2014年に17歳という最年少でノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイさんの姿を追ったドキュメンタリー作「わたしはマララ」(デイビス・グッゲンハイム監督)が11日に公開される。米アカデミー賞長編ドキュメンタリー作「不都合な真実」(2006年)のグッゲンハイム監督が、マララさんと家族の素顔に迫った。
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パキスタン生まれのマララさんは英国のバーミンガムに住んでいる。弟たちとはしゃぐ姿は普通の少女だ。2012年10月9日。故郷にいたマララさんは友人らとともにタリバンの青年に撃たれて、昏睡状態に陥った。緊急手術のために13年に渡英をし、奇跡的に一命をとりとめた。アフガニスタンの英雄的な少女マラライの名にちなんだ「勇敢」という意味の名を持つマララさんは、父親が設立した男女共学の学校の中で自由に育つうちに、「すべての女子に教育を」という夢を持ち、訴える活動を始める。その夢は父親の夢でもあり、字が読めない母親の悲願でもあった。しかし、マララさんの一家が住むスワート渓谷にもタリバン政権の手が伸びてくる……という展開。
意志の強そうなまなざし、美しい黒髪、明るく利発そうな声。今作は、マララさんの魅力もさることながら、父親ジアウディンさんとの二人三脚の物語でもある。自伝「わたしはマララ」をベースにしながら、アフリカなどで活動する姿や、現在のマララさん一家にも踏み込んでいる。弟たちは「怖いお姉ちゃん」とちゃめっ気たっぷりに話し、父親は「活動家になると思っていた」と娘への期待と信頼を口にする。仲のよい父娘の姿からは、父親の魂の強さが娘へ受け継がれていることを感じる。英国での生活は、まるで文化の違うところへやって来た戸惑いもなくはない。故郷のスワート渓谷が心に残っているのだろう。平和だった村がアニメーションで描かれるが、遠い昔話のようになってしまったという悲しみも伝わってくる。
病院でベッドに横たわるマララさんの姿は痛々しいが、奇跡の回復に驚くとともに、二度とこのようなことが起こらないように願うばかりだ。彼女が命懸けで訴えることは、「教育を受ける権利の大切さ」。この権利を通して、学ぶことへの純粋な喜び、教育の大切さが伝わってくる。「グラディエイター」(00年)などのプロデューサー、ウォルター・パークスさんとローリー・マクドナルドさんが製作。フィクションを作ろうとしていたが本人に取材して一転、「彼女を演じられる女優はいない」とドキュメンタリーにしたという。TOHOシネマズみゆき座(東京都千代田区)ほかで11日から公開。(キョーコ/フリーライター)
<プロフィル>
キョーコ=出版社・新聞社勤務後、映画紹介や人物インタビューを中心にライターとして活動中。趣味は散歩と街猫をなでること。私の“人生の師匠”水木しげる先生がお亡くなりになり、しょんぼり。ご冥福をお祈りします。
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