杉谷庄吾【人間プラモ】さんのマンガが原作の劇場版アニメ「映画大好きポンポさん」(平尾隆之監督)が6月4日に公開される。映画製作を描く同作で、新人女優のナタリーを演じるのが、モデル、女優として活躍する大谷凜香さん。本格的に声優に挑戦するのは初めてという大谷さんは、アフレコで悪戦苦闘しながらも、共演の小原好美さん、清水尋也さんに支えられ、ナタリーを演じきることができたという。「リアルに30連敗した」というアフレコの様子や、同作への挑戦で決意を新たにしたという女優への思いについて聞いた。
ウナギノボリ
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「映画大好きポンポさん」は、映画を愛する青年と映画に愛された女性が映画製作を通して自分を見つけ出す姿が描かれる。B級お色気アクションばかりを手がける敏腕映画プロデューサーのポンポさんが、アシスタントの青年で“映画の虫”のジーンを監督に指名することになる。「GOD EATER」「劇場版空の境界 第5章」などの平尾さんが監督を務め、CLAPが制作。俳優の清水さんが主人公・ジーン、小原さんがポンポさんを演じ、加隈亜衣さん、大塚明夫さん、木島隆一さんらが声優として出演する。
大谷さんは、1999年12月24日生まれの21歳。ローティーン向けファッション雑誌「nicola(ニコラ)」(新潮社)の元専属モデルで、バラエティー番組「ポケモンの家あつまる?」(テレビ東京)に出演。映画「ミスミソウ」(内藤瑛亮監督)、映画「樹海村」(清水崇監督)に出演するなど女優としても活躍している。テレビアニメ「ポケットモンスター サン&ムーン」で自身をイメージしたキャラクター・リンカの声優を務めたことはあるが、本格的に声優に挑戦するのは初めてだった。
「出演が決まった時は、こんなすごい声優のプロの方たちがいらっしゃる中で『私でいいのかな……』と。オーディション結果の連絡をもらった時はすごくうれしかったんですけど、すぐに不安が押し寄せてきました。原作のファンの方にとってもそれぞれのナタリー像が存在するだろうし、正解はないと思ったので、私がナタリーという魅力的なキャラクターを表現できるかなと不安でした」
大谷さんが演じるナタリーは、子供のころから女優に憧れ、オーディションを受けては落ちを繰り返してきた新人女優。ポンポさんに見いだされ、映画「MEISTER」のヒロインに抜擢されるシンデレラガールだ。大谷さんは女優として駆け上がっていくナタリーの「キラキラ感」を大事にしたという。
「ナタリーを演じる上では、普段の私の声だと低すぎるので『もっとキラキラしないといけない!』と(笑い)。ナタリーにはいろいろな面があって、オーディションに何回も落ちているナタリー、ヒロインに抜擢された時のナタリー、女優としてどんどん成長して自信を持っていくナタリーとで声の明るさを変えるようにしました。あと、劇中劇の『MEISTER』ではヒロイン・リリーを演じているので、ナタリーとリリーの差も意識しました」
「映画大好きポンポさん」のアフレコはコロナ禍ではあったが、感染対策をしながらポンポさん役の小原さん、ジーン役の清水さんと一緒に収録できたといい、「皆さんがいたからこそできた」と感じているという。
「プロの声優の方だったら数時間で録(と)り終わるところを私は何日もかかってしまって……。小原さんは自分の収録じゃない時もスタジオに駆け付けてくれて、ずっとサポートしていただきました。清水君も声優初挑戦だったので、一緒にスタッフさんに質問しまくって、みんなで一緒に作り上げたという感じでした」
なかでも大谷さんが印象に残っているのは、オーディションに何回も落ちているナタリーが「これで30連敗……」とつぶやくシーンだ。
「何十テークやっても思うように出せなくて、もう正解が分からなさすぎて『あ、もう無理。甘い物食べたい』となったんです。リアルに30連敗したと思います。そんな時も小原さんと清水君がずっとついていてくれて、スタッフさんたちも妥協せずにやってくださって、すごく皆さんに助けられました」
「映画大好きポンポさん」では、映画製作の企画からキャスティング、撮影、編集、スポンサーの問題などがリアルに描かれる。大谷さんは「今まで出演した作品の中で一番影響を受けた作品かもしれない」といい、自身が演じたナタリーのように「女優を目指す覚悟ができた」と力を込める。
「進路、人生を決める中で、何かを捨てなきゃいけないものがあると思うんですけど、この映画に出会ったことで、女優という夢は絶対に捨てないで生きていこうと思えました。目標は、ナタリーに負けないような女優になることです。ナタリーはどんどん先に行っちゃいそうだから置いて行かれないように」
「映画大好きポンポさん」から学んだことも多いという。
「映画を作るのは本当に大変なことなんだと、この作品を通じて改めて教えてもらいました。作る人の人生にも関わってくる。この作品に携わらなければ、映画の一部になれることの重大さが分からないまま女優をやっていたと思うんです。作品からもらったものが大きくて、大切な作品になりました」
大谷さんが悪戦苦闘しながら演じたナタリーは、明るく可愛らしく、みずみずしい輝きを放っている。「映画大好きポンポさん」が描く映画製作のリアル、そしてスタッフ、キャストの情熱を感じたい。
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