渡辺大:「悪になれ」名匠・伊藤監督がハッパ 映画「ロストクライム」トークイベント

 ハリウッド俳優の渡辺謙さんの長男、渡辺大さん主演の映画「ロストクライム−閃光」(伊藤俊也監督)の公開直前トークライブ「三億円事件ナイト」が1日、ライブハウス「NAKED LOFT」(東京都新宿区)であり、渡辺さんは「ヒット祈願です(笑い)。いや夏だから、役作りです」と丸刈りで登場した。

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 「ロストクライム」は、前作「プライド・運命の瞬間」から12年ぶりにメガホンをとった伊藤監督が、「三億円事件」を描いたジャーナリスト出身の作家・永瀬隼介さんのサスペンスを映画化した。野心あふれる若手刑事・片桐(渡辺さん)は、ある殺人事件の捜査で老刑事滝口(奥田瑛二さん)とコンビを組む。上層部を無視した捜査をする滝口にいら立つ片桐だったが、被害者が「三億円事件」の犯人グループの1人と聞かされる。2人は事件の核心に迫るが、事件を隠ぺいしようとする動きが警察内に起こる……という物語。

 伊藤監督は「主役の刑事2人が真相に迫れば迫るほど、組織全体を敵に回す不条理な展開が『私の作品の範ちゅうだ』と思い、前のめりになった」と原作を渡されたときの思いを語った。「事件がどう準備され、どうやって起こり、そして三億円がどこに隠され、どのように使われたかまできっちり描きたいと思った」と語り、そのリアルさは「『フィクションだから目をつぶって』とは言うまい。“三億円”オタクの方に何をつっこまれても答えられる。これならば私なりの“三億円事件の真相”として提出することができる」と自信を見せた。

 お互いの第一印象を聞かれて、渡辺さんは「紳士」と答え、「昭和の名監督というイメージだったので、刃向かったら灰皿が飛んでくると思っていました」と明かした。「でも監督の方から距離を詰めてくれて、ほっとしました」と話すと、伊藤監督は「紳士って、活動家にとってはどうなんだろうなあ?」と不満げで、「職人さんとか商店のおやじさんとか、そう思われたかった」とこぼすと、渡辺さんは「いや、初めだけですよ? そう思ったのは」とあわてていた。

 一方、伊藤監督は渡辺さんの第一印象を「好青年すぎる」といい、「好青年っていうのは、俳優にとって褒められたことじゃない」といいながら、「でも『すぎる』っていうのは、やはり(いい意味で)尋常じゃない」と説明した。伊藤監督は「家庭ではいい夫でも、仕事では徹底して悪にならなきゃ」と話し、「大くんには、俳優としてもっと狂い咲きしてほしい。だから、私に『好青年すぎる』と言わせた渡辺大は、唯一無二の存在だと思ってください」と語った。

 映画は3日、角川シネマ新宿(東京都新宿区)ほか全国で公開予定。(毎日新聞デジタル)

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