話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、伊豆半島を舞台にダイビング部に入部した女子高生たちの日常を描いた天野こずえさんのマンガ「あまんちゅ!」です。マンガ誌「月刊コミックブレイド」(マッグガーデン)編集部の萩原達郎さんに作品の魅力を聞きました。
ウナギノボリ
「光る君へ」より昔! 最も古い時代の大河ドラマは? 1976年「風と雲と虹と」のあらすじ
−−この作品の魅力は?
海とダイビングが大好きな元気いっぱいの少女・小日向光(愛称ぴかり)。東京から引っ越してきた引っ込み思案な少女・大木双葉(愛称てこ)。「夢ヶ丘高校」に入学して出会った二人の少女が入部したのは、この土地ならではのダイビング部! 自然豊かな伊豆半島を舞台にダイビングを通して、天野こずえ先生ならではの着眼点で切り取られた風景や四季折々の日常にひそむささやかな幸せを満喫できる……。読んだ後にほっこり笑顔になれる癒やしの物語です。
−−作品が生まれたきっかけは?
前作「ARIA」のアニメ第2期が放送されているころ、半年ぶりに取れた休みで人生初の沖縄に突撃旅行、これまた人生初のダインビングを体験しました。慶良間(けらま)、座間味(ざまみ)の海があまりにも素晴らしくて帰京してから先生に興奮気味にお話ししたら、先生も興味を示されてライセンスを取得してマイスーツも仕立て……。気がつけば私のはるか上を行く本格的なダイバーになっておられました。その後、アニメ第3期とマンガ同時完結の怒涛(どとう)の修羅場を何とか乗り切り、互いに精も根も尽き果てた状態で新作の協議をした時に、共通の趣味(というか仕事で疲弊しきってしまった時の精神の回復を兼ねた癒やしの時間?)として「ダイビングを扱った題材にしてみては?」というアイデアが双方から自然に出た記憶があります。
−−編集者として作品を担当して、今だから笑えるけれど当時は大変だった……、もしくはクスッとしたナイショのエピソードを教えてください。
大変だった、でいうと月並みですがやはり仕事時間の確保でしょうか? 本作を始めて単行本も3冊まで刊行し「いい感じで軌道に乗ってこられたかな?」というころ合いに先生のご懐妊が判明した当時は大変でした。先生はご自身でもおっしゃっている通り筆は遅い方なので「どういう形で雑誌連載と単行本刊行を維持するか」という点で、一個人としてはこれ以上ないおめでたいお話に大喜びし、一編集者としてはクスッとではなく冷や汗を流しました(笑い)。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
現在先生は子育てに日々奮闘されており、なかなかお仕事で無理がきかない状態ではあるのですが、これからも「日常、ときどきダイビング」のキャッチコピー通りに、ほんわかまったりと天野こずえ先生ならではのすてきな物語をお届けできれば……と思っております。時にゆっくりなペースになることもあるかもしれませんが、単行本はもちろん、ぜひ雑誌連載の方でもご声援をいただければと……。今後ともなにとぞよろしくお願い申し上げます!
また、妊娠、出産、子育てをつづった天野こずえ先生の初エッセーコミック「ままんちゅ!」が10月10日に、「あまんちゅ!」の最新第5巻と同時に発売になりました。先生の等身大かつ赤裸々な姿(笑い)が描かれた希少な一冊……。未読の方はこの機会にぜひどうぞ!
月刊コミックブレイド編集部 萩原達郎
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