小新井涼のアニメ考:バレンタインデーの“推しキャラ”と“推し変”

声優の前田玲奈さん(左)と小新井涼さん
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声優の前田玲奈さん(左)と小新井涼さん

 週に約100本(再放送含む)のアニメを視聴し、アニメを使った町おこしのアドバイザーなども務める“オタレント”の小新井涼さんが、アニメにまつわるさまざまな事柄についてつづります。第20回は、バレンタインデーを前に、アニメの“推しキャラ”や“推し変”について語ります。

ウナギノボリ

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 昨年も「クリスマスと共に中止率が高い……」と紹介したオタクのバレンタインですが、相手が画面の向こうのキャラなら話は別ですよね。バレンタインエピソードの放送や限定グッズの販売、スマホゲームのイベントなどなど……。さまざまな楽しみが私たちを待っています。

 そんな時に重要になってくるのが、チョコをくれたりあげたりする相手である“推しキャラ”の存在。作品自体が好きなのはもちろん、気になるキャラを“推し”と銘打ってただならぬ愛着を持ってしまうのはオタクの性(さが)ではないでしょうか。

 しかし一口に推しキャラといっても、求める“相手との関係”は人それぞれです。

 推しを“嫁”や“ダンナ”と呼ぶ主観的なものや、他のキャラとの絡みを眺めて楽しむ客観的なもの、そして「そのキャラがいれば単体でも絡みでもなんでもおいしいです!」という崇拝的なものまで……。オタクだからといってみんながみんなBLや乙女系、ハーレム的展開を求めているわけではなく、好きになる作品やキャラによってときめくツボが違うのも二次元ならではの楽しみ方だと思います。

 ちなみに自分は、客観的、崇拝的に想うことが多いでしょうか。好きなキャラ同士がきゃっきゃうふふしているのを眺めたり、好きなキャラを思い浮かべるだけで毎日が幸せだったり…二次元への恋は人生を豊かにしてくれますよね!

 しかしそんなオタ充な毎日にも、つらいルート分岐があります。

 新しい作品やキャラにハマった時に起きる“推し変”です。タイミングがよければすんなりと新しい推しキャラに熱を注げるのですが、大抵の場合は前の推しキャラに後ろ髪を引かれつつ、新しいキャラが気になりだすので、最初のうちは浮気でもしているかのような罪悪感にさいなまれます。

 「どこからが浮気?」というのはリアルでもよく議論されていますが、推しキャラに関してはどうでしょう。個人的には、待ち受けやアイコンが変わったり、グッズへのお金のかけ方が増したり、一日のうちにそのキャラのことを考える時間が一番多くなっていったり……。生活に占める割合が前の推しキャラよりも大きくなっていったタイミングで「あ、これはもう心が移っている…」と察することが多いです。前の推しキャラへの想いにも嘘はないので、最初は「気のせいだ! 一時的な気の迷いだ!」とあらがったりもしますが、大体そう思っている時点で時すでに遅し。

 ですが、だからといって前の推しキャラが嫌いになったり一切興味がなくなることもありません。再熱もすれば、ずっと二推しでいたり、もはや推しという概念を超越した“神”としていつまでも好きなキャラもいたりします。十何年ぶりに再熱した作品で推しキャラが自分より年下になっていて切なくなったり、当時と好みが変わってなんとも思っていなかった別のキャラにハマるなんていう新しい出会いがあるのも魅力的だったりするのです。

 そんな葛藤さえもある意味楽しい“推しキャラ”という存在。バレンタインなどのイベント時期にはその妄想もさらにはかどります。

 今年はちょうど個人的に推し変期と重なり、大いに迷っているのですが、バレンタインイベントへの課金率的には、アニメ化が楽しみな「あんスタ!」こと「あんさんぶるスターズ!」の遊木真くんが一推しキャラといえそうです。

 最近では“友チョコ”制度もあるので、女子キャラたちとのバレンタインも妄想できちゃいますね。「ご注文はうさぎですか?」や「きんいろモザイク」の可愛くてふわふわした女子たちと一緒にチョコを食べたり作ったり……、というのも捨てがたいですが、「だがしかし」でやっていた利き酒ならぬ“利き麩(ふ)菓子”みたいに、古今東西ありとあらゆるチロルチョコを持ち寄って、枝垂ほたるちゃんと一緒に“利きチロル”を楽しむという熱いバレンタインもありだと思います。

 ◇プロフィル

 こあらい・りょう=埼玉県生まれ、明治大学情報コミュニケーション学部卒。アニメ好きのオタクなタレント「オタレント」として活動し、ニコニコ生放送「岩崎夏海のハックルテレビ」やユーストリーム「あにみー」などに出演する傍ら、毎週約100本(再放送含む)のアニメを見て、全番組の感想をブログに掲載する活動を約2年前から継続。「埼玉県アニメの聖地化プロジェクト会議」のアドバイザーなども務めており、社会学の観点からアニメについて考察、研究している。

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