ブラックジャックによろしく:印税ゼロで超廉価版出版

佐藤秀峰さんのマンガ「ブラックジャックによろしく」の廉価版1巻「第一外科・循環器内科編」(双葉社)の表紙
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佐藤秀峰さんのマンガ「ブラックジャックによろしく」の廉価版1巻「第一外科・循環器内科編」(双葉社)の表紙

 映画化もされた「海猿」などで人気の佐藤秀峰さんのマンガ「ブラックジャックによろしく」の廉価版1巻「第一外科・循環器内科編」が、12日から全国のコンビニエンスストアなどで発売される。佐藤さんは同作について自由な2次使用を認める「フリー宣言」をしているため、発行元の双葉社は印税を支払わず、その分他の廉価版と比べて価格を150円程度抑えた450円に設定。著作権は著作者の死後原則50年で消滅するため、印税ゼロは小説などでは珍しくないが、歴史の浅いマンガでは極めて異例。

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 マンガのコミックスは通常、価格の10%前後の印税が著者に入るとされている。佐藤さんは人気作「ブラックジャックによろしく」を電子書籍で無料配信しながら、映画化、小説化、舞台化といった2次利用に対して、「事前に連絡は必要ない」「ロイヤルティーや報酬は一切要求しない」と自由な使用を認めている。フリー化による作品の拡散、利用のされ方などを調べて今後に生かすのが狙いという。

 フリー化について、佐藤さんはブログで電子書籍閲覧用のアプリが90万ダウンロードを突破したことを明かしながら「小説化の企画ではカバーイラストの依頼なども来ています。僕は新作を1ページも描かなくてもスタッフにお給料が払える状況になりました。短期的にはフリー化は大成功でした」としている。

 「ブラックジャックによろしく」は、大学付属病院の研修医だった斉藤英二郎が、「医者とは何か」という問いに苦悩し、理想とかけ離れた日本の医療の現実に直面しながらも奮闘する物語。02年に文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞を受賞し、03年には妻夫木聡さん主演でTBS系でテレビドラマ化された。廉価版1巻は384ページで、コミックスの1、2巻分を収録した。次号からは毎月12日に発売する。(毎日新聞デジタル)

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