俳優の寺尾聰さん(62)が7日、映画「さまよう刃」で「第19回日本映画批評家大賞」の主演男優賞に選ばれた。寺尾さんの父・宇野重吉さんと「劇団民芸」を設立した女優の北林谷栄(きたばやし・たにえ)さん(享年98)の死去について「僕の死んだおやじと戦友だった。生まれる前から知り合いみたいで、(河原)朝生のお袋が亡くなったかという感じだった」と話した。
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寺尾さんと北林さんは「阿弥陀堂だより」(02年)で共演。北林さんは寺尾さんが同作に出ると知り、出演を決めたというが、「(北林さんが)わがままばっかり言う。(衣装を)着替えなきゃいけないのに『気に入ったから着替えない』とかいうから『一つお願いします』って頼んだ」と思い出を語り、訃報(ふほう)を聞いて「仲間のところへ行ったのか。仲間と芝居してんだろうな」と思いをはせていた。
「さまよう刃」は、「容疑者Xの献身」「手紙」などの東野圭吾さんの小説を映画化。最愛の娘を殺され、復讐(ふくしゅう)を誓い自ら犯人を追う父・長峰(寺尾聰さん)と、社会正義とモラルのはざまで葛藤(かっとう)しながら長峰を追う2人の刑事(竹野内豊さん、伊東四朗さん)の両者にカメラを向けた社会派ドラマ。
寺尾さんは「本音を言うと、受賞を聞いたとき、複雑な気持ちでした。映画人生の中で腹立たしい思いの残る映画でした」と明かし、「若い人たちに(自分は)こういうことを教わってきたよって言うと、自分も若いときそうだったように若い時って柔軟に(対応)できない。もっと強く言えばよかったという悔いが残っている」と撮影時の苦労を話した。また「もっとケンカの仕方を勉強して、今度はもめながらもっと面白いものを目指したい」と決意を語っていた。(毎日新聞デジタル)
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