:僕ができないところは頼りになるし、バランスが無意識のうちにとれているのかなと。やっぱり、ヒデ(星野さん)や今井が面白い曲を作ってくれると僕もドキドキワクワクするし、そういう中毒性があるから続けていられるのかなと思います。

 <BUCK-TICKのプロフィル>

 メンバーは、ボーカルの櫻井敦司さん、ギターの今井寿さんと星野英彦さん、ベースの樋口豊さん、ドラムのヤガミトールさんの5人。87年9月にライブビデオ「バクチク現象(ライブ)at THE LIVE INN」を、11月にはファーストアルバム「SEXUAL×××××!」をリリース。22、23日には、BUCK−TICKに影響を受けたというバンドとともに25周年を記念したイベント「BUCK−TICK FEST 2012 ON PARADE」を千葉ポートパーク(千葉市中央区)内の特設会場で行う。初めてハマッたポップカルチャーは、櫻井さん・今井さんともにトイグッズ。櫻井さんは「ミクロマンっていうのがあったんですけど、人形の関節が曲がるんです。とにかくあれが好きで、同じものを三つ、四つ持っていて遊び倒してました」、今井さんは「ウルトラマンシリーズの人形。結構な財産になったかなっていうぐらいいっぱいあって、ウルトラセブンが特に好きでした」と話した。

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