注目映画紹介:「犬どろぼう完全計画」韓国映画 子どもたちの騒動がワクワク感とともにつづられる

映画「犬どろぼう完全計画」のワンシーン (C)2014 Samgeori Pictures Co,Ltd.ALL RIGHTS RESERVED
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映画「犬どろぼう完全計画」のワンシーン (C)2014 Samgeori Pictures Co,Ltd.ALL RIGHTS RESERVED

 米国の作家バーバラ・オコーナーさんのベストセラー小説を映画化した「犬どろぼう完全計画」(キム・ソンホ監督)が18日から公開される。「ソウォン/願い」(2014年)の子役イ・レさんが、裕福なマダムから犬を盗もうと計画する主人公を好演している。出演は「母なる証明」(09年)のキム・ヘジャさん、韓国の人気バンドFTISLANDのイ・ホンギさんら。

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 私立小学校に通うジソ(イ・レさん)は、母親(カン・ヘジョンさん)と弟と車中暮らし。父親は、事業であるピザ屋が失敗し失踪した。もうすぐ誕生日だが、家でパーティーを開くこともできない。ある日、不動産屋で坪あたり500万ウォンで売り出されていた家の広告を見て、500万ウォン(約54万円)で一軒家が買えると勘違い。失踪した犬を探した謝礼金に「500万ウォン」と書かれてあった貼り紙を思い出し、親友と一緒にレストランのオーナー(ヘジャさん)の犬を盗み出す計画を立てる。ピザ屋のデリバリー(イ・ホンギさん)やホームレスのおじさん(チェ・ミンスさん)を巻き込み大騒動となるが……という展開。

 子どもたちだけで犬を盗む騒動が、ワクワク感ともにつづられていく。500万ウォンで家が買えると思った子どもの勘違いや、あれやこれやと子どもたちが集まって画策している姿は、北欧の児童映画のような可愛らしさだ。盗んだ犬の飼い主のマダムは、裕福だが孤独。ジソには親友と弟がいるが、マダムには信用できる人間が誰一人いなく、犬のウォーリーだけが心のよりどころだ。マダムの財産を狙うおいたちが物語にからみ、事態は思わぬ方向へと進んでいく。仲むつまじいジソの一家が丁寧に映し出され、何が幸せなのかも観客に問う。父親のいない一家を、ジソの母親が懸命に働いて支えている。そこには、女手一つで子育てする大変さや、親子げんかでの母親のイライラ感がリアルに描写されている。「トンマッコルへようこそ」(05年)のカン・ヘジョさんが母親役を好演。謎のホームレスがジソを見守り、マダムがジソを静かに諭すところに、子どもはたくさんの大人と接して育つということを改めて考えさせられる。ウォーリー役のジャックラッセルテリア犬のかわいさと名演も見逃せない。シネマート新宿(東京都新宿区)ほかで18日から公開。(文・キョーコ/フリーライター)

 <プロフィル>

 キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。でも、犬も好きです。

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