SPECIAL EDITED VERSION 『ONE PIECE』魚人島編
第8話 弱虫で泣き虫!人魚姫しらほし
12月22日(日)放送分
話題のマンガの魅力を担当編集が語る「マンガ質問状」。今回は、アイドルグループ「AKB48」の総合プロデューサーとして知られる秋元康さん原作、香純裕子さん作画で、「まりもの花~最強武闘派小学生伝説~」(集英社)です。少女マンガ誌「りぼん」編集部の鬼原健さんに作品の魅力を聞きました。
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−−この作品の魅力は?
普段は“ほわーん”とした女子小学生まりもが、怒ると左手に花のあざが浮かんで無敵の力を誇り、急に関西弁をしゃべり出して、“ヤンキー”たちをバッタバッタと倒す、という“ぶっ飛んだ”設定が魅力です。
しかも、それを少女マンガ誌「りぼん」で掲載しているので“少女マンガのヤンキーマンガ”という点でも異色だと思います。「チャンピオン」(秋田書店)や「ヤンマガ(ヤングマガジン)」(講談社)ではなく「りぼん」でどこまで“ヤンキーマンガ”なのかというのも見ものではないでしょうか。
内容は「全面戦争じゃー!」といった過激なせりふが飛び交い“仁義なき戦い”を繰り広げますが、「帰り道、通学路に気ぃつけぇや」など、小学生ならではのせりふも飛び出します(笑い)。「まりも……アンタはアタシの獲物だ」と言ってまりもの味方をしてくるライバルキャラが出たりと、まるで少年マンガの王道を地で行くような展開なので大人の読者も胸が熱くなると思います。
−−作品が生まれたきっかけは?
(原作の)秋元さんサイドと他の企画の打ち合わせをしている時に、マンガの企画の話も盛り上がったことがきっかけです。こちらからも少女マンガとして受けそうなマンガの案をいくつか提出したところ、秋元さんの口から「摩擦係数」という言葉が出てきました。
(秋元さんは)「面白さというのは差異なんです。他のものとの差異が面白さになる。差異が大きければ大きいほど摩擦係数が高い。AKBをやるときも、他のアイドルとどこが違うのか、それは『秋葉原』という意外な場所だったり、『会いにいける』というコンセプトが差異。少女マンガだからといって、やるなら今までの少女マンガではありえないことをやりたい」とのことでした。
そして秋元さんから出てきたのが「左手にアザが浮かび上がって無敵になる女の子が主人公のヤンキーマンガ」でした。従来の少女マンガではまずやらなさそうなこと、少女マンガの中で違和感を出すということが出発点です。
まりもの幼なじみの男の子であるマサルも、はじめはイケメンで格好良くてケンカが強い予定でしたが、そこでも「摩擦係数」が大事だと。「格好いい・強いマサルでひかれるのは普通。マサルはケンカが弱いが、なぜかまりもはマサルにひかれるようにしよう。そのなぜかが面白い」。そんなふうにキャラクターについても「摩擦係数」を意識して作っていきました。
−−登場キャラクターでAKB48のメンバーがモデルになっていたりしますか?
キャラクターデザインの段階で、香純さんがをインパクトを出そうと思って、まりもをツインテールにしたんですね。そうしたら、髪形とか目とか、ちょっと(AKB48メンバーの)渡辺麻友さんに似てるかもしれない、とだんだん思えてきました。そんな中、渡辺さんに応援イラストと帯コメントをいただけるということになり、思いがけないめぐり合わせに感動しました(笑い)。
−−編集者として作品を担当するうえでうれしいこと、逆に大変だったエピソードを教えてください。
読者から「まりもみたいに強くなりたい」「まりもが可愛くて格好いい」と言ってもらえるのが一番うれしいです。編集部は、修学旅行生の見学を受け付けているのですが、中学生の女の子から「一番続きが気になるマンガはまりもの花です」と言ってもらい感動しました。
あと、作画の香純さんがどんどん絵がうまくなっていることですね。もともと絵に“華”のある漫画家さんでしたが、キャラの表情がすごく良くなっていて、原稿だけでなくカラーの塗りも本当にうまくなっていってるんです。やっぱり新人の頃から見ている作家さんの上達を間近で見られるのは、編集者として非常にうれしいです。
また、大変とはちょっと違いますが、秋元さんが非常に多忙な方で、連絡を取ろうとすると、「今、ロシアにいます」「今、ロサンゼルスです」という状況です。ほとんど睡眠もとらず仕事をされているようですが、そんな状況でも毎回欠かさずにプロットを上げてくださる秋元さんには本当に感服します。そのプロットも、ものすごくいいせりふが入っていて、毎回感動させられるので、秋元さんと仕事ができてよかったと思います。
−−今後の展開、読者へ一言お願いします。
7月14日木曜発売の「夏の大増刊号 りぼんスペシャル レモン」では、「まりもの花」の番外編「佳代子の花」が掲載されます。こちらは、まりものことを慕う不良の市山佳代子が、“ヤンキーチーム”青嵐会を作るまでの過去のエピソードが収録されています。8月17日水曜発売の「夏の大増刊号 りぼんスペシャル オレンジ」では、香純さんのオリジナルラブコメディーの読み切りが掲載されます。「まりもの花」の3巻も秋に発売されるので、手にとっていただければ幸いです。1、2巻以上に激しくダイナミックな展開で、かなり思い切ってますので、ぜひ。
集英社 りぼん編集部 鬼原健
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