二階堂ふみ:下着姿も「抵抗なかった」 映画「私の男」で体当たり演技

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 女優の二階堂ふみさん(19)が出演する映画「私の男」(熊切和嘉監督)が14日に公開する。映画は桜庭一樹さんが直木賞を受賞した同名小説が原作で、二階堂さん演じる孤児・花と浅野忠信さん演じる養父・淳悟との“禁断の愛”を描いている。花について「運命の役」と語り、下着姿でのラブシーンや、流氷から極寒の海へのダイブシーンなど体当たりの演技を見せている二階堂さんに、作品への思いや浅野さんの印象、見どころなどを聞いた。

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 二階堂さんは、津波で親を亡くし、10歳で孤児となった少女・花を演じる。花は遠縁の淳悟(浅野さん)に引き取られ、北海道・紋別の田舎町で淳悟と寄り添うように暮らしていた。しかし、ある冬、オホーツク海の流氷で殺人事件が起こり、2人は逃げるように東京へと向かう。二階堂さんは、花の中学時代から20代半ばまでを演じている。

 「海炭市叙景」「夏の終り」の熊切監督がメガホンをとった。二階堂さんは「ずっと熊切組に参加したいと思っていたので、すごくうれしかったです」と喜び、さらに「以前からファンだった桜庭先生の原作ということで、すごくすてきだなと思いました」とオファーを受けたときの感想を語る。

 そして「花役のお話をいただいてから、ずっと心の支えになっていました」と並々ならぬ思いで臨んだ今作は、二階堂さんにとって「勝負作であり、特別な作品」になったという。

 劇中では、花と淳悟のラブシーンも登場するが、二階堂さんの今作への意気込みを表すように「抵抗はまったくなかった」と言い切る。「この作品において、花の女性的なセクシュアルな部分はすごく大事だと思いましたし、自分がどうこうではなく、作品をよくするための一つの方法だと思ったので」と凛とした表情で語る。

 また、物語のキーとなる流氷のシーンでは、実際の流氷上で4日間にわたって撮影を行い、学生服の衣装で極寒の海にも飛び込んだ。「下にセミドライスーツを着ていたんですが、すごく寒かったです」と苦労を語る一方で、「流氷に入ることには戸惑いもありませんでしたし、気持ちよかったです」とここでも役者魂を見せる。「すごくいいシーンになったと思います。セットではなく本物の海だからこそ作ることのできる雰囲気や世界観、息遣いや足場のふらつきなど、力強いものになったんじゃないかと思います」と手応えを感じているようだ。

 今作で二階堂さんと多くの時間を共有し“濃密な関係”を演じているのは、今回が初共演となる浅野さんだ。「浅野さんの作品をずっと見てきた人間なので、ご一緒できると聞いたときはとてもうれしかったです」と二階堂さんは笑顔を見せ、「撮影の1カ月くらい前に、監督から突然お店に呼び出されて、浅野さんにお会いしたんですが、そのとき『浅野さんだ!』って思いました」と初対面のときの喜びを語る。

 「その後、撮影まで何度かお話しする機会があったんですが、映画や役柄に関してはあまり話さなかったんです。でも、ファーストカットの撮影で遠くから歩いてくる浅野さんを見て、『あっ、淳悟がいる!』とすんなり思いました。そして現場でも、テンションや近さなど、ずっと淳悟と花という関係性の中で私と接してくれていて。浅野さんに引っ張っていただいていたところは大きいと思います」と続ける。浅野さんについて、「素晴らしい方だと思いました。妥協しないし、いつもどのシーンにも全力で取り組んでいらしゃいました」と尊敬の念を口にした。

 出来上がった作品については、「現場で感じていた以上のものをスクリーンで見ることができて、本当に素晴らしい作品だな、と思いました」と満足いく仕上がりになったという。「監督が製作発表のときに、浅野さんと私と3人で『すてきな共犯関係を築いている』っておっしゃっていて、『なるほど、その通りだな』と思ったんです。罪を犯して、共感して、巻き込んでいくような……」と魅力を語った。そして最後に「北海道の大自然、真っ白い景色の中で、淳悟と花、2人だけの世界をぜひスクリーンで見ていただきたいと思います」とアピールした。

 <プロフィル>

 1994年9月21日生まれ。沖縄県出身。2009年に役所広司監督の「ガマの油」で映画デビュー。11年に「劇場版 神聖かまってちゃん/ロックンロールは鳴り止まないっ」で初主演を果たし、同年「ヒミズ」で「第68回ベネチア国際映画祭」のマルチェロ・マストロヤンニ賞(最優秀新人俳優賞)を受賞する。以降、「悪の教典」「脳男」「四十九日のレシピ」「ほとりの朔子」など数々の映画に出演し、「第35回ヨコハマ映画祭」助演女優賞、「第56回ブルーリボン賞」助演女優賞といった映画賞を受賞。今後は、6月27日に出演した映画「渇き。」の公開を控えており、またNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」に茶々役で出演。

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