注目映画紹介:「座頭市 THE LAST」 香取慎吾が座頭市の最期を熱演 

 座頭市シリーズ、最後の作品といわれる「座頭市 THE LAST」(阪本順治監督)が29日に公開された。26本の映画、100本ほどのドラマになった国民的ヒーロー「座頭市」を、国民的アイドルグループ「SMAP」の香取慎吾さんが演じる。「亡国のイージス」や「闇の子供たち」などを手がけた阪本監督がメガホンをとり、山形県の風景の中に座頭市とそこに暮らす人々を息づかせ、力強く美しい作品に仕上げている。

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 タイトル通り、この作品は座頭市の最期を描いており、市(香取さん)は、自分の追っ手に切られて命を落とした妻(石原さとみさん)との約束を守って刀を置き、故郷に戻ってきた。かつての親友・柳司(反町隆史さん)の家に身を寄せて、農民として平穏に生きていこうと思っていたが、村が非道な悪人どもに牛耳られているのを知り、助けを求める百姓たちの気持ちに応えるために、市は再び「仕込みつえ」を手にする……。

 往年のファンは「座頭市」といったらやはり勝新太郎さんと考えるだろうが、阪本監督は香取さんの持ち味であるおおらかさと繊細さを引き出し、今の時代にふさわしいヒーロー像を作り出した。黒澤映画を彷彿(ほうふつ)とさせる、悪役の親分を演じた仲代達矢さんの圧倒的な存在感、悪の一味を演じる豊原功補さんやARATAさんの演技もヒーローを引き立てる。また、これまで洗練された役を演じることが多かった反町隆史さんが農民役をしっかりとこなし、演技の幅の広さを見せている。人気子役の加藤清史郎君も出演している。

 静と動のメリハリのある美しい映像と雪の急斜面の決闘など、緊張感を引き出す演出で、ラストシーンまでぐいぐい引っ張っていく。オーストラリアの民族楽器や日本の津軽三味線などを用いて演奏する、日豪の音楽ユニット「プロジェクト和豪」が初の映画音楽を担当し、作品を盛り上げている。29日から全国東宝系で公開。(キョーコ/毎日新聞デジタル)

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