アニメ「ルパン三世」(日本テレビほか)が本編テレビシリーズとしては約30年ぶりの新作として10月から放送がスタートする。「『ルパン三世』らしさを追求した」と語るテレコム・アニメーションフィルムの浄園祐プロデューサーに“復活”の狙いを聞いた。【小西鉄兵】
ウナギノボリ
ついにクライマックス!「不適切にもほどがある!」
「ルパン三世」はモンキー・パンチさんのマンガが原作。テレビアニメは1989年から単発のスペシャル版新作がほぼ毎年1回放送され、2012年にはスピンオフ作品「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」がシリーズで放送されたが、本編シリーズは84、85年に放送された「ルパン三世 Part3」以来、約30年ぶり。イタリアを舞台に、20代のルパンや仲間たちの活躍を描く。
スペシャル版が毎年のように放送され、人気アニメ「名探偵コナン」とのコラボ作や実写映画が作られるなど、今もなお世代を超えた人気を持つ「ルパン三世」。浄園プロデューサーはテレビシリーズに挑戦したことについて「本道をやりたい!という気持ちがあった。自分はリアルタイムでテレビシリーズを見られなかったが、若い人に毎週、アニメを見てもらいたかった」と思いを明かす。
「LUPIN the Third」も手掛けた浄園プロデューサーは、テレビシリーズを“本道”と考えている。「テレビシリーズは1話の本編が20分程度。短く感じるかもしれませんが、爽快感があって、ルパンたちの活躍を描くのにちょうどいいんです。話が長くなって、ストーリーなどを説明すればするほど『ルパン三世』らしさがなくなっていく」という。
「ルパン三世」らしさを追求するために、作画にもこだわった。旧テレビシリーズには「現代でも風化しない強度がある」と考え、「旧テレビシリーズのような線のぬくもりを大事にしたかった。アニメは、デジタルで作ったものを、あえて汚して、手描きのようにしています。日本独自の手描きのアニメの質感を表現したかった」と語る。
現代のアニメはメカをCGで表現するのが一般的だが、ルパンが乗るフィアットの車はあえてCGを使わないなど、アナログな質感を表現。一方で敵キャラクターが乗るハイテクメカにはCGを使うことで、古い車に乗るアナログなルパンと対比させているという。
制作スタッフは、宮崎駿監督が手がけたことでも知られる「ルパン三世 カリオストロの城」(79年公開)にも参加した友永和秀さんが総監督を務めるなど「目をつぶってもルパンを描ける」というベテランが参加している一方で、20代の若手アニメーターも積極的に起用。浄園プロデューサーは「ベテランの方は残念ではありますが、いずれは引退していく……。若手に技術を教えてもらいたかった。伝統を伝えていかなければいけない」と話すように、技術の継承も目指した。
さらに、旧テレビシリーズを見たことがない「若者にも共感できるようにした」といい、ノリで行動しているようにも見えるエキセントリックな“ゴシップクイーン”のレベッカといった今風な新キャラクターも登場。ルパンや仲間は、レベッカに振り回されることになる。伝統を重んじるということは保守的にもなりかねないが、新キャラクターの登場によって、オールドファン以外も楽しめるようにした。
新テレビシリーズは全24話。伝統を受け継ぎながら生まれ変わる「ルパン三世」に注目だ。
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