注目映画紹介:「君の名は。」気鋭アニメ監督の3年ぶり新作 東京の少年と田舎の少女が入れ替わり…

劇場版アニメ「君の名は。」のメインビジュアル (C)2016「君の名は。」製作委員会
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劇場版アニメ「君の名は。」のメインビジュアル (C)2016「君の名は。」製作委員会

 「秒速5センチメートル」(2007年)や「言の葉の庭」(13年)など意欲的な作品を生み出してきた気鋭のアニメ監督・新海誠監督の約3年ぶりの新作「君の名は。」が26日に公開された。東京の少年と田舎の少女が夢の中で“入れ替わる”奇跡の恋物語で、住む世界が異なる2人の「距離」というドラマを映像美と圧倒的なスケールで描き出している。声の出演は、東京の男の子・瀧(たき)役に神木隆之介さん、自らの運命に翻弄されていくヒロイン・三葉役を、オーディションで役を射止めた上白石萌音さん。さらに長澤まさみさん、市原悦子さんほか豪華キャストがそろった。

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 作画監督は「千と千尋の神隠し」(01年)など数多くのスタジオジブリ作品を手掛けた安藤雅司さん。都会と田舎の遠景、空の輝きなど、背景の作画が圧倒的な描写力でスクリーンから迫ってくる。また「心が叫びたがってるんだ。」(15年)などを手がけた新時代を代表するアニメーターの田中将賀(まさよし)さんがキャラクターデザインを担当した。そして、主題歌を含む音楽は、昨年、俳優として映画にも主演した野田洋次郎さん(ボーカル、ギター、ピアノ)の所属するロックバンド・RADWIMPSが担当している。

 1000年ぶりとなる彗星の来訪を1カ月後に控えた日本。山深い田舎町に暮らす女子高校生・三葉は憂鬱な毎日を過ごし都会への憧れを強くするばかり。ある日、自分が男の子になる夢を見る。見覚えのない部屋、見知らぬ友人、目の前に広がるのは東京の街並み。念願だった都会での生活を満喫する三葉。一方、東京で暮らす男子高校生、瀧も、行ったこともない山奥の町で、自分が女子高校生になっているという奇妙な夢を見る。繰り返される不思議な夢によって、2人はお互いが入れ替わっていることに気づく。何度も入れ替わる体とそれぞれの生活に戸惑いながらも、残されたお互いのメモを通して、時にケンカし、時に相手の人生を楽しみながら、状況を乗り切っていく2人。打ち解けてきた矢先、突然入れ替わりが途切れてしまう。自分たちが特別につながっていたことに気づいた瀧は、三葉に会いに行こうと決心する。そしてたどり着いた先には、意外な真実が待ち受けていた……というストーリー。

 事前には“入れ替わり”の物語、としか知らされていなかった今作。ただの入れ替わりものだと思ったら大間違いで、瀧が三葉に会いに行こうとするあたりから怒濤(どとう)の展開となる。新海監督は107分の本編全部のせりふ全部を自分であてた「ビデオコンテ」を作って、製作を進めていったという。それによって、観客を一時も飽きさせない、めくるめく展開の長編に仕上がった。ジブリ印の重厚な作画の中で軽やかなキャラクターが躍動的に動くという、いい意味で違和感のあるコラボレーションが斬新。三葉の住む田舎町に隠された秘密とは……。新海監督が新次元を開いたといえる“思春期全開”の今作を107分、一気呵成(かせい)に楽しみたい。26日からTOHOシネマズ日本橋ほか全国で公開。(細田尚子/MANTAN)

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