手塚治虫:NHKが幻の名作を発掘 46年ぶり放送

「金曜eye 幻の名作 発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる ~」で放送される「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」の一場面=NHK提供
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「金曜eye 幻の名作 発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる ~」で放送される「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」の一場面=NHK提供

 1969年にNHKで放送された手塚治虫さんの異色のテレビアニメ「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」の映像が発掘され、25日にNHK総合(関東甲信越地域)の「金曜eye 幻の名作 発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる ~」で約46年ぶりに放送される。映像は手塚さんの助手だった下崎闊(ひろし)さんの自宅で発掘された。

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 「金曜eye 幻の名作 発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる ~」は、NHKが保存していなかった映像を発掘する番組。かつては放送用のテープが高価で、テープを使い回していたため、保存されていない映像も多かったといい、NHKは約2年前から失われた映像を発掘するプロジェクトを始動させ、これまで約4000本の貴重な映像が発掘された。

 「ワンダーくんの初夢宇宙旅行」は、アニメと実写を融合した異色の作品で、少年が不思議な椅子のワンダーくんに乗って宇宙を旅行する……というストーリー。NHKでは保存されておらず、“幻の名作”と呼ばれていた。今回、NHKが手塚プロダクションに別件で取材する中、手塚作品の映像を多数所有する下崎さんを紹介され、映像が発掘された。

 発掘されたのは映像のみで、音声が残っていなかったため、監督を担当した杉山卓さんが記憶をたどりながら、台本を再現した。また、ワンダーくんの声優を務めた三輪勝恵さんがアフレコに参加したほか、主人公の少年の声は、NHK連続テレビ小説「まれ」に出演している女優の清水富美加さんが担当した。同作は約20分だが、番組では約5分が放送される。

 番組を手がけた同局の吉田宏徳チーフプロデューサーは、同作について「宇宙についてよく分からなかった時代に、子供たちに好奇心を持って宇宙について考えてごらん……というメッセージを伝えた作品。今はネットで調べると何でも分かる時代だが、分かった気になっているだけかもしれない。そんな現代だからこそ、好奇心を持つ大切さが伝わると思う」と話している。

 「金曜eye 幻の名作 発掘大作戦!~あなたの“見たい”がよみがえる ~」では、石原裕次郎さんの歌のワンマンショー「ビッグショー」(75年放送)やNHK大河ドラマ「花神」(77年放送)、八千草薫さんや黒柳徹子さんの若き日のドラマの映像、黒澤明監督や大江健三郎さんのインタビューなどが発掘される。NHK総合(関東甲信越地域)で25日午後7時半から放送。

 発掘された映像は今後、埼玉県川口市の施設「NHKアーカイブス」で公開される予定。

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