注目映画紹介:「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」 見習い魔女たちの新たな物語

劇場版アニメ「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」のワンシーン (C)2015 TRIGGER/吉成曜/GOOD SMILE COMPANY
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劇場版アニメ「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」のワンシーン (C)2015 TRIGGER/吉成曜/GOOD SMILE COMPANY

 オリジナル短編アニメ「リトルウィッチアカデミア」の続編「リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード」(吉成曜監督)が9日に公開される。「リトルウィッチアカデミア」は、文化庁の若手アニメーター育成プロジェクト「アニメミライ2013」の一つとして製作され好評を博した。2013年に米国のクラウドファンディングサービス「Kickstarter」で資金を募ると、1カ月で目標金額の4倍となる62万5518ドル(約7400万円)を集め新作の製作が決まったという。前作に引き続き「キルラキル」などの「TRIGGER」がアニメ制作を手がけ、新キャラクターも登場し、見習い魔女たちの新たな物語が展開する。

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 幼い頃に見た魔女・シャイニィシャリオ(声・日髙のり子さん)のショーに魅了されたアツコ(声・潘めぐみさん)は、欧州の伝統ある魔女育成の名門校「ルーナノヴァ魔法学校」に入学。しかし、ホウキにうまく乗れないだけでなく、授業でも騒動ばかり起こしていたため、その罰として、友人で世話役のロッテ(声・折笠富美子さん)やスーシィ(声・村瀬迪与さん)と、魔女狩りの歴史を再現するパレードに参加させられることになる。パレードを成功させないと落第となるが、アッコはどうせやるならハッピーなものにしたいと街全体を巻き込んだパレードを思い付き……というストーリー。

 温かみのある絵柄と親しみやすいキャラクター、そして軽やかに動き回る姿が日本だけでなく、世界でも注目を集めた作品の続編ということで、かなり期待感を持って鑑賞したが、想像以上の完成度に身震いした。さすが、クラウドファンディングサービスという“ファンの後押し”によって製作が決まっただけはあり、期待を裏切らない。今作はみんなの力で困難を乗り越えることをテーマに、主人公らが奮闘するのだが、挫折もありつつも友人や仲間の助けを借りて立ち向かうという友情物語が繰り広げられ、シンプルながらも心に深く突き刺さる。日常の何気ない所作や表情の変化から躍動感が感じられる登場人物たちは魅力的。新たに登場したキャラクターたちが絶妙なスパイスになっている。多幸感を重視した王道のストーリーは、見終わったあと、誰もがハッピーになれる気がする。前作の短編が同時上映されるのも粋だ。TOHOシネマズ新宿(東京都新宿区)ほか全国で2週間限定公開。(遠藤政樹/フリーライター)

 <プロフィル>

 えんどう・まさき=アニメやマンガ、音楽にゲームなど、ジャンルを問わず活動するフリーの編集者・ライター。イラストレーターやフォトショップはもちろん、インタビュー、撮影もオーケーと、どこへでも行き、なんでもこなす、吉川晃司さんをこよなく愛する自称“業界の便利屋”。

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