「初音ミク」など音声合成ソフト「ボーカロイド」を使った楽曲が、動画投稿サイトで累計約500万回再生を記録するヒットとなっている「ゆうゆ」さんが15日、アルバム「四季彩(しきさい)の星」(2500円)でメジャーデビューを果たす。ロックやゲームなどさまざまな音楽から影響を受けた幅広い作風で“ボカロ(ボーカロイド)界最後の大物”とも呼ばれる「ゆうゆ」さんに、作品への思い入れやアルバムについて聞いた。
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「ゆうゆ」さんは、動画投稿サイト「ニコニコ動画」で活動するボーカロイドのプロデューサー。07年10月に「桜の季節」のショートバージョン、11月にはフルバージョンを相次いで公開し、67万回再生を記録するなど話題を集めた。その後も「白の季節」「クローバー・クラブ」等の楽曲を手がけて高い評価を受けている。
元々、ニコニコ動画で笑える「ネタ動画」を見ていたという「ゆうゆ」さんは、初音ミクが登場した当時も、ミクを使った「ネタ動画」ばかりを見ており、「歌には使えないよなあ」と感じていた。ところが、ミクを使ったオリジナル曲を発表している人たちの存在を知り、楽曲を聞くうちに「自分もミクで何か曲を作って聴いてもらいたい!」と創作意欲がわいてきたという。
アルバムのタイトル「四季彩の星」は、「桜の季節」をはじめ四季折々の風情をテーマにした楽曲が数多く収録されることに加え、「虹色」「七色」といったカラフルなモチーフに思い入れのある「ゆうゆ」さんが「色(しき)」と「四季」をかけた「四季彩」という言葉を考え付いた。
アルバムの選曲にあたっては、100曲近い自身のオリジナル曲の中から、「たくさんある中でもこれをぜひ聴いてほしい」と思う曲を選んだ。「深海少女」「飛雷震」の新曲2曲についても、その選んだ楽曲と相乗効果を生むことを念頭に置きながら制作したと語る。
物心ついたころから家にファミコンがあり、兄と一緒に遊んでいたというゲーム好きの「ゆうゆ」さん。音楽を含めた世界観として特に影響を受けたのは「聖剣伝説」(スクウェア・エニックス)シリーズだった。特に「2」と「3」で菊田裕樹さんが手がけた楽曲には強い思い入れがあり「うれしい涙も悲しい涙もたくさん教えていただいた」といい、今でも「バイブル」としてサントラをよく聴いているという。
「ゆうゆ」さんは「最初はただのゲーム音楽ファンで、まね事をして満足していただけの少年だった自分が、気が付いたらこんなところまで来ていた。そんなふうに歩んできた道の中で出した、僕なりの一つの答えがこめられた一枚」とアルバムの出来栄えを語る。メジャーデビューでさらなる飛躍を遂げる「ゆうゆ」さんの今後に注目だ。(毎日新聞デジタル)
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