吉瀬美智子さんと阿部寛さん主演で1957年公開の仏映画をリメークした「死刑台のエレベーター」(緒方明監督)の完成報告会見が8日行われ、男性を翻弄する社長夫人を演じた吉瀬さんは「(私生活でも)男を翻弄(ほんろう)してみたい。そこまで思える男性がいたらすてきだと思います。リアルでは難しいですが、そういう方とめぐり合えたら」と答え、「『あの人を殺して私を奪いなさい』と阿部さんに言うんです。お仕事なので気持ちよく言わせていただきました。人間のさまざまな欲望の変化を見てほしい」と悪女ぶりをアピールした。
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映画は、ルイ・マル監督のデビュー作で、社長夫人のフロランス(ジャンヌ・モローさん)が若い愛人に夫の殺害を依頼。しかしその後愛人がエレベーターに閉じ込められ、完全犯罪の計画が崩れていく……というサスペンス。夜の街をさまようモローさんの魅惑的な演技と、ジャズトランペッターのマイルス・デービスの即興演奏、手持ちカメラによる撮影で緊迫した臨場感を演出し、ヌーベルバーグの傑作と言われた。リメーク版は、吉瀬さん演じる医療グループの社長夫人・芽衣子が、阿部さん演じる魅力的な医師・時籐と不倫関係になり、年の離れた夫を自殺に見せかけ殺害して逃亡しようと企てる……というストーリー。
殺人を引き受けるまじめな医師を演じる阿部さんは「悪女に振り回される弱い男を演じます。こういう役はあんまりやったことがないので、新鮮で楽しかった。武将の役とか強い役をやりますが、もしかしたらこっち(の役)が合ってるのかもしれません。弱い部分もありますし。過激ではありませんが、こういう恋愛はしたことがあります」と告白。「エレベーターっていう、狭い空間に閉じ込められて、どういう精神状態になっていくんだろうと常に考えました。そして人を殺しているので、その追い込まれ方を楽しませてもらいました」と役作りについて語った。
世界的名作のリメークについて緒方監督は「映画人として『死刑台のエレベーター』をリメークするのはとんでもないと百も承知でやりましたが、ものすごく実験的なチャレンジができて誇りに思っています。美男美女を撮るだけじゃなくて、その弱さや人間くささを出していくのが楽しい作業でした」と振り返り、マル監督の息子のマニュエル・マルさんは「父のデビュー作のリメークをサポートさせていただき光栄です。作品の仕上がりにも非常に満足しています」とメッセージを寄せた。共演は玉山鉄二さん、北川景子さんら。10月9日から全国公開。(毎日新聞デジタル)
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