M-1グランプリ2024 決勝戦
決勝戦 FIRST ROUND 前半戦 1~5組目
12月22日(日)放送分
ブラジル代表の中心選手としてチームを引っ張るカカー選手は、世界最高と称賛されるエレガントなプレーとピッチ外での模範的な行動から世界中のサッカーファンを魅了する。今でこそスペインリーグ「リーガ・エスパニョーラ」の人気チーム「レアル・マドリード」やブラジル代表の中心で活躍する存在だが、一夜にしてその地位を築いたわけではない。18歳で下半身不随寸前の大けがをした事故、ACミランでの栄光、レアル・マドリードへの電撃移籍……。28歳にして既に輝くキャリアを積んできたカカー選手を突き動かしてきたものとは一体何だろうか? WOWOWは31日午後10時からノンフィクションW「神に導かれし者 カカー」を放送する。世界のトッププレーヤーであるカカー選手に密着取材し、電撃移籍の真相やマドリードでの新生活など、普段カメラの前では見せない表情や本音を、現在と過去の貴重な映像を織り交ぜながら余すことなくつづる。サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会の開幕が6月11日に迫る中、カカー選手にW杯についてやプレーヤーとしての心境を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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−−カカー選手が少年時代に初めて見て、思い出に残っているW杯は?
94年大会だね。90年までさかのぼると、あまり覚えていないんだ。でも、94年はたくさんのことを、すごく詳細まで覚えている。僕が熱心なサポーターとして見守った、最初のW杯なんだ。
−−何が一番印象的でしたか。
準々決勝のブラジル対オランダ戦が印象的だった。ブラジルが2点先制していたのを、2対2に追いつかれたんだ。その後、ブランコのゴールで振り切った。すごく感動的な試合だった。もちろん、一番感動したのはイタリアとの決勝だけどね。PK戦でバレージが失敗して、バッジョのボールもバーを越えた。あの大会の中でも、忘れられないシーンだよ。すべてのブラジル人にとって、すごく特別なW杯になった。
−−その8年後、02年の日韓大会で、カカー選手は初めてW杯に参加しました。あの大会で学んだことは?
僕にとっては、すごく大きな経験になった。20歳でW杯に行くなんて、実際、特権だよ。あの大会で、ブラジルはペンタカンピオン(5度目の優勝)になった。僕はそのチームの中で毎日を過ごしたから、W杯で優勝するのが、いかに難しいことかが分かった。負けたらW杯の難しさを知る。負けたら、4年間待たないといけないんだ。もう一度、その難しさを乗り越えるために、何か重要なことをやってみるためにはね。僕にとっての初めてのW杯で、ブラジルは優勝したんだ。僕自身がプレーしたのはコスタリカ戦の数分だったんだけど、すごくあの優勝を体感できた。W杯で優勝するチームというのは、選手の才能だけではないと思うんだ。W杯で優勝するには、チーム全体がすごく強くなくてはいけないし、全員がちゃんと準備できていることが、必要なんだ。
−−3年半、一緒にやってきて、監督としてのドゥンガをどう思いますか? そしてドゥンガは、ピッチの中でのカカー選手に、どんな指示をしますか。
ドゥンガは、セレソンでの指揮の執り方も、選手の招集の仕方も、すべてにすごく一貫性があると思う。それに、彼は現役を引退して、少ししかたっていないから、選手たちが伝えたいことや、考えていること、いろいろなことに対し、どういうふうに向き合って生きるのが好きかを、理解しているんだ。それはすごくいいことだよ。そして、結果を出している。サッカーでは、いい時も悪い時もある。ドゥンガはこの3年間で、その両方の時期を過ごしてきた。でも、結果を見れば、誰にも文句は言えない。「コパアメリカ」で優勝し、コンフェデレーションズカップで優勝し、ブラジルは南米予選を1位で突破した。だから、フル代表ではない五輪を除けば、彼は出場するすべての大会で優勝しているんだ。それは、彼のメリットだ。彼が僕に指示することといえば、僕の役割の中で負うべき、戦術上の義務について。攻撃するけれど、守備もしなければならないということ。でも、それは僕だけじゃなく、攻撃陣のほとんど全員に対する指示だ。そんなふうに義務を分け合うのと同じように、僕らは楽しさも分け合うんだ。喜びを持ってプレーすること。それは、ブラジルサッカーの大きな特徴だからね。
−−セレソン(ブラジル代表)の背番号10(エースナンバー)をつけることに対して、どんな気持ちを持っていますか。
僕は、あまり背番号のことを気にしないんだ。セレソンでは8番でも、7番でもプレーしたし、今はそれが10番。でも、それは僕にとって実際のところ、あまり重要ではない。歴史的なシャツなんだけどね。ペレをはじめ、すべての時代で最高の選手たちが着ていたシャツだ。正直に言って、セレソンのシャツを着ることには、すごく誇りを感じている。でもそれは、背番号が何番かにかかわらず、ということだ。
−−ブラジルはいつでも優勝候補。でも、ほかにも優勝候補がいると思いますか。
スペインは、優勝候補の一つだと思う。イングランドもそうだ。僕がそう言うのは、素晴らしい代表チームにはサッカーの伝統があるからなんだ。その伝統の中では、厳しい時期も、いい時期も経験できている。例えば、ブラジルは94年大会で優勝したけれど、その過程は、とても厳しいものだった。そういうことを経て、ブラジルはいつでも優勝候補とみなされるようになったんだ。それと同じように、アルゼンチン、イタリア、フランス、ドイツも、いつでもW杯の優勝候補とみなされている。それ以外でも、W杯の間にはサプライズが起こるものだ。今年も何かサプライズが起こるか、見てみよう。ブラジルに対してではないことを、願うけれどね。
−−W杯開催地としての南アフリカの印象は?
