妻夫木聡:主演映画「悪人」がモントリオール映画祭でお披露目 「役者人生で特別な作品」

モントリオール世界映画祭での会見に出席した妻夫木聡さん(左)と深津絵里さん
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モントリオール世界映画祭での会見に出席した妻夫木聡さん(左)と深津絵里さん

 カナダで8月26日から開催中の「モントリオール世界映画祭」でワールド・コンペティション部門に出品された映画「悪人」=李相日(リ・サンイル)監督=が現地時間5日、公式プレミア上映され、多くの映画ファンが集まる中、主演の妻夫木聡さんとヒロイン役の深津絵里さんが現地で記者会見と舞台あいさつを行った。上映終了後にはスタンディングオベーションが巻き起こり、ロビーでは感動冷めやらぬ観客が多く残って李監督を質問攻めにするなど「悪人」は世界の人々も魅了した。授賞式は6日午後9時(日本時間7日午前10時)に行われる。

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 公式プレミア上映に先立ち、5日朝9時から行われたプレス試写会は819席が満席となり、午後行われた記者会見では、妻夫木さんと深津さん、李監督が出席した。記者の質問には「世界では簡単に『愛している』というが、それがなぜこの映画では出てこないのでしょうか?」「『悪人』というそのものを映し出すのではなく、さまざまなものを映し出していたが撮影前にどんな打ち合わせをしたのか?」など脚本、演出面での質問も多く飛び出し、国際映画祭ならではの熱気を感じさせた。

 モントリオール映画祭は、トロント国際映画祭と並ぶ北米最大規模の映画祭で08年には、本木雅弘さん主演の「おくりびと」(滝田洋二郎監督)がグランプリを受賞し、09年の「ヴィヨンの妻~桜桃とタンポポ~」では根岸吉太郎監督が監督賞を受賞し、北米マーケットの日本映画への注目度が年々高くなっていることを物語っている。

 妻夫木さんは「モントリオールに来るのは初めてです。こういった機会に恵まれて感謝しています。この『悪人』というのは僕自身原作を読んで、自らやりたいなと思って志願してきた作品で、僕の役者人生の中では特別な作品だと思っています。僕自身、俳優をやり始めて13年目ですが、今自分にできるすべてを出しつくしたと思います。その思いが、日本の方だけでなく、こうやってモントリオールの方々にも触れていただけるということがさらにうれしいことです」と喜びを語った。

 深津さんは「まさか昨年の冬に撮影しているときに、この作品が海を越えると思っていなかったので、今ここでごあいさつしていることが夢のような瞬間です。このお話は九州に住むごくごく普通の人間たちに起こる物語です。それが、海を渡った皆さまの胸にどのように届くのか、今とても不安ですが、少しでも多くの方に見ていただきたいと思える、そんな作品に私自身出合えたので、世界の方々に見ていただける機会ができてとてもうれしいです」と話している。李監督は「モントリオールの人々は映画を愛し、映画がないと生きていけない人たちと聞いています。『悪人』が素晴らしい薬になることを祈っています」とコメントしている。

 「悪人」は第61回毎日出版文化賞、第34回大佛次郎賞を受賞した芥川賞作家の吉田修一さんのベストセラー小説が原作。「フラガール」の李監督がメガホンを取り、原作者の吉田さんとともに脚本を担当した。長崎のはずれの漁村で生まれ育った土木作業員の清水祐一(妻夫木さん)が、佐賀の紳士服量販店に勤める馬込光代(深津さん)と出会い、刹那(せつな)的な愛に身を焦がすのだが、実は祐一は連日ニュースをにぎわせていた殺人事件の犯人だった……という物語。岡田将生さん、満島ひかりさん、樹木希林さん、柄本明さんらが出演している。音楽は久石譲さんが担当した。11日から全国東宝系でロードショー。(毎日新聞デジタル)

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