草刈民代:「バレエより刺激になるものはなかった」 WOWOWバレエ特集で見どころを解説

WOWOWバレエ特集「草刈民代のバレエレクチャー」に出演する草刈民代さん
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WOWOWバレエ特集「草刈民代のバレエレクチャー」に出演する草刈民代さん

 WOWOWは11月16日からバレエ特集「美しきバレエの世界」と題し、話題のバレエ映画、ステージを合わせた計8作品を一挙放送する。各作品の前には特別ミニ番組「草刈民代のバレエレクチャー」を放送し、草刈民代さんが見どころを解説する。昨年4月の引退まで、日本のバレエ界をけん引してきた草刈さんに話を聞いた。(松村果奈/毎日新聞デジタル)

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 今回の特集では、世界最高峰のバレエ団「パリ・オペラ座」の素顔に迫った「パリ・オペラ座のすべて」、トップ・エトワールを追ったドキュメンタリー「オレリー・デュポン 輝ける一瞬に」、同じくオペラ座の舞台裏を紹介する「エトワール」のドキュメンタリー3作品と、今月来日するモーリス・ベジャール・バレエ団の公演演目が披露される「ベジャール、そしてバレエはつづく」、ベジャールの遺作となった舞台を映像化した「ベジャール・バレエ・ローザンヌ 80分間世界一周」を合わせた映画5作品、ステージ「マニュエル・ルグリの新しき世界」、「草刈民代最後のバレエ『ジゼル』映像監督・周防正行」、「アダム・クーパー×ウィル・ケンプ『兵士の物語』」の3作品が放送される。

 草刈さんはパリ・オペラ座の最高位のダンサーに密着したドキュメンタリー「パリ・オペラ座のすべて」について、「ギレーヌ・テスマールさん、ピエール・ラコットさんらコーチをする方々の助言が素晴らしく、感銘を受けました」と感想を語った。「彼らがダンサーたちの質(の向上)を促すためにおっしゃっている言葉は、オペラ座のような踊りの殿堂で、子供のころから研さんを積み、そしてその後も教え続けた人でないと理解できない部分まで踏み込んだものです」という。「私もテスマールさん、ロシアで素晴らしいバレリーナだった方々に実際教わりましたが、やはり経験しないと出てこない言葉、それこそが芸術であったりするわけです。バレエは口移しで伝えていくようなものですから、そうやって技術や、表現する上でのスピリットだったりが伝承されてきたとわかる、素晴らしい作品だと思います」と実体験を交えて語る。

 バレエ映画鑑賞のポイントを尋ねると、「必ずこういう質問を受けますが、見れば必ず何か返ってくるものがあるはずです。見るか見ないかということしかなく、見て何を感じるかということが重要。それは生きていく中で、何をどう判断していくかということに通じると思います」と回答。そのうえで「バレエに限らず、人間が感性で創造してきたものに触れることが大事なのです。ドキュメンタリーではバックステージまで見せているので、出来上がった作品とはまた違いますが、プロセスを経て何か着地点に向かっていくという時間の経過を追うことは、形を変えてもさまざまなものと重なると思います」と、バレエに限らず芸術に触れることの重要性を説く。

 昨年バレエを引退し、現在は女優として活躍する草刈さん。夫である周防正行監督が、フランスの巨匠振付家ローラン・プティのチャップリンを題材としたバレエ作品を映画化した最新作「ダンシング・チャップリン」(来春公開)に出演して全7役をこなし、最後の踊りを見せる。「バレエの作品を映画として撮るということは、最近はなかなかないことです。カメラに対してバレエ作品を踊るのは、私にとって最初で最後の経験になりました。周防監督も私と過ごして15年になりますが、その間にバレエをたくさん見ていて、作品のこともよく分かっていますし、ローラン・プティのこともよく分かっています。彼が、何をどういう形で切り取ってつないでいけば、プティ先生の作品性が前面に出る映像になるということをよく理解しているので、本当に変わった試みの映画となりました。私は素晴らしい作品になったと思っています」と自信を見せた。

 最後に、生まれ変わったらまたバレリーナになりたいか尋ねると、「やっても大丈夫です。もう嫌だとは思わないです。生まれ変わってみないとわからないですが、踊れるということが、非常に価値があることだったということは、踊りをやめて時間がたてばたつほど実感しています。大変なこともたくさんあるし、常に緊張を強いられるようなものですが、ずっと続けているとそれが楽しかったのかもしれません。私にとっては、あれ以上刺激になるものはなかったです」ときっぱりと話した。

 草刈さんが映画5タイトルの見どころを解説する「草刈民代のバレエレクチャー」は11月16~18日、各作品の前に放送。

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