プレーするには良かったよ。W杯とは、みんなのスポーツを代表するもの。五輪もあるけど、W杯は、世界中で最もポピュラーなスポーツというべきサッカーの最高峰の大会だ。実際に、いろいろな大陸、多くの国で開催されるべきイベントなんだ。それで今、アフリカにやってくるときがきた。1年前、僕らはコンフェデレーションズカップで行ったんだけど、いろんな準備が進んでいた。問題は、一般的にニュースというのが、悪いこと、ネガティブなことばかりを伝えているということ。でも、すごく興味深いW杯になると思うよ。W杯を開催するのは、アフリカ全体にとっていいことだと思う。
−−カカー選手が一番好きな言葉は?
聖書というのは、自分が過ごしているいろいろな時期によって、そのときにいい言葉を僕らに語りかけてくれるんだ。だから、聖書の中には、僕が好きな言葉がたくさんある。いつでも新しく学べることが書いてあるんだ。
−−あなたは自分をどんな選手だと思いますか?
僕は「効果的な選手」であろうとしている。現代のサッカーでは、才能だけでは勝てない。その才能を、チームの中で最も効果的に生かすことで、勝利に貢献できるんだ。どうやって効果的に生かすかは、イタリアでのプレーがすごく役に立っている。イタリアサッカーでは戦術が重要視され、試合ごとにも、監督がこうだと組み立てる戦術を、選手はピッチの上で実現することになる。そこに、ブラジル流のアドリブを加えていけば、両方のいいところをミックスできる。そんなふうに目的意識を持って、効果的なプレーをする選手でありたいと思っているよ。
−−グループリーグのG組(ブラジル、北朝鮮、コートジボワール、ポルトガル)をどう思いますか?
すごく難しい組だ。みんなに「死の組」だ、一番難しい組だとみなされている。あの組にいるのは、決勝トーナメントに進出するためのコンディションを、すべて兼ね備えた代表チームばかりだからね。でも、僕らにとっては、すごくいいモチベーションになる。この組を勝ち抜いたら、セレソンはすごく強くなれると思うからね。僕らには突破できるコンディションがあるし、いい形で決勝トーナメントに進出するために、できる限りベストを尽くして戦うつもりだ。このグループリーグでいい感触をつかみ、大会を通して戦い続けていけるようにね。そんなふうに、グループリーグで強豪と対戦するのは、大会をスタートしてからも成長し続けるためのいい機会なんだ。
−−カカー選手は調子良いし、セレソンはいい準備をしつつある。今回のW杯はブラジルが優勝しますか?
それが、みんなの願っていることだよね。みんなというのは、ブラジル国民も、セレソンの選手も。本当に、僕らが願っていることだ。ブラジルは頑張って準備するし、できる限りのことをする。このワールドカップで6度目のチャンピオンになれば、僕ら自身にも、ブラジル国民にも、大きな喜びを与えることになるからね。そして、日本人にも。日本の人たちが、ブラジルを応援してくれることは、分かっているからね(笑い)。
*番組情報……「ノンフィクションW 神に導かれし者 カカー」5月31日午後10時 191ch
<プロフィル>
本名はリカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチ。ポジションは主にミッドフィールダー。ブラジルの首都ブラジリアで生まれ、7歳のときにサンパウロへ移った。9歳でサンパウロFC(ブラジル)のクラブ会員用のチームに加入。01年2月にトップチームでデビューし、以後定着する。ブラジルA代表メンバーに選ばれ、02年に日韓大会でW杯初出場。03年にイタリア「セリエA」の「ACミラン」に移籍。06年にW杯ドイツ大会に出場。06−07シーズンもミランの大黒柱として活躍し、「UEFAチャンピオンズリーグ」で10得点を決め得点王に。「FIFAクラブワールドカップ2007」で大会MVPに輝いた。09年に「レアル・マドリード」に電撃移籍。
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2024年12月26日 00:00時点
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