注目映画紹介:「潔く柔く きよくやわく」いくえみ綾原作 つらい経験をした2人の運命的な出会い

(C)2013「潔く柔く」製作委員会 (C)いくえみ綾/集英社
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(C)2013「潔く柔く」製作委員会 (C)いくえみ綾/集英社

 いくえみ綾さんのベストセラーとなった少女マンガを、長澤まさみさん、岡田将生さん主演で映画化した「潔く柔く きよくやわく」が、26日から全国で公開された。映画では、それぞれに過去につらい経験をした2人が運命的に出会い、やがて互いがかけがえのない存在になっていく様子を描く。“いくえみワールド”初の映画化だ。

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 15歳のとき、幼なじみのハルタ(高良健吾さん)が交通事故で死んだ。以来、瀬戸カンナ(長澤さん)は恋ができなくなってしまっていた。大人になり、映画宣伝会社に勤めるようになったカンナは、出版社勤務の編集者、赤沢禄(岡田さん)と出会う。ストレートな物言いの禄に最初は反発していたカンナだが、やがて彼のことが気になるようになっていく。一方、禄もまた、つらい過去を背負っていた……という展開。

 原作は13巻からなり、数話完結のオムニバス形式で構成されている。今作ではそのうちのカンナと禄に焦点を当て、彼らの恋愛ドラマを中心に描いた。長澤さんは、「笑い顔が泣いているように見える人」とのいくえみさんが描くカンナのイメージに合わせ、いつもの笑顔は控えめ。一方、岡田さんは「悪人」や「告白」(ともに2010年)、さらに公開中の「謝罪の王様」での演技がそうであったように、今回も、背負った苦悩を見せない禄というキャラクターを、さらなる別の顔で演じてみせている。

 いくえみさんの作品といえば、せりふのよさにも定評がある。男性キャラクターには、「いくえみ男子」なる呼び方もある。いくえみ作品ファンには、それがどの程度自分のイメージ通りに反映されているかが気になるところだろう。監督は「僕の初恋をキミに捧ぐ」(09年)や「パラダイス・キス」(11年)の新城毅彦さん。監督が“坂”にこだわったというラストシーンを含め、それらは自身の目で確かめてみてほしい。26日から新宿ピカデリー(東京都新宿区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)

 <プロフィル>

 りん・たいこ=教育雑誌の制作会社、編集プロダクションをへてフリーのライターに。映画にまつわる仕事を中心に活動中。大好きな映画はいまだに「ビッグ・ウェンズデー」(78年)と「恋におちて」(84年)。

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