母親2人と娘、息子で構成された家族の亀裂、崩壊、再生を描いた米映画「キッズ・オールライト」(リサ・チョロデンコ監督)が29日、公開された。第68回ゴールデングローブ賞ミュージカル/コメディー部門で作品賞と主演女優賞を受賞した。
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同性愛婚によるカップルとその子どもたちの物語だが、クセのないオーソドックスなストーリー。ニック(アネット・ベニングさん)とジュールス(ジュリアン・ムーアさん)のカップルには、18歳の娘ジョニ(ミア・ワシコウスカさん)と、15歳の息子レイザー(ジョシュ・ハッチャーソンさん)がいる。2人は精子提供によって生まれてきた子供で、4人は楽しく愛情に満ちた毎日を送っていた。ある日、彼らが遺伝子上の父親ポール(マーク・ラファロさん)の所在を突きとめ、会いに行ったことで、家族の間にさざなみが立ち始める……というストーリー。
映画の中の家族構成は、日本では一般的とはいえないが、それでも彼らの仲のよさを見ていると、こういう形の家族もありなんだと思えてくる。肝心なのは、お互いの間の確固たるきずなで、それはどんな家庭にもいえることだろう。デリケートな問題を扱っているがゆえに、緊張を強いたり、奈落の底に突き落とされたりする場面もあるが、作品全体を覆う空気はおおむね穏やかで、家庭内での泣き笑いの出来事が軽やかかつユーモラスにつづられていく。最後に最も成長したのは子どもたちで、大人は子どもの存在によって大人になれるのだと感じられる。
女性のリサ・チョロデンコ監督は、脚本にも共同執筆で名を連ねた。これまで女性同士の愛と生き方を描いた映画「ハイ・アート」(98年)や、エリートカップルと自由奔放な母親の親子のあり方を描いた「しあわせの法則」(02年)などの作品を世に送り出した。また、同性愛者や両性愛者の女性たちを題材にした米テレビドラマ「Lの世界」でも演出を担当。自身もレズビアンで、精子提供によって子どもを出産しており、そんな彼女だからこそ描けた物語といえる。29日から渋谷シネクイント(東京都渋谷区)ほか全国で公開。(りんたいこ/毎日新聞デジタル)
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