夏帆:大先輩の墓前で女優の決意新たに 掃苔番組にレギュラー出演

WOWOWのドキュメンタリー番組「掃苔のすすめ ~お墓を巡る物語~」に出演する夏帆さん
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WOWOWのドキュメンタリー番組「掃苔のすすめ ~お墓を巡る物語~」に出演する夏帆さん

 墓石の苔を掃き清め、そこに書かれている言葉を読み解くという墓参り「掃苔(そうたい)」にスポットを当てたWOWOWのドキュメンタリー番組「掃苔のすすめ ~お墓を巡る物語~」が17日スタートする。このいっぷう変わった番組で「掃苔人(そうたいにん)」として、映画界の巨匠・黒澤明監督や大女優の一人である田中絹代さん、芥川賞作家の開高健さんら偉大な故人の墓を巡った女優の夏帆さんに、収録を通じて何を思い何を感じたのか、墓参りエピソードを交え語ってもらった。

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 ◇偉大な人物の墓参り企画「面白い」

 「掃苔のすすめ」は、墓を通じて、故人が現世に遺(のこ)した最後の情報とその生涯を見つめる人物検証番組。全3回のシリーズで毎回、同時代に生きた各界の第一人者2人の墓を紹介し、墓碑銘や墓石の形状、墓地の由来など、そこに秘められた小さな痕跡と、遺族や友人、ライバルら関係者の証言を通じて、故人の知られざる人物像を推察していく。

 墓そのものはもちろん墓地のある寺とも縁遠かったという夏帆さんは、著名人の墓参りをし、その人物への思いを巡らす「墓マイラー」と呼ばれる人々の存在を「知らなかった」という。番組の内容には「率直に面白いなって思った」といい、「取り上げる方々も本当に一時代を築いた人たちで、そのお墓を巡る機会ってなかなかあるものじゃない。まずは面白いなって思いましたね」と話す。

 ◇黒澤明、開高健らの墓から見えた「家族の形」

 また夏帆さんは、実際に黒澤監督らの墓を巡り、「お墓を通して、その人の人生を知れたというか、違った一面が見られた気がします」と明かす。「お墓ってちょっとした『家』みたいな感じがして……。誰が何のためにこのお墓を建てたのか、建てた人とそこに眠る人のつながりとか、もちろん中にはご自分で建てたお墓もあると思いますが、それぞれ個性があって、その人がどんなふうに思われていたか、お墓に出ている気がしましたね」と印象を語る。

 さらに夏帆さんは「私は開高さんとお会いしたことも、お話ししたこともないですけど、“パッ”とお墓を見た時に、温かさを感じて。奥様が開高さんのため、開高さんらしいお墓を建てたって話も聞いて、すごいすてきなお墓だなって」としみじみ。「時代もあると思うんですけど、それぞれお墓を通して見ると、いろいろな家族の形があるなって。黒澤監督のお墓も、元々は奥様のために建てたお墓で、一人じゃ寂しいだろうからって、奥様のご兄弟のお墓に隣接していて。勝手に亭主関白なのかなって想像していたので、そういう奥様思いの一面も知れてよかったです」とすっかり墓参りにハマった様子だった。

 ◇大先輩の墓前で女優の決意新たに

 番組ではそのほか、黒澤監督作品にも名を刻む名優・三船敏郎さんや大女優の田中さん、森光子さん、生誕80周年を迎えた劇作家の寺山修司さんの墓を紹介する。夏帆さんに、同じ女優をなりわいとし「生涯女優」を貫いた田中さん、森さんの印象を聞くと「先輩とか憧れとか言うのはおこがましいくらいですよね」と恐縮しきり。墓を前にした時には「実際にここに眠っていらっしゃるんだなって、不思議な感覚になった」といい、「本当に大先輩に会いに来たって感じがして、背筋が伸びる思いでした」と振り返る。

 女優としての刺激も大いに受けたようで、夏帆さんは「続けるってすごく大変なことですし、年を重ねると、自分はもちろん周りの環境も変わる。その中で生涯女優を全うするってすごいことですよね」と改めて田中さんや森さんに敬意を払うと、「私自身、将来のことを具体的に考えるようになってきましたが、今はまずこの仕事を続けることを目標にしてやっていきたい。どこまで続けられるかわからないですけど、続ける以上はいつ辞めてもいいって思いたくないですし、いつでも辞められるっていう心構えではこの仕事は続けられない。今はそう強く感じています」と決意を新たにしていた。

 「掃苔のすすめ ~お墓を巡る物語~」は、WOWOWプライムで17日から毎週土曜午後1時に放送。また同番組の放送を記念し、WOWOWシネマでは特集「映画と共に楽しむ『掃苔のすすめ』」と題して、三船敏郎さん主演作「銀嶺の果て」を14日午後7時、田中絹代さんがヒロインを演じた「銀座化粧」を15日午後7時、開高健さん原作の「証人の椅子」を16日午後7時に放送する。

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