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11月3日(日)放送分
テニスのグランドスラム(4大大会)で唯一芝のサーフェス(コート面)を持つ「ウィンブルドンテニス」。125周年となる今大会をWOWOWでは20日から7月3日の2週間にわたり100時間を超えるボリュームで連日生中継する。石黒賢さんがスペシャルナビゲーターとして、スペシャルコメンテーターの杉山愛さんとともに現地の様子を紹介。 「テニスというのは制限時間が決まっていない、引き分けがない、相手の体と接触をしない、それがテニスの妙味」と話す石黒さんに、「ウィンブルドンテニス」の見どころについて話を聞いた。(毎日新聞デジタル)
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−−テニスの聖地で繰り広げられるウィンブルドン大会の面白さはどんなところにあるのでしょうか。
ウィンブルドンは今でこそルーフ(屋根)がつきましたが、天気が不安定なロンドンで試合中に雨が降ってくる。(雨が降ってきたら)あっという間に少年たちがコートをカバーする。そういうところの美しさもあるし、今度は雨に慣れたイギリスの人たちのたたずまいであるとか、雨が上がって再開したとき、プレーヤーの観点からいえば流れが変わっているという勝負の危うさであったり、かぎを握る天気には誰にも文句をいわないというようなこともウィンブルドンの大会を面白くする要素の一つですね。なおかつ芝で、(ほとんどの大会のファーストマッチは世界ランキング1位の選手が入ることが多いが)ウィンブルドンだけは前年度のチャンピオンがバージングラスの上でやるという格式、それがウィンブルドンの流儀ですよね。そういうこともあって、青々とした中で(試合を)やり、日にちを経ていくごとにその芝が摩耗していって変わっていく。そうすることでバウンドがイレギュラーを起こす。これはハードコートではあり得ない。ここにくるかと思ったら向こうへいっちゃってバランスを崩す。芝で行われる試合というのは非常に試合数としては少ないから、経験値を上げていくことができない中で、ウィンブルドンで経験値の高い選手が有利であるといわれているのはそういうこともあるんです。
−−注目の選手は?
まずスペインのラファエル・ナダル選手。彼はここ数年、ウィンブルドンに照準を合わせてきた。サービス力もすごく上げてきている。そしてそんな彼に対抗できるのはロジャー・フェデラー選手(スイス)。フェデラー選手は年齢的にも円熟味のいい年齢になっているし、家庭も築いて家族も増えて、おそらく自分のモチベーションをどこに見いだしていくかということに迷っていると思うんですが、ウィンブルドンについては別だという意識があると思うんです。特にファンはそう思いたい(笑い)。そしてノバク・ジョコビッチ選手(セルビア)。彼は今年の1月に行われた全豪オープンでものすごく進化を遂げて勝ちました。あのくらいのプレーヤーだからそうやってスイッチが入ることで自分の中の自信を高めて、「こうやればいいんだ」ってことをすごく感じてつかみ取った気がする。あとはイギリスのアンディ・マレー選手。(ウィンブルドンは)ホームグラウンドでクイーン(エリザベス女王)から手紙が来ちゃうくらいだし、彼の試合は応援が半端じゃない、昨年もいいプレーをしていたからその4人は面白いんじゃないかな。
−−女子はどうですか?
女子は圧倒的にセレナ・ウイリアムズ選手が強い。また、姉のビーナス・ウイリアムズ選手の方がウィンブルドンに対して執着心があるように思う。ビーナス選手はウィンブルドンを絶対取りたいという思いがすごくある。ただ実力はセレナ選手の方が上。あの2人の試合は姉妹対決といってもまぎれもない真剣勝負で、面白い。カロライン・ウォズニアッキ選手(デンマーク)、ビクトリア・アザレンカ選手(ベラルーシ)といった一昨年くらいまでは若手といわれていた選手たちが円熟味を増してきた中で、対セレナ網をみんなが敷いて誰が勝つのかを見るのは面白いと思う。
−−日本勢はいかがでしょうか。
錦織圭選手は、センターコートで1度ナダル選手と当たった際の「当たるならもうちょっと先で当たりたかった」とコメントしていたけど、(それは)「ナダル選手が遠くではない」と(彼が)思っているということ。彼は見る者の感情を揺さぶるようなプレーをするので期待してやまないですね。女子についてはクルム伊達公子選手は「すごい」の一言。(他の選手に)研究し尽くされている中で、伊達選手がどんな手を打ってくるのかというのは興味あるし、友人としても頑張ってほしいと思う。森田あゆみ選手は、素晴らしいストロークを持っている。メンタリティーもさばさばしているように見えるからこちらは大丈夫。あとは勝ちぐせ、勝てば成功のスパイラルになると思っていて、今年の全豪オープンでは3回戦までいったので、あゆみちゃんスマイルを見せてほしい。
−−テニスにあまり詳しくない人たちが試合を楽しむための楽しみ方はありますか?
今のテニスは何十年に1人という選手がたくさんいる時期。そういう時代に居合わせてその選手たちのプレーが見られることは幸せなんだということと、道具の進化で昔だったらもっと早く勝負が決まっていたことが、(今は)打ち合うラリーの数がはるかに多くなっている。球のスピードは速くなっているから試合時間は変わっていないけれど、1ポイントにかける時間は長くなっているから、打ち合いの妙とか、次はどこに打つんだろう、どこに返すんだろうという頭脳を使うスポーツだから(そこを見てほしいし)劣勢に見えてたけれど、実は(その選手が相手の)プレーを研究していて、相手の選手を凌駕(りょうが)する瞬間がある。そういう2人の駆け引きがあるところを見ると面白いと思います。
「ウィンブルドンテニス」は20日から7月3日の最終日までWOWOWで連日生中継(ミドルサンデーを除く)。男女シングルス準々決勝が行われる大会8日目、9日目は「センターコート」「NO1コート」の試合を2チャンネル同時生中継。
<プロフィル>
1966年1月31日生まれ。東京都出身。成城大学経済学部卒。83年のテレビドラマ「青が散る」(TBS)で主演デビュー。86年の「めぞん一刻」(澤井信一郎監督)で映画初出演を果たし、翌年の「やるときゃやるぜ!」(山名兌二監督)で映画初主演を務めた。以後、テレビドラマ「振り返れば奴がいる」(CX)、映画「ホワイトアウト」(若松節朗監督・00年)など、幅広く活躍。父は日本プロテニスの草分けである石黒修で、自身も大のテニス好き。近年はWOWOW「ウィンブルドンテニス」のスペシャルナビゲーターを務めている。
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2024年11月06日 00:00時点
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